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 蓮の池に座り込むのは、金太郎と一寸法師。
名前は有名なのに、物語が忘却されたと慰め合い、
「バズらなかったよね……」
今も尚、しょんぼりしている。

「でも、金太郎さんはいいじゃん。
五月人形が春先に並んでさぁ。僕なんて、auのCMに出ただけ。マジでそれだけ」

 僻んで小石を握りしめる一寸法師に、
「そうですかねぇ。
私は実在する人物、坂田金時でしょう。
キミたち、一寸法師さん、桃太郎さん、浦島太郎さんと同列にあるっておかしくないですか」

 金太郎は不満を口にし、空を見上げ、
「源頼光に仕えた四天王として名を馳せるなら納得もしますよ。
大河ドラマや時代劇に登場するなどね。
他の人たちは私と違って御伽話の人。
挙げ句の果てには、少年ジャンプに、“銀魂”って。
『坂田銀時』とオマージュされて、新撰組の人たちと登場したから、歴史認識まで狂われた気がするんです」泣き出しそうな声を出す。

「そっか……僕たちは昔々と雑に括られているけど、金太郎さんは生きた時代までね。
切ない話だなぁ」

「今更言ってもリベンジできないんですけどね」
まあねぇ、と男二人が肩を並べる。

「私たちの話、どこが悪かったんですかね」
俯いた金太郎が呟くと、
「インパクトじゃないですか?
僕らの話は見せ場が少ないんだよ。
特に僕なんて、桃太郎さんの話をパクったストーリーに感じない?」
 一寸法師は
(それも分からんか)という顔をした。

「インパクトか……。印象薄いです。
赤い布のコスチュームと熊くらいしか人々の記憶にないかもしれません」

「でしょ?  あとは、金太郎さんの場合は、
話の要点や論点が霞んでいるのかな」

「一寸法師さん、難しいことを言いますね」

「それほどでも。
でも、こう、パッと浮かばないとは、結局何が言いたい話なのか見えてこないから、記憶を引き出すトリガーがないってことかもと思うんだよ」

 一寸法師は池に小石を投げて、
「僕のケースは、現代の親が一寸すら知らない。
約3センチなんて建築か裁縫やってないと思いつかない。寸法ってワードも今は『サイズ』と言うから」

「私たちは敗因を背負ってきたんですね」
「そう、作者が研究しなかったからね」

「一寸法師さん、この話は何回目でしょうか」
「忘れたよ。僕の頭は小さいから」

 優雅な淡紅色の蓮が無数に咲いて、
向こうの穏やかな土地には世界中の作家が議論している。あの中には我々の作者も混じってんのかな。

「金太郎さん、僕らは名前を覚えてもらっているだけ勝ち組よ。元気、出そう」
ニンマリする一寸法師は、力が籠った手で金太郎の肩を叩いた。

     🌸˚✧₊⁎コッシーさん⁎⁺˳✧༚🌸
     企画に参加させていただき
      ありがとうございます
  金太郎は坂田金時と金時山しか浮かばないので
     こんな話を書いてみました
     よろしくお願いいたします

#コッシーさん
#金太郎企画

#銀魂