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『しびれ』を拾える薬剤師になる―末梢神経障害×腎リスクの最新エビデンス

「足がしびれる」

糖尿病の患者さんからそう言われたとき、
あなたはどう考えますか?

「糖尿病があるから、神経障害かもしれない」

そう考えるのが普通だと思います。
私も、ついこの前までそうでした。

しびれは、しびれ。
腎臓とは別の話——そう思っていたんです。

でも、それは違うかもしれない。

今日は、
私の「当たり前」をひっくり返したある論文の話をしたいと思います。


糖尿病の患者さんの腎機能が悪化していないか、
薬剤師としてチェックするとき、あなたは何を見ていますか?

おそらく多くの人が、
アルブミン尿かeGFRの推移を確認すると思います。

そりゃそうです。
CKDのステージを確認するとき、この指標を使いますから。

でも、アルブミン尿って、患者さん自身は気づけないですよね。

尿が泡立っていても、「なんか泡立つな」で終わることも多い。
自覚症状としては認識されにくいものです。

検査値を見る側の私たちが意識して拾いにいかないと、見逃すこともあるかもしれません。

じゃあ、患者さんが自分で気づける腎機能悪化のサインって、あるんでしょうか?

そんなときに出会ったのが、2026年5月に発表されたこの研究。
2型糖尿病の患者さん174例を5年間追跡した後ろ向きコホート研究です。


結果がなかなか衝撃的で。

糖尿病性末梢神経障害、つまり「しびれ」がある人は、ない人と比べて腎イベントが約3倍起きやすかった。

しかも、アルブミン尿が正常な患者さんでも。


ここが大事なところで—。

「アルブミン尿が正常=腎リスクは低い」と思っていた人にも、しびれがあれば腎機能が悪化するリスクがある、ということが示されたんです。


しびれは、腎臓の未来を先読みしているかもしれない。


なぜ「神経」と「腎臓」がつながるのか、少し整理してみましょう。

糖尿病の合併症は「しめじ(神経・目・腎臓)」とまとめられますが、これらはバラバラに起きるのではなく、共通の土台を持っています。

  • 長期間の高血糖による細小血管障害。

  • 酸化ストレスや慢性炎症。

  • 血管内皮機能の低下。

神経も腎臓も、細い血管にぶら下がった臓器です。

だから、末梢神経がダメージを受けている人は、
腎臓の細小血管も同じように傷んでいる可能性が高い。

なかなかインパクトのある絵になってしまいましたが、
『しめじ』大事ですよ!

しびれは足先で起きている現象だけれど、
その背後では腎臓でも同じことが進んでいる。

そう考えると、しびれの訴えの重みが少し変わってきます。

▶薬剤師が知っておきたいeGFRの読み方についてはこちらも参考にしてください


正直なところ、
私はこれまで、糖尿病の患者さんを見るとき、「糖尿病性腎症に移行するかもしれない」という大雑把な認識しか持っていなかったんです。

しびれと腎臓を、頭の中でつなげたことがなかった。

でもこの論文を読んで、初めて気づいた。

「足がしびれる」という一言が、
腎機能悪化の予告サインなのかもしれない。

患者さんが自分の口で教えてくれている、
数少ないサインのひとつかもしれない。

そう思ったら、ちゃんと聞かなきゃいけないな、
という気持ちになりました。


じゃあ、薬剤師として何ができるか。


難しいことじゃない。

「足がしびれる」と言われたとき、その一言を流さない。

そして、頭の片隅に置いておく。

この人、今後腎機能が落ちてくるかもしれない。
と、チェック事項として残しておく。

★薬局薬剤師なら

  • しびれでタリージェやプレガバリンが新規処方された患者を、「腎リスクが高いかもしれない人」としても意識する。

  • 次回以降、eGFRや腎排泄薬の用量にアンテナを張る。

  • 「腎臓の数値も一度みてもらうと安心ですね」と、そっと受診を後押しする。

★病院薬剤師なら(看護師さんたちもこちらかも)

  • 神経障害のある糖尿病患者では、アルブミン尿が正常でも腎機能の推移を丁寧に追う。

  • 腎排泄型薬剤の用量調整を、より前のめりに検討する。

  • リハ・看護・栄養と「この患者は腎臓も注意して見ていきたい」と共有する。

薬局と病院、それぞれで腎リスクを見逃さない取り組みができる!

今すぐ薬を変える必要はない。
でも、先読りして備えておく。

それが、しびれという自覚症状を受け取った薬剤師にできることだと、この論文を読んで思いました。

「足がしびれる」

その一言を聞いたとき、
あなたの頭の中に「腎臓」という文字が浮かぶようになったら、この記事を書いた意味があります。

足元のサインは、腎臓からの早めの知らせかもしれない。

私もまだ、この視点を持ったばかり。
一緒に、ちゃんと拾える薬剤師になっていきましょう。

あなたの現場では、しびれを訴える患者さんはいませんか?


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