好んで読むものは、ピリッと辛い
ケロロ軍曹が再ブームだと会社で聞いた。
今日はクリスマス。
ケロロ軍曹のコスプレでクリスマスケーキを売れと言われたら、迷いなくできる。
振り切ると、なぜか自分に帰ってきた気分になって、日常に戻ると空虚な気持ちになる。
でも、本当は理想の自分になれたのが気持ちよくて、更衣室の鏡に映るわたしを他人みたいに見ていたのかもしれない。
そういえば、昔から刺激のある読み物が好きだった。
10代半ばに読んだ、安井かずみや森瑤子のエッセイは「成人になると、こんな複雑さが待っているんだ」と胸を焦がした。
好んで読む作家も限定的になり、原田宗典、町田康、姫野カオルコ、中村うさぎ、中島らも、村崎百郎、穂村弘。
マンガなら、西原理恵子、伊藤潤二、岡崎京子楳図かずおなど。
普通じゃ物足りない。
心に一味唐辛子やタバスコをかけないと食べた気にならない。
品がないわ、正しくないわ、全然救わない。
好かれに行かない姿勢が最高に清々しい。
人として信用できる書き手なんだよね。
正しさに逃げないって、救済で誤魔化さないじゃん?
それでも笑う。
くそ笑えるし、だから人が出る。
無難? 意識高い? ……知らんがなって。
林真理子もよくよ〜く読んでいた。
妬みアリ、虚栄あり、承認欲求を否定しないから自分も含めて観察対象にしてるよね。
上品に見せつつ、芯はエグいんだ。
読者を笑わせながら、
「それ、あなたの中にもあるでしょ?」って
逃げ道を塞ぐ林真理子の凄味。
それは安井かずみや森瑤子も同じで、女の欲や寂しさ、虚栄を詩的にはぐらかしたりしない。
上品なのに情が生々しく、正義より感触だね。
読者に「こう思うの、私だけ?」
って逃げを与えない。
森瑤子が決定打で、綺麗な女のだらしなさよ。
恋愛を成長物語にせず、自立も依存も同時に描いてさ。しかも文体はサラッとしている。
だからね、余計、毒が遅効性。
西加奈子も好きだな。
自意識の醜さが快感だよ。わたしにも心当たりがあるから。
西加奈子が正面から殴るタイプなら、
小池真理子は欲と孤独を沈黙で締め殺しに来るよね。美文で声を荒らげないのに、猛毒がある。
反対に、どんな名文でも問いがない、ほっこりだとこちらに向かってくる刃がないので
「ふ〜ん」
耳の後ろを掻きながら
「お金を払って何を読まされたのかな」
つまらないと思う。
AIさんでも書ける文章は読みたくない。
人じゃないと書けない文章は、AIさんがやると一気に嘘くさくなる。
エログロ、本音を書けばいいってもんじゃない。
醤油を湯で薄めて、一味唐辛子を混ぜても美味しくないからね。
ケロロ軍曹のコスプレしてる人を内心軽蔑しながら生きてそうな人の文章って、面白くない。
