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『坂東玉三郎 ~お話と素踊り~』鹿児島公演の感想

 令和8年3月27日に開催された『坂東玉三郎 ~お話と素踊り~』鹿児島公演に、わたしも行って来ました。

 会場は宝山ホールです。



 さて、玉三郎さんは舞台に登場してすぐ、観客の心を掴みました。

 真剣な雰囲気にしてお話にじっくり聞き入らせたり、和やかな雰囲気にしてワハハッと笑わせたりと、会場内の空気を操っていました。

 まさに自由自在。 

 表情、言葉遣い、立ち方、歩き方、座り方、話し方、何もかもが綺麗。

 軸がぶれないし、凛としていて、張りがあって、指先まで意識していて。

 …こんなことを考えることすら、おこがましいのですが、わたしは大変なショックを受けました。

 「わたしは何も知らないんだ…。綺麗な立ち方も、歩き方も、座ることも、喋り方も、何ひとつ知らないんだ…。わたしはまるで、お金と時間をたっぷりかけて、わざわざ自分をみっともなくしてきたみたいだ…」

 と。

 3月27日に開催された公演の感想を書くのが今になったのは、そのせいです。

 わたしにとってはビッグバン並みの衝撃でした。

 なお、わたしはこの公演が始まるにあたり、「一言も聞き漏らすもんか」と思って、メモ帳とボールペンを握りしめて望んだのですが…。

 玉三郎さんに思わずポーッと見惚れて、そして聴き惚れてしまって、メモしそびれたお話がいっぱいです。

 悔しい!

 ただし、玉三郎さんのモーニングルーティンについては、ばっちりメモしました。

 たとえば、自然農法のお野菜で作ったスムージーや日本茶を飲んで、お風呂につかり、玄米、納豆、大根おろし、お味噌汁をいただいて、自分で作った器にお抹茶を点て、とらやの羊羹を少々口にする…といったルーティンです。

 全てを真似することは難しそうですが、わたしも少しずつ取り入れていきたいです。

 また、『道成寺』から『鷺娘』へと変身するお支度の動画も上映されて、これにもウットリ!

 動画の中の玉三郎さんが登場と退場をする度に、舞台の上の玉三郎さんが「いってきます」「帰って来ました」と言って観客を笑わせるのも楽しかったです。

 とっても可愛いコメンタリー。

 観客から事前に募集した質問に玉三郎さんが答えてくれるコーナーもあったのですが、その中で、玉三郎さんがこんなことをおっしゃいました。

 「確か、千葉の会場にいらした40代〜50代の主婦の方からのご質問だったと思うんですが…。『人生に行き詰まった時はどうしたらいいでしょうか』ってご質問でした。わたくし、盆栽を育ててみようと思いまして、お花屋さんに植木鉢を買いに行ったんです。でも、植木鉢って、お花屋さんに売っていないんですね。素焼きのちょうどいいのを見つけたと思って、お花屋さんに『これをください』って言ったら『これはうちの蚊取り線香置きです』って言われて。値段をつけてもらって、売ってもらったんですけど。YouTubeで盆栽の育て方を学びまして、お花が咲いたんです。人生に行き詰まった時、盆栽でいいから、梅や桜が咲いたら、いいんじゃないでしょうか。他の会場での質問にここで答えるのも何なんですけど。誰か知り合いだったら教えてあげてください」

 と。

 なにぶん、わたしは記憶力がないものですから、細かい部分はわたしの記憶違いかと思いますが、概ねこのようなことをおっしゃいました。

 届いて欲しいです。

 このメッセージが。

 千葉の40〜50代の主婦の方に!

 …ただし、玉三郎さんは「確か千葉の会場にいらした40代〜50代の主婦の方からのご質問だったと思うんですが…」とおっしゃっていました。

 もしかしたら千葉ではなく、別の会場の方からのご質問かもしれませんね。

 というわけで、訂正。

 届いて欲しいです。

 このメッセージが。

 人生に行き詰まった全ての人に!!

 花が咲くということは、人の心を本当に癒してくれますから…。

 それにしても、玉三郎さんもYouTubeをご覧になるとは驚きです。

 盆栽のチャンネルを運営している方も、まさかご自分の動画を玉三郎さんが参考にしてくださっているとは、思いもよらないことでしょう。

 …わたしのこのnoteも、思いがけない方が読んでくださっている…なんてこともあるのでしょうか…?

 いや、まさか…。

 …え!?

 …また、玉三郎さんはこんなこともおっしゃっていました。

 わたしは5分前の出来事さえも記憶喪失になりがちな人間なので、これもまた細かい部分は違うかもしれませんが、概ねこんな内容です。

 「Netflix等の画面で観るんじゃなくて、劇場に足を運んで、同じ時空間で歌舞伎を観ていただきたいんです。そうすることで、お客様が色んな時空間と繋がるんです。旅をして、恋をして、色んな体験をするんです」

 と。

 これこそ、会場に足を運ぶ醍醐味。

 歌舞伎の過去・現在・未来だけでなく、様々な分野の芸能と繋がるお話ですよね。

 また、

 「画面の中に入っていかないで。パソコンやスマホの中じゃなくて、人と話して欲しいんです。人同士の愛。今、色々なことが起きていますでしょ。戦争を起こすような人が、自分は安全なところにいるなんて、最悪。死んでいった人たちはかわいそうにね…。人同士が、そして国同士が愛し合っていれば、戦争もないんです。世界が愛で満たされていれば…。物にも魂があるんです。『ありがとう』と言ってから捨てるようになりました」

 というお話の後、玉三郎さんがエディット・ピアフの『愛の讃歌』を歌う動画が流れたことにも、わたしは心を打たれました。

 本当に…、誰もが愛し合える世の中になったら良いのに…。

 さて、素踊りの『残月』も、それはそれは美しいものでした。

 「『死んじゃった』と思うのではなくて、『月にいるんだ』と思うの」

 という考え方も好きです。

 その舞い姿はあまりに美しく…、時折、人間ではない存在にさえ見えました。

 優れた舞い手は、ある種のシャーマンとも言えるのかもしれません。

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