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hidemaro2005
ショート: 青い雨に濡れても
青い雨は人々の感情の漏れが空に溜まり、色を変えて降ってくるとされる現象だった。
特にバレンタインデーあとは、未練や後悔といった感情が蓄積すると青くなるという。
科学的根拠は不明だが、ある雨の日、街は静まりかえり青い雨が降った。
雨を浴びた者は、まるで何かを思い出したように泣き出したり、逆にケロッとしたり、踊り出したりする。
研究員Aは「青い雨は不気味だ」として、街に巨大な傘屋根システムを設置する計画を推進している。
ところが、なぜかプロジェクトが進むたびに、賛同者が減っていく。
「雨に濡れたい」と主張する者、「思い出すのが快感」と言う者も出てきた。
「所長、おかしいですよね?ポジティブが推奨される中で、あえてネガティブを残したいなんて」
Aは同意を求めるも、所長は困惑の表情を浮かべてAを見た。
「私も最初はそんな気持ちだったけど、ポジティブを押しつけられると、胸に抱いている言葉にならないものが焼き尽くされていくような、軽く扱われている虚しさに変化するのよ」
所長から出たつぶやきに、Aは吐き捨てるよう
「つまり、いつまでも青い雨に打たれて、執着から抜け出すつもりがないってことですか?」
悲しそうな目をする所長は
「愛ってなんだと思いますか」Aの顔から目を逸らした。
あれから、プロジェクトが中止され、Aは
「誰も忘れたくないらしい」
Aの頬にも、ひとすじの青い雫が流れていた。
……これは雨ではなく、自分の涙だ。
任されたプロジェクトを成功させたかった。
もっともっと、人から認められたい。
アスファルトの水たまりを力いっぱい足で踏み、
「研究がしたい!」
顔に跳ねた青に青色の涙が混ざった。
