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あの描写と表現、こうして書きました vol.4:ご飯を食べるって何?

皆様、こんにちは。こんばんは。

藤みけです。



現在、物語投稿サイトTALESに小説4作を公開中です。
この記事の下にリンク先がございます。
少しでもご興味のある方は読んでいただけると嬉しいです。


創作大賞2025が締め切りを迎えた後に思いました。
私のとって小説創作で1番大変だったことは「描写」でした!

描写や表現の勉強をしたい!
さぁ、何から始めたら良いのやら???


ーーー自分の小説をせっかく書いたから、これを題材にしていくのはどうだろうか?


小説のシーンの描写や表現をどのように考えたか。
それを解説、紹介することで、私自身の表現方法の勉強になるのではないか???


という訳で、

今回のnoteでは、自分の小説を題材にして、
“どうしてこのような描写や表現にしたのか?”の第4弾を解説していきます。


現在進行形で小説を書いている方々にとって、今後の創作の参考の一部になれば幸いです。



なお、こちらには小説「アーキビスト」のネタバレが含まれます。
まだお読みで無い方々はご注意を。


1、そもそも「描写」と「表現」って?

*この内容は前回の振り返りです。
「もう知ってるよ!」という方々はスルーしてください。

◎描写とは?

具体的な場面や登場人物を示す方法。
つまり、読者の「見る」「聞く」「感じる」のイメージを助けるための情報
です。

例としては、
風景、動き、間、視線、表情、仕草など。

もっと細かいことだと、
息づかい、沈黙、声の高低、顔のどこかが動く、視線をそらす・・・などなど。

◎表現とは?

抽象的な感情やテーマを伝える方法全般。
つまり、読者に「何を伝えたいか」を形にすること
です。

例としては、
比喩、語り口、構成、文体、テンポなど。
作者のこだわりが1番出やすいところですね。

「描写」とは、実は「表現」の1つの手段だったのです。


2、今回の解説は『ご飯を食べる』

今回は、アーキビスト the second Book [終焉回避:片割れ魔女とボディーガードの男]の、第34話「はじまりの朝」のワンシーンを解説します。


⭐︎第34話「はじまりの朝」とは?
この話の全体的な“あらすじ“は、こんな感じです↓

倉庫での“魔女狩り”イーダスとの対峙。
謎の書庫で出会ったトゥウェルブと、“人間の記憶”。
“記憶”を遡って救ったガルド。
ゴオレムの腕から発芽する百合の花。

全ての出来事から、翌日の朝。
“記憶”と現実の間で、優月は新たな決意をする。

“魔女”とは何か。
それに迫るために、便利屋ジェミオスへ向かう。


現在のところでいう、最新話です。
この話を簡単にまとめると、いろいろ事件があった翌日の話です。

この時の優月(主人公)は、今いる場所が「現実なのか、現実でないか」という感覚に陥っているんですね。
もっと言えば「今まであったことは、本当に存在した出来事なのか?」と疑問に思っています。


優月の感覚で、たった1日程度で起こったこと↓

結璃姉さんとガルドの過去を半年分くらい覗いていた
トゥウェルブさんと一悶着あった

こんな訳ですから、時差ボケみたいなことになっているのだと思います。

優月が持っているこの感覚から、マンションの自宅の様子を観察していくことで徐々に「本当にあったことだ」「現実だ」「今を生きている」と認識していくのです。

その後、優月は「“魔女”を知る」という目的のため、ガルドと共に(最初は反対された)便利屋ジェミオスへ赴くのです。


3、食べるシーンを小説として“表現”する

ここで、皆様のご意見をお伺いします。

ーーー「生きているなぁって思う瞬間は、1日のうちのどの時間ですか?」




私が思うには、
この瞬間は・・・食事の時間だと思うのです。


毎日育児に追われていると、自分の食事をついつい後回しにしがちな私です。
だって、食事中に子供達に呼ばれたり、お茶をこぼしたので掃除したり、後片付けもしたり・・・てんやわんやなので。
そんな時、ひょんなことから口にした食べ物で「生きているなぁ」って思うのです。

例えば、
子供達に隠れて食べたチョコレート。
気まぐれで買ったドーナツ。
夜中に飲んだホットミルク。
夜食のラーメン。


・・・甘いものばかりですね。

でも、味覚を味わうことは良いことです。
これを食べて「美味しい」「暖かい」「ホッと安心する」は、本物ですよね!
「生きているなぁ」って感じます!


第34話は、本当にいろいろあった翌日の朝での出来事です。
なので今回は、食事を「朝食」のシーンとして使うことにしました。


まとめると↓

ーーー優月の感覚を「現実」に戻し、「生きている」と実感させる!

これが今回の“表現”(どんなふうに意味を込めて書くか?)となります。



また、そのための“描写”(言葉として伝える書き方)が↓

ーーー優月に、朝食がある状況を存分に味わってもらう!

なのです。


4、食事風景を小説として“描写”するために

①朝食の献立を決める

*私の場合、小説を書く前に、物語の映像を頭の中で再生します。
 それを、今度は文章に落とし込むように創作しています。

(1)朝食の献立を考える前に思ったこと。

この朝食、一体、誰が作るのでしょうか?

・・・。


はい、それは優月のボディーガードのガルドです。

◎ガルドは外国人の設定なので、和食より洋食の献立になりそうです。
米よりパン派

◎元殺し屋で体力勝負なので、きっとバランスの良い食事を作りそうです。
食卓に主菜、副菜、汁物、果物が揃っている。見た目のキレイな食事。

◎大柄な男性なので、プロテイン飲料とか好きかも。
献立に鶏肉が入っていそう(サラダチキン)
 細身な優月に対して「タンパク質摂れ」って言いそう。

それと・・・。
せっかくなので、エプロンをつけて朝食を用意していただきましょう!

