Photo by
hidemaro2005
ジムに行く深夜はまだ暑い
深夜二時。この時間もジムには人がいて、妙に皆が礼儀正しい。きっと灯りがついていても心細くなる時間だからかもしれない。
目が合った人と会釈をして通り過ぎる。
わたしももれなく小さく首を垂れる。
その方が感じはいいし、名前を知らない者同士が同じ空間に居る連帯感を得やすい。
今年の三月くらいから、急に夜の時間帯へ人が増えた気がした。
気のせいかと思い、LINEに送られてきた利用状況を確認すると、あんなに人が居た昼間はガラガラで二十時辺りは狭いジムに三十人ほどが汗を流していたことになっている。
昼間に見えないものが、夜になると浮かび上がるのだろうか。人に会いたくない、でも誰かが居てほしい。そんな気持ちが静かな時間をわずかに賑やかにしているのかもしれない。
人と人が会話をしている光景が全くない。
だから推測してみた。
わたしがこの時間に来るようになったのは、人から話しかけられるのが煩わしいと感じたから。
「ももちゃん、ここに通ってたの!久しぶり」
その度に「へへ」と愛想笑いをするが、インターバルにしては長い話に付き合わされるので、深夜帯に引っ越した。
深夜に通い、走っても、胸の奥の重さは消えない。悩みがあると脳みそだけコインランドリーに預けて、空になった頭でひたすら走っていたい。
それでも体を動かしているうちに、どうでもいいことが少しずつ遠ざかっていく。シャワーを浴びるともう別のことを考えている。
帰りにスーパーへ寄って、炭酸水を手に取り、顔馴染みの店員さんにレジをしてもらう。
ちっとも涼しくない暗がりの中で一気に炭酸水を飲み干したら、たぶん今日一日が良い日になりそうな。アテにならない願掛けをして家路に向かう。
