筋力の出力の上限はどうやって突破するか?
ベンチプレスで70〜80kgを丁寧に胸に効かせられる人は、その気になれば間違いなく100kg以上は上げられるのではないだろうか。
なんの根拠もない、私の直感である。
逆に言えば、重量は上がっているのに身体が変わっていないように感じる人は、ほぼ例外なく筋肉を適切に動かせておらず、「重さを持っているだけ」の状態にある。
この記事では、出力の上限を突破するための考え方と、具体的にやるべきことを書く。「フォームが大事」という抽象論ではなく、実際に何をどう変えればいいかまで踏み込んでみよう。
◆ なぜ「重量が上がっているのに体が変わらない」が起きるか
追い込めばでかくなれる、という人がいる。
それはある意味正しい。ただし、もともとアライメントが整っており、運動センスもある人に限定されるが。
関節の調整やトレーニングの習得に苦労してきた人が同じことをやっても、同じ結果にはならない。お互いの主張が食い違うのはここに原因がある。
アライメントに不良がある状態で高重量を「ぶん回している」人の身体を見ると、ある矛盾に気づくだろう。
身体は細いのに、扱う重量だけが上がり続けているのだ。
こういう人はトレーニングをしてもそもそも筋肉に負荷が乗っていないので、筋肥大は起きない。代償動作と反動によって重量を持ち、振り回している。
重量に対して筋肥大が起きないので、本人は「食べる量が足りないのかもしれない」と考え始めるケースが多い。しかし、そもそも筋肉を刺激できていないため、カロリーを増やしても筋肉はつかない。
かつて私自身も、全身でバーベルカールを80kgで振り回していた時期があるが、その期間私の腕周りは38cmのまま、何年間も成長が止まっていた。
典型的な、高重量を振り回していても筋肥大できないタイプのトレーニーである。
◆ 「追い込んでいるように見えない」が理想的な状態
トレーニングが上手い人は「追い込まない」のではなく、「追い込んでいるように見えない」という表現が正しいだろう。
体幹部を固めてフォームを安定させ、部位ごとに意識を分離し、精神的な強さを維持する。それが合わさって初めて、高重量でも筋肉に刺激を与えることができるのだ。
ある選手がこう言っている。
「効かせるはね、あんまりない」と。
全てのトレーニングが筋肉に効く状態になっているから、意識的に効かせる必要がない。これが最強の状態である。
そこに至るために、やるべきことが3つある。この3つには順序があり、順序を間違えると、どれだけ努力しても出力の上限は上がらない。逆に順序さえ正しければ、同じ重量・同じ種目でも今日から効き方が変わるだろう。
ここから先はその3つを順番に、部位別の具体的なチェックポイントと実際のクライアントのエピソードを交えて解説する。
◆ アライメント不良を自己チェックする
まず確認してほしいのは、動作の「再現性」である。
毎セット、同じ位置から動き始められているか。
肩甲骨の位置、骨盤の角度、足の向き。
何レップか繰り返すことで対象筋への刺激を感じられるか。
これらがセットごとにバラバラになっている場合、アライメントが崩れている可能性が高い。
「まっすぐに立てている人は、本当に少ない」というのが私の実感である。
誰もが多少なりとも回旋が入ったり、骨盤が左右に偏っていたりする。その姿勢の癖に自分で気づける人は、さらに少ない。
具体的なチェックポイントを部位別に挙げる。
◆ 背中の種目(プルダウン、ローイング系)
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