もっと広く知られてよい、「AIにプロンプトを作らせる」技術 ―― Meta Prompting基礎と8つの型
企業の生成AI活用の現場にいると、各社が“多くの社員がAIを当たり前に使える状態”にしたい、と試行錯誤しているのを感じます。
そんな中で、「これはもっと広く知られたら良いのに」と思う、シンプルかつ強力な技術があります。
それは「AIにプロンプトを作らせる」というアプローチです。
「AIにプロンプトを作らせる」とは
やり方は簡単です。ChatGPTやGeminiに自分が作ったプロンプトを渡し、次のように頼むだけです。
私が作成した以下のプロンプトを、より良いプロンプトに書き直して。
【ここに自分のプロンプトを入力】
例として、note記事の構成案を作成させるためのプロンプトを入れます。
すると一発で、このような長文のプロンプトが作成できます。

Before(自分が作ったプロンプト)
「学習科学」をテーマにしたnote記事の構成案を作成してください。
After(AIに作らせたプロンプト)
あなたは学習科学(Learning Sciences)に詳しい編集者兼ライターです。noteで公開することを前提に、読者が最後まで読みたくなる記事の構成案(アウトライン)を作ってください。
目的
学習科学の要点を、専門外の人にも理解できる言葉で伝える
読み終わった直後に、読者が自分の学びに試せる行動を持ち帰れるようにする
想定読者
勉強法に悩んでいる社会人/学生
教育・研修に関心がある人(教師、保護者、社内トレーナーなど)
※専門用語は最小限にし、必要な用語はその場で短く定義する
出力してほしい内容
1.記事タイトル案(5案:刺さる系・誠実系・数字/ベネフィット系を混ぜる)
2.この記事で届けたい結論(1〜2行)
「AIに作らせた」note記事の構成案作成のプロンプト
(省略)
この考え方は海外では「Meta Prompting(メタプロンプト)」と呼ばれます。
“AIに渡す指示そのものを、AIに設計させる”(つまりメタ的な指示)という発想で、研究や実践例が数多くあります。

まずはいちばんシンプルな方法をご紹介しました。
さらに効果を高めるための細かなテクニックや、プロンプトだけに頼らずシステムとして再現性を高めていくアプローチもあり、奥深い領域です。
この技術を知って以来、関連する研究を読み込み、現場での実践やレクチャーを重ね、ついには専用サービスまで作りました(詳細は後述)。
本記事では、そんな「AIにプロンプトを作らせる」をより多くの人が手軽に使えるように、"はじめの一歩"として簡単にトライできる方法を紹介します。
Meta Promptingについてまとめたガイドブックを公開しましたので、こちらも合わせてご覧ください。さらに+αのTipsも紹介しています。
以下から無料でダウンロードできます。

