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今という廊下で、栞を挟む|過去と未来の間で休んでいい夜に


こんばんは、ゆきのです。
 


 
夜が深くなる頃。

世界は眠りにつこうとしているのに、なぜか心だけが覚醒して、過去や未来という遠い場所へ、さまよい出してしまうことがあります。
 

 
「あの時、あんなこと言わなければ」という数年前の記憶に引き戻されたり。

「この先、私はどうなるんだろう」という、まだ来てもいない未来に飛ばされたり。
 

体は暖かい布団の中にいるのに、心だけが冷たい風の吹く場所へ、行ったり来たり。
 

もし今夜、あなたの心がそんなふうに過去と未来を彷徨さまよって疲れてしまっているのなら。
少しだけ、「読みかけの本」の話を聞いてくれませんか。
 


鍵を置いた後の、静かな廊下で

 
以前、「過去という部屋の鍵を、そっと置く」という話をしました。

辛い過去の部屋に鍵をかけて、今という廊下に立つ──そんなお話でした。

(※初めての方へ:前回の記事を読んでいなくても、今回は単独でお読みいただけます。)
 

でも、廊下に立った後のこと。
「じゃあ、この廊下でどうすればいいの?」

 
無理に次の扉を開けなくても。
今いる廊下に、そっと座り込んで、「今日は、ここまで」と呟いて目を閉じる。

それだけで、十分な夜があります。

今日は、その「座り込む許可」の話です。
 


過ぎたページは、破り捨てなくてもいい

 
私たちはよく、「過去を断ち切らなきゃ」と思ってしまいます。

失敗した記憶や、選ばなかった道への後悔。
そんな「過ぎてしまったページ」を、なかったことにしたくて、心の中で必死に破り捨てようとする。
 

でも、本と同じで。
前のページがあるから、今のページに辿り着けたのかもしれません。

だから、無理に破り捨てなくてもいい。
「ああ、あんな章もあったな」と、ただ静かに本を閉じておくだけでいい。

読み返すのが辛いなら、今は読み返さなくて大丈夫。
そのページが「そこにあること」を、許してあげるだけで十分です。
 


まだ書かれていないページに、怯えなくていい

 
未来のこと。

私たちは、まだ白紙のページに、自分でおそろしい物語を書き込んで、怖がってしまうことがあります。
 

「きっとうまくいかない」

「また同じ失敗をする」
 

私にも、そんな夜がありました。

大切な人からの返事を待ちながら、「きっと嫌われたんだ」「もう連絡は来ない」と、勝手に最悪の物語を書いて、一人で震えていた夜。
 

でも翌朝、届いたメッセージは「ごめん、寝落ちしてた」という、何でもない一言でした。
 

未来はまだ、印刷されていません。
先のページなんて、本当は誰にも読めないんです。

今、あなたが不安に思っているその「恐ろしい結末」は、心が先回りして描いた挿絵かもしれません。
 


今日のページに、しおりを挟む

 
過去への後悔と、未来への不安。

その二つの間に挟まれて、身動きが取れなくなっている場所が、「今」です。
 

心が疲れてしまった夜は、そっと、栞を挟んでみませんか。
 

栞を挟むということは、「今日はここまでで十分」と自分に許可を出すことです。

物語はまだ途中。
解決していなくてもいい。
ハッピーエンドが見えなくてもいい。

ただ、「今日はここまで生きた」という事実に、栞を挟んで、本を閉じる。

その栞は、特別なものでなくて大丈夫です。

  • 「温かいお茶を飲んで自分を労った」という小さな栞でもいい。

  • 「深呼吸をひとつして心を落ち着けた」という静かな栞でもいい。

  • あるいは、ただ「眠る」ということも、立派な栞です。

 
「続きはまた、明日」
 

そう言って本を閉じることは、決して逃げではありません。

それは、物語を長く続けていくための、大切な知恵です。
 

栞を挟むことには、もうひとつ大切な意味があります。

「ページ番号が保存される」ということ。

 
明日また本を開いたとき、最初のページから読み直さなくていい。
栞を挟んだその場所から、また始まる。

その安心感が、明日への優しさになります。
 


彷徨っても、必ずここに戻ってこれる

 
心が遠くへ行き過ぎて、帰り道がわからなくなったときは、足元の「今」を見てください。
 

あなたの呼吸。
肌に触れる布団の感触。
窓の外の静けさ。

それが、あなたが今いる場所です。
 

過去のあなたは、今のあなたが存在するための土台を作ってくれた人。

未来のあなたは、今のあなたが休むことを、優しく待ってくれている人。

もしかしたら、過去のあなたも、未来のあなたも、今のあなたの味方なのかもしれません。
 

だから今夜は、安心して本を閉じてください。
鍵をかけて封印する必要はありません。
ただ、栞を挟んで、一時停止するだけ。

物語は、あなたがいったん閉じても、どこへも逃げたりしません。
 


【今夜のひとかけら】

 
もし今夜、少しだけ心が向いたら。

布団に入っても、思考がぐるぐると回り出したら。
心の中で、パタン、と分厚い本を閉じる音をイメージしてみてください。

小さく、心の中で。
「今日はここまで」と。
 

そして、目を閉じる前に、今日あった小さな温かいことを、ひとつだけ思い出してみてください。

  • 「朝、コーヒーが美味しかった」

  • 「誰かが微笑んでくれた」

  • 「深呼吸ができた」

どんなに小さくても構いません。
その温かさが、明日への栞になります。
 

明日また本を開いたとき、「ああ、昨日はここまで来たんだな」「この温かさから、また始められるんだな」と思えるための、小さな灯り。

できなくても、大丈夫です。

「栞を挟もうとした」──その気持ちが浮かんだだけで、あなたは今日、十分に前を向いています。
 


廊下に座り込んだあなたへ

 
過去という部屋の鍵を置こうとしたあなたへ。
それだけで、今夜は十分です。
 

そして今夜、今という廊下に座り込んで、「今日はここまで」と、栞を挟もうとしているあなたへ。

次の扉を開けなくても、大丈夫です。
廊下の真ん中で、静かに目を閉じるだけでいい。

ココミチは、あなたが栞を挟んで休む、心の安全基地です。


今日というページを、精一杯生きたあなたへ。

おやすみなさい。

咲かなくても、あなたは美しい。

 
ゆきの
 



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この記事が、あなたの心に少しでも余白を届けられたなら幸いです。
「ココミチ」では、これからも心のゆとりと小さな気づきをお届けしていけたらと思います。


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【 あなたの心に近い枝葉 】

□ 鍵を置いた後の廊下で、栞を挟む。二つの記事は静かに対になっています
→ [ 過去という部屋の鍵を、そっと置く ]

□ 夜のぐるぐる思考に、いったん区切りをつけたくなったら
→ [ 思考は雲、あなたは空 ]

□ 身体が教えてくれる休息のサインを聴きたくなったら
→ [ 身体という、最初の安全基地 ]

□ 今日はここまで、と自分を許したくなったら
→ [ 点数をつけなくていい ]


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