言葉で殴らず火花で応えろ
反論は知的なゲームだと思う。
同じ時間を消費するなら有意義なものがいい。
自分はこれでヨシと発言したものへ、思わぬ方向から飛んで来たボールに
「痛ててっ」と頭をさすりながら
「よし、どう投げ返そう」ワクワクする。
あれは小学一年の理科。
先生は「カエルが食べるもの」を児童に答えさせた。挙手から出る回答は、虫やミミズなどのありきたりなエサで、先生が「まだあるでしょう?」と促し、教室は静まり返る。
「ああ、そういえば!」
ミドリムシレベルの頭しかない、わたしは
「先生!カエルは『キツネの尻尾』を食べます」
恐らく、自信満々の顔だったんじゃないかな。
そりゃそうだろう。
ランドセルに黄色のカバーをつけた一年生は、
溝の縁へしゃがみこんで寄り道をする。
レンゲやシロツメクサを編んだティアラや四つ葉のクローバー探しをしながら家路に着く子。
キツネの尻尾を先だけ残して、カエルを釣って遊ぶなんて定番中の鉄板な遊び。トノサマカエルを釣り上げたわたしが自信を持たないで、誰が自信を持つんだという話。
ところが先生は、
「ももまろさんって嘘つき」と一蹴した。
「カエルは草を食べません」真顔だった。
先生に怖気付くわたしではない。
「だってカエルが釣れたもん」
「だからね、草は食べないのよ」
「でも本当だもん。
カエルが毛虫と間違えたんだもん」
わたしに戦闘能力があるとすれば、このときに悔しい思いをした経験が土壌になっている。
上級生が教えてくれた知恵が嘘、カエルを釣る喜びが嘘だと撥ねつけられた痛恨。
中年になった今、実社会もネットも反論が許されない。
反論されると面倒くさいという以外に、自分は正しいとフリーズした人がいる事実と、反論する側に作法がない現実。
よく見受けられる反論に
論点を明かさず「オマエ、バカじゃね?」
例えば
「noteを継続して書き続ける人はIQが高い」などの投稿があった場合、頭ごなしに
「オマエ、バカじゃね?」
何に対してバカなのか見えてこないので、話にならない。どこに対して反論しているのだろう。
反論するなら、
「IQが高い=noteを継続できるという論理には、根拠がないように思えます」
言葉がスマートで知的に見え、投稿者も応答しやすい。
必死に論破しようとしないの。
論破じゃなく視点の追加が上手な反論だと思う。
「オマエの言ってること、全部間違ってる」ではなく、
「なるほど、その視点もあります。
ただ継続率が曖昧であり、公式なデータが見当たらないので出典が気になります」
こう言われたら、相手も多少考えざるを得ない。
バカ連呼をしては、話が通じない。
相手や閲覧する人が分かりやすく例える工夫が必要になり、例えば
「一酸化ニ水素を毒だと思うのは、グルテンを接着剤だと思ってパンを食べないのと同じです」
こういう比喩は、相手の思考をふっと緩める効果があるように思う。
反論する側、受ける側が感情に引っ張られないのも大事で、怒るとね、勝ちたい欲が出て、論理が破綻するんですわ。
「なるほど、そう来たか」と笑いながら返せたら、勝ち負けじゃなく深め合いになるからね。
議論や反論には知ったかぶりが登場し、頭を抱える要素の一つ。
どうして知ったかぶりをするんだろうな。
人と接してきて思うのは、「分からない」と感じたときに不安になるからと推察する。
知識があるフリで安心しようとしたり、威圧や断定で相手より上のポジションに立とうとしたり、本当の無知に気づかない様子。
知ったかぶりは、知識より自尊心を守るために出てくる行動なんじゃないかね。頭の防御反応というか。
どうなんかな?
「それは違うと思う」
どんなふうに伝えるかで、その人の知性が決まるし、わたしはネットで何百回と「違うと思う」出会ってきたけど、心に残ったものは数えるほどしかない。
丁寧に反論しても、反論を受け付けない側は、反論へ回答するのがしんどいよりも、自分の世界観を壊されたくないがゆえの思考停止なのよね。
自分に都合のいい理屈だけ残すフィルターが常にかかって、ひいては、それが宗教的になって教祖化してしまう構造にも繋がる。
ああ、なんだかな。つまんねぇな。
反論されると怒る人に言いたい。
「論破されたら死ぬ病」って、不治の病なの?
それとも、おクスリすら効かない脳のバグ?
ああ、こりゃ対話どころか意思疎通も無理かもね。
それでも、わたしだって完璧じゃない。
時には勝ちたい一心で、誰かの言葉を叩き潰そうとしたこともある。
でも、そんなときはふと思い出すようにしてる。
あの時の、「キツネの尻尾を食べるカエル」を信じてた自分を。
あれが真実じゃなくても、信じた喜びは本物だよ。
「それは違うと思う」
この言葉が誰かの世界を広げる鍵になることもある。でも今は、違うと言った途端に反逆者として燃やされる世界。
だったらせめて、燃やされるなら薪じゃなくて、ロジックで火をつけてくれよ。
こっちはちゃんと、火花を返す準備があるからね。
