ライト氏
(8章)
〈1〉
ひとり暮らしかと
勘違いしていたが
どうやら
そうではなかった。
古くから
私の体に
私の太ももに
住んでいた方がいた。
その名は
セルライト
セル・ライトさん
とでも言おうか。
〈2〉
うすうす
気づいてはいた。
だが
ひとに言われると
いよいよ
認めざるを得ない。
全身エステを体験して
セル・ライトさんが
長年住みついていたことが
よくよくわかった。
「随分古いものです」
エステティシャンは言った。
「永住権を与えていたのかな」
と私が言うと
「与えないでください」
と即ツッコまれる。
〈3〉
当然
全身エステとなると
全身さらす
と覚悟してはいたが
いざ
若い女性に
裸を見せるのは
いささか
恥ずかしいものがあった。
エステ前の
カウンセリング中、
エステティシャンが
メモしながら
何度も
「(あとで)
お体、見させていただいて
確認しますね」
と言うので
「見させていただく」が
リフレインして
恥ずかしさが募る。
〈4〉
「なんか
恥ずかしくなってきました」
と、ドアを見やる。
いやいや
予約して
時間作って
ここまで来て
帰るわけにもいかない。
私の座る椅子の真後ろには
大きな鏡。
既に
後ろ姿、
背中の肉付き具合を
チェックされている。
帰りたそうな私に
「え?」
笑いながら
戸惑うエステティシャン。
「いえ、
もう
まな板の上の鯉です」
覚悟を決めた。
〈5〉
店内の設備や部屋を
紹介されたあと
ロッカールームで着替え
いざ
個室で
もまれる。
荒波に
いや
若きハンドパワーに。
年が半分くらいの
女性に
でっぷり?
ぽっちゃり?
した肉体を
さらす、、、
別に
どんな方が担当か
想像もなく来たのだから
何歳の方でも
いいはずだが、、、。
仮に
同世代なら
一緒に
温泉に浸かるくらい
気楽なんだろう。
かと言って
「熟女をお願いします」
などと
指名しようものなら
出禁になる。
そういう系の
お店ではない。
〈6〉
それに
一生懸命
私の
セル・ライト氏と
格闘してくれている。
手と手を使って
いや
全身使って。
体ごと
私の
セル・ライト氏に
向き合い
全力で
押し出してくれている。
ごめんよ。
その若さがあっての
その力。
ありがとう。
〈7〉
終わると
今後
月1で通えば
セルライト撃退のために
尽くしてくれると言う。
「私におまかせください!」
との
心強い言葉。
ただ、
年内は
通うのが厳しいので
「2026年に
なってから
考えます」
と伝えて
帰ってきた。
〈8〉
こうして
少しは小さくなったものの
まだまだ
住みついている
セル・ライトさんと
もう少し
一緒に
暮らすことにした。
セル・ライトさんは
古くからいるとのことだから
居心地のいい?
勝手知ったる私の太もも。
まあいいさ。
もう少し
デブを楽しもう。
もう少し?
ほんとに
デブに
終わりが来るんでしょうね?

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