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hidemaro2005
ショート: 野中のバラ
雑に刈った畦道に、脈略なく咲くバラ。
♪童はみたり野中のバラ
細い道を突き進み、スマホを取り出す。
シューベルトやゲーテはどう思うかな。
ある作家は、
野中のバラを“夜中のバラ”と思い込んでいたらしく
手元に本がないので、うろ覚え。
僕はゲーテの歌詞を深読みすると、
夜中のバラが相応しい気がしてならない。
現代なら警察沙汰になる話だと思う。
華があるものは、雑踏に紛れても、
浮かび上がるほどの存在感を示し、
気高さは、我関せずで太陽に顔を向ける。
棘を気にせず、バラに触れる。
可愛いが持つ正義が枯れてしまうのは、
傷を見るたび、闇へ引き返すから。
可愛い子にメンヘラが多い要因を仮説してみる。
罪のないバラが、罪作りで起こる悲劇。
全力で押したいダジャレでもなく、
僕はスマホのシャッターを押す指を止めた。
「やめて」と斜めに歪むバラを見過ごせず、
スマホをナイフに持ち替えると、絡む蔦を切ってやった。

