童話: 泥だらけのベビ
長い身体が凍りつきそうな夜、空には星々が瞬き冷たい風が吹き抜けます。
龍は雪のようになめらかな雲の上へ座り、あたりを見渡します。月の光が鱗に反射し、夜空の一部になっています。
星空を見上げながら、静かにベビの到着を祈ります。
一方、干支になれなかった動物たちは、
薄暗い森の中に集まっていました。
霧が立ち込め、彼らの息が白く浮かび上がります。互いにささやき合い、意地悪な表情を浮かべています。
「本当にベビが来るの? アイツには手足がない」
その声を聞いた龍は地面へ降りると
「寒いでしょう?
君たちはお家へ帰っていいんだよ」
周囲の動物たちへ冷気を和らげるように響きます。
「ベビは必ず来る。だから帰っていいよ」
霧を縫う雨が落ち始め、地面は泥濘んでいきます。
ベビは冬眠中でありながら、神さまに選ばれた責任と使命を背負い、必死に前へ進んでいました。
濡れたベビの身体は泥の中で光を受け、うろこは滴を受けてキラキラと暗闇の中で一際目立ちます。
「みんなこうやって頑張って来たんだ」
ベビの小さな身体は雨に打たれながらも寒さを感じません。強い意志は龍からバトンを受け取けた経験が希望にかわります。
時間が経つにつれ、龍は周囲の動物たちの不満な声に耳を傾けつつも決して西から目を離しません。
大昔、神さまの前へ並んだ干支の誇らしい顔が浮かんできます。一回も欠けずにバトンを渡す行事。
ついにそぼ降る中へベビが姿を現します。
ベビの周りには雨が作り出す光の輪をなし、
龍の時空を掴む腕がベビを包み込みます。
「新年、あけましておめでとう」
「龍さん、お待たせしました。
佳いお年をお迎えください」
動物たちへ静寂が広がり、悪口を言った自分に恥じています。
ベビは何も知りません。
待っている動物たちに微笑みかけ
「みんな、こんな夜中にありがとう!
今年も一緒にすてきな年を作ろうね」
汚れた顔のベビが放つ純真へ、動物たちの心が温もり
「あけましておめでとう。今年もよろしくね」
雨の中、龍とベビは新しい年を迎える準備を整え、未来をのせたバトンを見つめます。
本年も皆さまへお世話になりました
干支に創作をする皆さまへの
願いを込めて書いてみました
ご愛顧に感謝を申し上げますと共に
来年も変わらぬお引き立てのほど
よろしくお願い申し上げます
佳いお年をお迎えください
ももまろ

