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妊娠⑮|某ウイルスの感染


MRIの検査の翌日の8月7日。

いつも通り目覚めた途端、私は異変を感じた。


(身体中、痛ぇ…)


ここ数日、少し喉痛を感じてはいたが、明らかに悪化した感がある。


そして、すぐに体温を測ったものの… 「36.9℃」。
意外と出ていないものの、節々の痛みとしんどさが尋常ではなかった。

念のため妻にも報告したが、妻も “絶対安静” の身であるため、冗談抜きで私がここでへばるわけにはいかない。

ひとまず、身体を休めることにし、フルーツとビタミン系のサプリ、プロテインを摂取して、日中は “回復に全振り” させてもらうことにした。


しかし数時間後、改めて目覚めた瞬間に私は悟った… 

(あ… アウトだこれは)

今朝より、しんどさの度合いが桁違いだった。


そして、再び熱を測ってみたが… 案の定「38.4℃」
完全にやってしまった。

極力、病院で処方される薬で治すというより、睡眠と栄養など自然治癒で治す方が身体には良いのかもしれないが、今は妻が妊娠中。

これがもし、「インフルエンザ」や「コロナ」だった場合、胎児にも影響が出ててしまうかもしれないということで、即病院へ行くことにした。

ところが、この日は水曜で午後定休のところが多く、見つけるのに時間がかかり、ようやく見つけた時にはすでに17時を過ぎていた。


そして、何とか歩いて病院に辿り着き、すぐに診察。

”8月に入ってコロナがまた増えてきてる” というのもあり、コロナの検査をすることになった。


検査恒例の “鼻咽頭ぬぐい液” でグリグリされ、涙目になりながら結果を待つこと5分…


・・・「陽性だね」


がっつり「コロナ」であった。


また、“妻が妊娠9か月” であると伝えたところ、

「9か月であれば、基本は胎児に影響はないから大丈夫だよ」

と言われ、そこは安堵したが、直接的な影響はないにしても、妻が感染してしまうのだけは避けなければならない。


「ただ、今日から5日間、お父さんは “完全隔離” ね」

と改めて医師からも忠告され、諸々薬を処方してもらい病院を後にする。


妊娠中ということもあり、かなり徹底的に対策していたつもりだったが感染してしまい、本当に妻と子どもに申し訳ない。

罪悪感に押しつぶされそうな帰り道だったが、その前に1つ大きな問題があった…


それは、“我が家に完全隔離が出来るスペースがない” ということだ。


しかしこれ以上、夫婦で同じ空間にいるのはリスクが高すぎる…

まず、妻の実家に隔離することを考えたが、距離が離れていて移動が負担になるのと、電車以外の移動手段がない。

しかしそれ以前に “県を跨ぐ” ことがNGだった。

絶対安静の指示の時から “県を跨ぐ移動はNG” と忠告されており、その理由は、万が一何かあった場合に “救急車で県外の搬送が出来ない” ということだった。

さらに言えば、私たちの場合、母体の「全前置胎盤」、胎児の「完全大血管転位症」と、それぞれに特殊な対応が必要な状況なため尚更NGだと。


そうなると、 “私の実家” しかない…

そう、妻からしたら “義理実家” である。


幸いにも、同じ区内で隣り駅という距離で、前述のような懸念はない。

また、世間的には “義理実家に妻が単身で行く” という構図は中々ないのかもしれないが、妻は私の両親とも非常に距離が近い。

よく言われる「嫁姑問題」もなく、私を差し置いて2人でカフェに行ったり、お洒落なハンバーガーを食べに行ったりするほどの仲である(笑)


とは言え、義理実家は義理実家。
そこは妻とも再度相談したが、最終的にお願いすることに。

そして、私の両親に連絡したが、突然のことにも関わらず「5日間の隔離」を快く了承してくれ、さらには私の父が車で迎えに来てくれた。


 “妻は義理実家、夫は自宅でひとり” という、人生でも中々ない機会であり、奇しくも、“出産前後の入院” と同じような構図に…

思わぬ形で予行練習をすることになった私たちであった。



つづく



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