Photo by
hidemaro2005
耳を澄ますと空想で動く物語
テレビをつけると、桂吉弥さんが落語をされて
「たちぎれ線香」だ
じゃがいもの皮剥きをしながら、耳を傾ける
吉弥さんを約15年振りに拝見したが
「たちぎれ線香」は小学生の頃以来だと思う
落語は落語家によって味わいが異なり、飽きない
昔、日曜日の午前中、ラジオでやっていたのを
日曜学校にいく道中で聴いていた
不意に笑ってしまうと
父から気持ち悪いと言われ、笑うときは俯向く
桂米朝さん、桂枝雀さんが大好きで
枝雀さんの落語で、どれだけ笑ったか分からない
元旦のテレビは、酔っ払う親戚を無視して
寝転び、寄席を観ていた
飛行機内は、無料で落語が聴ける
たしか、立川志の輔さんが演目をなさったとき
わたしはあまりの面白さに吹き出してしまい
それからは人目を気にして聞かないようにしている
人目を気にするといえば
貫地谷しほりさん主演の朝ドラ『ちりとてちん』は落語家の話で、最高傑作だと思っている
ヒロインの師匠、徒然亭草若こと
渡瀬恒彦さんが演じた『愛宕山』がとても秀逸で
渡瀬さんの佇まいと表情が冬から春先を感じて
回想すると、涙が溢れて止まらなくなる
当時のわたしは、ヒロインB子のように内向的で
幼なじみや友人の大輪が咲く下で
地面へ張り付く葉っぱだけ
不器用で冴えないわたしがB子に重なり
『愛宕山』とセットで記憶に残っている
わたしと同年代で落語が好きな人をあまり聞かない
精々、笑点を見ていますよ程度
座布団1枚から拡がる落語の世界は
日曜の世間、上空から見渡す光景まで想起させ
耳を澄ますと空想で動く物語は
美味しいケーキと同じで「もう一口」でオチが来る
