GPT Image 2とNano Banana Pro、MV制作の現場で1週間使ってみた
——「画像の質」じゃなくて「次の工程に渡せるか」で見たほうがいい話
こんばんは、星野メロです。スタジオで深夜2時、また同じ画面とにらめっこしてました。
GPT Image 2が4月21日に出てから、ちょうど1週間。Nano Banana Proのほうは去年の12月くらいから自分の制作フローに入ってたので、せっかくだから両方をMV案件で並行して回してみました。
最初は「どっちが綺麗な画を出すか」を見ようと思ってたんですが、途中で気づいたんです。それ、自分の仕事には関係なかったって。

「綺麗な画像」じゃなくて「動かしたときに崩れないか」
ネットで見る比較記事って、だいたいプロンプト投げて画像並べて「こっちのほうが質感がいい」みたいな話で終わってます。デザイナーさんならそれで十分なのかもしれません。
でも自分の場合、画像はゴールじゃなくてスタートです。
MVの絵コンテを作るとき、まず1フレーム生成して、それをKlingやHailuoに渡して動かして、Runwayで微調整して、最終的にDaVinciのタイムラインに並べる——という流れ。画像が単体で美しくても、I2V(image-to-video)に通したときに顔が崩れたり背景がブレたりしたら、その画像は使い物にならないんです。
「見栄えはそこそこでも、動かすと安定してる画」のほうが、現場では何倍も価値がある。
これに気づいてから、評価軸が変わりました。

ラウンド1:文字描画——ジャケットのタイポは大事
長い文字列、どっちが正確に出せるか
これはGPT Image 2が明確に頭ひとつ抜けてる印象です。
OpenAIの公式ドキュメントによると、GPT Image 2はO系列の推論を画像生成に組み込んでいて、レイアウトの整合性をチェックしながら描画してるらしい。LM Arenaのブラインドテストでは、2位とのELOスコア差が+242点だったとか。
MV制作の文脈で言うと、これが効いてくるのはサムネイルと**ローワーサード(テロップ枠)**です。「Now Playing」「Track 03」みたいな短い文字列ならどっちでも問題ないんですが、リリック・ビデオ用に歌詞の一節を画面内に組み込みたいときとか、密度が高くなるとGPT Image 2のほうが破綻しにくい。

Nano Banana Proも、これまでのモデルと比べたら明らかに優秀です。Google DeepMindの発表でも「正確で読みやすい文字描画」が売りのひとつとして紹介されてました。ただ、両方を並べて細かいタイポグラフィを比べると、GPT Image 2のほうがわずかに上、という感じ。
日本語・韓国語・中国語、現場感覚で
両方とも日本語の漢字・かな、韓国語のハングル、中国語の簡体字を試しました。プロンプトは各言語15〜20個くらい、科学的なテストではないので参考程度に。
結論から言うと、自分の用途では差を感じませんでした。アジア圏向けのMVで多言語の歌詞をフレームに焼き込むことがあるんですが、どちらも違和感のないレベルで出してくれます。

ラウンド2:シリーズ通しての一貫性
ここが、MV制作者にとって一番大事なところでした。
キャラクターの顔を保てるか
MVって、同じアーティストの顔が30カット、40カットと続きます。1カット目と20カット目で別人になってたら成立しない。
Nano Banana Proは最大14枚の参照画像を渡せて、それをもとに一貫性を担保する設計です。これ、機能の宣伝文句としてだけ聞くと「ふーん」で終わるんですが、実際に「アーティストの宣材写真14枚を投げて、別シチュエーションを30パターン作る」みたいな使い方をすると、効きが全然違う。

GPT Image 2はThinking Modeで1プロンプトから最大8枚の一貫性ある画像を出せる仕様。8枚の中の一貫性は確かに高いんですが、「14枚の参照を渡す」のと「1プロンプトから8枚出す」のは設計思想が違います。
単発のキービジュアルを作るならGPT Image 2でも全然いけます。でも、MV1本分のシーンを通しで作るならNano Banana Proのほうが現場で扱いやすい、というのが正直なところです。
1プロンプトから複数枚という思想
GPT Image 2の「8枚一括出力」は、SNS用のクロスフォーマット展開にめちゃくちゃ向いてます。1:1、9:16、16:9、3:4を一気に出せるので、リリース告知の素材を一発で揃えられる。
OpenAIのデモでも、まさにそういう用途を想定して紹介されてました。
「同じビジュアルを各SNS用に切り直す作業」がボトルネックになってる人は、これだけでGPT Image 2を選ぶ理由になると思います。

ラウンド3:実際いくらかかるのか
サブスクなら、ほぼ同じ
ChatGPT Plus:$20/月。Google AI Pro:$9.99/月。
ここはほぼ誤差ですね。すでにどちらかの生態系を使ってる人は、追加コストなしで使えるという話。
APIで回すと、けっこう差が出る
OpenAIの公式価格ページによると、GPT Image 2はトークン課金で、1024×1024の高品質画像で約$0.211/枚。Batch APIを使うと50%引き。
Nano Banana ProはGemini Developer API経由で、1K/2Kなら約$0.134/枚、4Kで$0.24/枚。Batchならそれぞれ$0.067と$0.12。
月1,000枚生成する小規模スタジオでも、年間で数百ドル変わってきます。MV案件で大量のラフを出す自分の場合、ここは結構効いてくる差。

結局、どう使い分けてるか
GPT Image 2を選ぶとき
文字を画面に焼き込む必要があるとき(リリック動画のサムネ、ジャケットのタイトル)
すでにChatGPT Plusに入ってて、追加コストを増やしたくないとき
1プロンプトから複数のアスペクト比を一気に揃えたいとき
生成スピード重視で、3秒で結果が欲しいとき
Nano Banana Proを選ぶとき
アーティストの顔やキャラクターを、何十カットも通して保ちたいとき
I2Vの最終出力が4Kで、ソース画像も4Kで揃えたいとき
API経由で大量生成する運用で、コストを抑えたいとき
クライアントワークで、AI使用の証跡(SynthID・C2PA)が必要なとき
14枚の参照画像で一貫性を作りたいとき

正直、両方使ってます
1週間試してみて、どっちか一本に絞るのは無理でした。
GPT Image 2は文字が乗るフレームと素早く何枚も出したい初期ラフで。Nano Banana ProはMV1本分を通してキャラクターを保つ作業とクライアントに納品する素材で。
役割が違うので、競合してるというより棲み分けてる感覚です。
まだ詰まってるところ
ファイル形式の変換、メタデータの引き継ぎ、色空間のすり合わせ。「GPT Image 2で出した画をDaVinciに持っていったら、想定より暗かった」みたいな小さい事故が、まだちょこちょこ起きる。
ここはモデルの問題じゃなくて、ワークフロー側の課題なんですけどね。引き続きいろいろ試して、また書きます。

同じようにMVや音楽動画でAI画像を使ってる方、「自分はこう使い分けてる」「このI2Vとはこっちが相性いい」みたいな話、コメントで教えてもらえると嬉しいです。
特にKling以外のI2Vでの相性、自分はあまり検証できてないので、知見共有できたらありがたいです。
以上、GPT Image 2とNano Banana Proの1週間使用記録でした🎸