「AIをプロンプトに作らせる」8つの型
0. 事前準備
まずはやりたいタスクのプロンプトを用意しましょう。最初のプロンプトは短くてOKです。
例えば以下のようなものです。
「学習科学」をテーマにしたnote記事の構成案を作成してください。
このプロンプトをデモ対象として、AIにプロンプトを作らせる8つのテクニックを紹介します。
1. プロンプトを一発で改善させる
冒頭で紹介した基本的なアプローチです。AIにより具体的で得たい結果が得られやすいプロンプトを作らせます。
以下のプロンプトを、目的達成のためにより良いプロンプトに改善してください。
【自身が作成したプロンプトを入力】
手っ取り早く効果を実感するためには、まずこれです。上記のプロンプトをコピーして、お使いの生成AIサービスに貼り付けて試してみてください。
2. 分析・評価させて改善点をつかむ
いきなり作らせるのではなく、先に“診断”を入れる方法です。
AIに分析・評価してもらうことで、改善の方向性がクリアになり、結果として狙いに沿ったプロンプトへ整えやすくなります。
以下のプロンプトを分析・評価し、出力をより効果的にするために重要な改善点を3つアドバイスしてください。
【自身が作成したプロンプトを入力】
すでに作り込んだプロンプトの見直しにも効果的です。
自身で作成したプロンプトにいまいち手応えがないときは、改善の突破口を見つけるヒントが得られるはずです。
3. 足りない情報をAIに質問させる
回答の精度を上げる近道は、不足している情報(背景・狙い・条件)を補うことです。
ただ、「何を追加すればいいのか」が自分では分からないこともあります。
そこで、足りない情報をAIに質問として洗い出してもらうのがこの方法です。回答していけば前提情報が揃います。
以下のプロンプトをより良くするために、足りていない情報を確認する質問を3つ作ってください。
私がその質問に答えるので、その内容をもとにプロンプトを改善してください。
質問は具体的に答えやすい聞き方にしてください。
【自身が作成したプロンプトを入力】
アドバイスとしては、「具体的で答えやすい聞き方にしてください」と添えるのがおすすめです。
足りてない情報を追加するために長文の入力が求められると疲れます。こう指示しておくと、選択肢形式などサクッと答えられる質問から組み立ててくれます。
4. 改善版をもう一度AIにチェックさせる
これはAIに自ら作成したプロンプトを振り返らせ、改善点を自己修正させる方法です。
先ほどあなたが作成したプロンプトを見直してください。
曖昧な点や改善できる点があれば指摘し、修正案を出してください。
もし、改善後のプロンプトを実行しても期待どおりの結果にならなければ、出力のどこが不満だったのかを添えて、もう一度見直させると効果的です。
先ほどあなたが作成したプロンプトから得られる回答は【具体的な問題点】という問題があります。
これを改善するに何が必要か見直し、プロンプトを再作成してください。「網羅性が足りない」「面白みに欠ける」といったざっくりした指摘でも良いと思います。違和感の正体を手がかりに調整しやすくなります。
5. プロンプトブレスト(複数のプロンプト候補を作成させる)
AIに方向性の違うプロンプト案を複数出してもらう方法です。
以下のプロンプトを異なる3種のアプローチで改善してください。
1つ目は詳細かつ構造化された方法、2つ目は初心者向けのわかりやすさを重視した方法、
3つ目は飛躍した発想の回答が得られる方法でお願いします。
【自身が作成したプロンプトを入力】
複数案があると、以下のような効果的なアプローチを取ることができ、プロンプト作りのスピードが上がります。
いちばん良さそうな案を選ぶ
各案を試して、良かった要素だけ残す
いいとこ取りで、自分用の最終版にまとめる
6. リバースメタプロンプト(「理想の回答」からの逆算)
AIに、やりたいタスクの「理想の回答例」を先に作らせる方法です。
まず高品質な回答をいくつか出してもらい、気に入った例を選びます。次にその回答を再現できるように、必要な条件や指示を逆算してプロンプトに落とし込みます。
以下のプロンプトから、私が行いたいタスクを分析してください。
そのタスクについて、優れた回答例を3つ示してください。
その上で、その回答例と同等の水準の回答を引き出せるプロンプトを、回答例ごとに作成してください。
【自身が作成したプロンプトを入力】
先に“欲しい形”を決めてからプロンプトを作るので、狙った結果に近づきやすくなります。
7. プロンプトコーチング(学習モードでプロンプトを作る)
AIと対話しながら、少しずつプロンプトを磨いていく方法です。
以下のプロンプトを、目的達成のためにより良いプロンプト改善したいです。
コーチとして対話しながら改善したプロンプトを作成してください。
【自身が作成したプロンプトを入力】AIで何度もやりとりして回答の精度を高めていく方法は一般的ですが、ChatGPTやGeminiの学習モードを使うと、このやり方がハマります。
学習モード(ChatGPTの「あらゆる学びをサポート」、Geminiの「ガイド付き学習」)では、最初から完成形を提示するのではなく、質問→回答→追加の確認…という往復を通じて、少しずつゴールに寄せていく設計になっています。


