1月のおわりに
部屋の空気が、ぴたりと止まる。
暖房を消したあとみたいに、
余熱だけが、わたしを包んでる。
1月の終わりって、
ふしぎな匂いがする。
焦りと、あきらめと、
それでもまだ消えない火種。
言い訳のような言葉たちが、
すこしだけ、やさしくなる夜。
年始に立てた目標も、
始めようと思って手をつけられなかったことも、
ちゃんとそこにあるのに。
なぜか責める気にはなれなかった。
布団の中で、深く息をつく。
指先が冷たいことに気づく。
あたためたいのは、身体じゃなくて、
たぶん、心のほうだった。
「まだ、やりなおせるかな」
そんな問いが、
吐いた息にまぎれて、白く浮かぶ。
でも不思議と、
だれにも答えてほしくはなかった。
1月は、
追い立てる月やと思ってた。
でもほんまは、
そっと抱き寄せて、ぬくもりだけ残していく
そんな月なのかもしれへん。
まだ始まってないことを、
終わりと呼ばなくてもいい。
ほんとうに欲しかったものは、
焦って掴むより、
じっと待つほうが、触れられる気がするから。
今はただ、
灯りをひとつだけ残して、
その横で、目を閉じていたい。
「まだ、間に合うよ」
なんて言われたわけじゃないけど、
その気配だけで、
すこしだけ、ほどけてしまう夜もある。
1月のおわりは、
なにも始められなかったわたしを
やさしく見つめてくれる。
まだ消えてないものが、
ちゃんとここにあるってことを
身体のほうが、先に気づいてた。
──ほしのりりす
読んでくれて、ありがとうございます。
よるのショートエッセイシリーズは、
ことばだけで、濡れる夜がある。
あなたの「感じるところ」に、そっとふれていく連作です。
わたしのことばが、
からだのどこかに残ったなら。
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その余韻を、そっと返してもらえると、うれしいです。
わたしはまた、ひらいて書ける気がします。