見出し画像

高速道路あるある

高速道路を運転するとき、私はあまりスピードを出したくない。

だから、少し遅めのトラックを見つけると、その後ろにつく。
「別に私が遅いわけじゃありませんよ。前の車がこのスピードなので、私もこのスピードなんです」という顔をして走る。

すると、いつの間にか私の後ろにも、何台か車が並んでいる。おそらく、私と同じ「あまりスピードを出したくないチーム」の人たちだ。

もっと早く行きたい人たちは、追越車線へ。

そして残った私たちは、トラックを先頭に、一定のスピードで淡々と走る。
不思議な連帯感が生まれる。

「うん。このくらいがちょうどいいよね」

「無理して飛ばさなくていいよね」

言葉を交わしたことは一度もないのに、なんとなく同じ気持ちで走っている気がする。

ところが、そんな平和なチームに事件が起こる。
先頭のトラックが、途中のインターチェンジで降りてしまうのだ。

すると、それまで「トラックについていっているだけだった私」が、突然このスピードの責任者になる。
No.2だった私が、いきなりリーダーだ。

すると私の中に、熱血な頼れるリーダーキャラが爆誕する。

「……よし。お前たちのことは、俺が無事に目的地まで連れていく!誰ひとり見捨てないからな!」

さっきまで、ただトラックの後ろを走っていただけなのに。もはや私は、チームの命を預かる隊長である。

しばらくすると、後ろにいた車の一台が追越車線へ移っていく。

「あ……」

私はその車を見送る。

「ダメだったか。俺の運転じゃ、遅すぎたんだな……。ごめんな。不甲斐ないリーダーで」

「でも、あんまりスピード出すと危ないからな。気をつけて行けよ!」

そして、いよいよ私の目的地が近づいてくる。
私は高速を降りる。最後までついてきてくれたメンバーたちを、ここで見送る。

「……ありがとな」

「俺を信頼して、ここまでついてきてくれて。ここから先は、お前たちの旅だ」

そして、すぐ後ろの車に伝える。

「No.2、次はお前がリーダーだ!しっかりな。決して焦るなよ。無事を祈る!」

そう心の中で別れを告げ、私は高速を降りる。
心の中で敬礼をしながら。

高速道路を走っていると、なぜか毎回こんな脳内ドラマが繰り広げられる。
こんなことを考えながら高速道路を運転している人は、きっと私だけじゃないはずだ。

みんなやってるよね?

いいなと思ったら応援しよう!

猿吉 応援いただけると嬉しいです!チップはネタ収集という名目の活動に使用されます。たぶん有効に。

この記事が参加している募集