質問は答えやすい形で提示されるので、テンポよく返していくだけでOKです。最終的に改善版プロンプトが出来上がります。
8. 画像・スライド作成用プロンプトを作らせる
画像やスライドを作成する際に、より良い結果が得られるようなプロンプトを作成する方法です。画像・スライド作成は、モデルが解釈しやすい“独特の書き方”があります。そこをAIに整えてもらうのが近道です。
以下のプロンプトで画像を作成したいです。
最適な画像生成に必要な要素が詳細かつ構造化された画像生成用プロンプトに改善してください。
【作りたい画像作成用プロンプトを入力】
作成された画像生成用プロンプト例は以下のようになります。
横長16:9のnote見出し画像。
白〜淡いベージュの背景に、抽象化した文房具モチーフ(付箋、ノート、ペン、チェックリスト)を
ミニマルに配置し、学習プロセスを示す小さな矢印や学習曲線を控えめに重ねる。
フラットで清潔、やさしい色味。テキストなし。右側に広めの余白。
人物なし、ロゴなし、過剰装飾なし。ここまで「AIにプロンプトを作らせる」方法を紹介してきました。
とはいえ、毎回プロンプトを書いたり、コピペしたりする作業すら面倒、という人もいるはずです。
そこで、プロンプト作成をアシストする専用サービスを作りました。
「connon(コノン)」と言います。
簡単なプロンプトを入力すると、そのプロンプトの評価・分析をして、改善までをワンクリックで行います。
上記8つのテクニックの中では1~4あたりはカバーしています。
無料のfreeプランもあるので、「AIをプロンプトで作らせる」を体感するためにぜひ使ってみてください。
「AIにプロンプトに作らせる」はどういう人に有効か
この方法が役に立つのは特定の人だけではありません。むしろ、幅広い人が効果を感じやすいと思っています。
① 初心者でも、AIを効果的に使える
プロンプトを上手く書く技術は、一般に「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれます。ChatGPTが登場した頃から盛り上がった分野ですが、「難しそう」「覚えることが多そう」と、未だ距離を置いている人も多いと感じています。
そこで効くのが「AIにプロンプトを作らせる」です。テクニックを学び込まなくても、最初から成果が出やすい指示に整えてくれるので、これから生成AIを使い始める人でも出力を改善しやすくなります。
数回コピペして試すだけで、結果が目に見えて変わる。だからこそ、気軽にスタートできます。
② 上級者は、繰り返し使うプロンプトの調整に効く(AIエージェントなど)
いわゆる生成AI活用上級者の方は、すでに同様のやり方を取り入れていたり、そもそも自力で十分なプロンプトを書けるという人が多いでしょう。
なので、常にAIに任せる必要はありません。
ただし、上級者でも強く効く場面があります。それが 「何度も使うプロンプトの調整」 です。
例えばAIエージェントに組み込むプロンプトは、実行するたびに結果がブレにくいことが重要です。再現性・信頼性が求められます。
ここでAIに見直しと改善を任せると、調整のスピードも精度も上げやすくなります。

プロンプトは大きく 「会話型」 と 「プロダクト実装型」 に分けられます。特に後者は、AIによる改善プロセスと相性がいいでしょう。
③ AI推進者は、社内のAIリテラシーをじわじわ底上げられる
専用サービス「connon」を提供する中で実感しているのは、AIが生成するプロンプトを観察すること自体が、学びになる という点です。
AIがあなたの指示をどう組み替え、どこを補い、どう改善するのか。その過程を見ていると、自然に「良いプロンプトの型」が身についていきます。
例えば以下のような感覚が身についていきます。
・どういう構造だと、意図が伝わりやすいか
・どこまで具体化すると、狙いどおりに動くか
・出力形式や制約条件の指定が、なぜ効くのか
つまり「AIにプロンプトを作らせる」は、その場の出力を良くするだけではありません。プロンプトを書く力そのものを、じわじわ底上げしてくれる方法でもあります。
社内でAI活用を推進している立場の人にとっては、「AIにプロンプトを作らせる」という考え方をレクチャーすると、結果として社内全体のAIリテラシー向上につながる可能性があります。
おわりに
「AIにプロンプトを作らせる」技術について紹介しました。AI活用していく上で、誰でも簡単につかえて、かつ効果的な方法だと思います。
普段実行しようとしているプロンプトにこの方法を適用してみてください。きっと「こんなに変わるのか」と驚くはずです。
さらに+αのTipsも紹介したガイドブックを公開しています。
以下から無料でダウンロードできます。