フォーマルな格好を好むガルドが、可愛いエプロンをつける・・・。
大柄な男性が、可愛いエプロンを・・・。


・・・。

良いではないでしょうかっ!!!!



(2)献立の参考を探す

朝食に出せて、見た目がキレイで、鶏肉(サラダチキン)が入っているメニュー。
それはつまり・・・サラダボウルです!

第34話を書くタイミングで、実際にオシャレなお店で買ったサラダボウルを食べていました(そのお店は、「主食」になるサラダボウル専門店らしいです)
その時に感じたことを参考にします。
具体的には、味、匂い、食感、ボリューム、意外な発見などです。

サラダボウルは主菜と考えると、あとは主食(パン)と副菜(スープ、デザートなど)を入れていけば、なんとなくバランスの良い献立ができます。

また、色も意識して、赤い食材(トマト)、黄色い食材(卵)も入れます。
飾り切りされた果物もオシャレです。
さらに、これは私の好みですが・・・朝からバターの匂いって、食欲をそそりませんか?

ということで、完成した献立がこちら↓

チキンとサツマイモとキノコが綺麗に飾られたサラダボウル。
クリーミーでほんのりバターが香るクラムチャウダー。
トマトが彩るスクランブルエッグ。
見たことのない形に飾り切りされたバナナとキウイフルーツ。
焼きたての食パンが2枚(6枚切りサイズ)
クランベリー味のプロテイン飲料(乳製品不使用タイプ)


この話の季節は夏なので、夏っぽい食材(きゅうり、ナスなど)を使えると良かったんですが、難しかったです・・・。


食パンは多めにしました。
優月は14歳で育ち盛りだから、ガルドは「たくさん食え」と言いそうだと思ったので。

余談ですが、出産後の病院での食事って、すごくボリューミーなんですよね。
授乳のためのエネルギーが必要なんです。
活動するためのエネルギーを増やすって意味で印象的だったので、この時の食事も参考資料としました。


クランベリー味のプロテイン飲料は、夫が実際に使っていたプロテイン飲料を参考にしています。
冷たい水で作るとサッパリして美味しかったです!


こうやっていくと、自分の今までの体験が小説創作に活かせると実感します。
その体験を思い出すのは大変ですが、やってみると・・・小説にリアリティが出て良いですね。


・・・さて。
こちらの朝食、カロリーはどのくらいあるのでしょうか??
気になりますが、今回はこのまま次へ行きます。



②対比させる

「朝食」という仕掛けだけでは足りない部分があります。

それは、優月がどの点で「現実ではないかも」と感じているか、です。
その不足分を描写することで、彼の「生きている」感覚を強化させます!

では、その「現実ではないかも」の象徴は?
それは、トゥウェルブさんのブックカバーです。
第30話で出てきたキーアイテムですね。

これを朝食時のどこかで出すことにより、
「謎の書庫で出会ったトゥウェルブさん達も現実だったんだ」と優月に思ってもらいます。
ブックカバーを朝食の対比として扱う訳です。



③小説に必要な細かい設定(主に“描写“)を確認

◎優月の内面的状態
時差ボケ状態(現実はどこ?)→覚醒(現実はここだ。生きている)

◎場所
マンションの優月の自宅。ダイニングテーブル。
ベランダには、優月お手製の“魔女”の墓石と百合の花あり。

◎時間
時間帯は朝です。
しかし、このマンションは工事中のメッシュシートで覆われているので、差し込む光は少なめです。


では、実際に投稿した小説のシーンを見ていきましょう!


5、実際にシーンを書く!


こちらが、実際の朝食シーンです。

あれから一夜。



鼻を擽るバターの香り。
トースターから跳ねた音が、今日の朝の始まりを告げた。


「・・・」


ダイニングテーブルに配膳された朝食を見た僕は、思いがけず言葉を失っていた。



チキンとサツマイモとキノコが綺麗に飾られたサラダボウル。
クリーミーでほんのりバターが香るクラムチャウダー。
トマトが彩るスクランブルエッグ。
見たことのない形に飾り切りされたバナナとキウイフルーツ。
焼きたての食パンが2枚(6枚切りサイズ)
クランベリー味のプロテイン飲料(乳製品不使用タイプ)



「ねぇ、ガルド。これってやっぱり」
「おお。ユヅキの分だ。たくさん食え」


エプロン姿のガルドが言った。

その黒猫のエプロン、ガルドの自前だよね。
というか、なんで家のキッチンで朝食を?
手慣れすぎてない?
これってさ、ボディーガードというより、お母さんか家政婦さんだよね。
いや、給食の人・・・?



・・・うん。
戸惑いながらも判断した。

これは間違いなく、僕の朝食らしい。



「思うんだけど、流石に朝からやりすぎじゃない?」
「んな訳あるか!ユヅキは育ち盛りなんだ。たくさん食え!」
「いつもは食パン1枚で終わるから。こんな食べないんだって」
「はぁ?カロリー的にもこのくらい摂らねぇと、元々モヤシな身体がもっとモヤシになるぜ?」
「モヤシ・・・」


僕は元々食が細い方だから!
そう反論しようとすると、ガルドは手に持っていたフライ返しを指揮棒のように軽く振った。


「お前の食事はタンパク質が圧倒的に足りねぇ。体重は50キロもねぇだろ。タンパク質は1日50グラムは摂れ」
「・・・なんで僕の体重を予測できるの」
「お前をお姫様だっこしたことあるから」
「・・・!?!?!?!?」



声にならない叫びって、こんな感じ・・・?

キッチンのコンロに置かれたヤカンから湯気が出ている。
僕の顔もきっと、それと同じように火照っているに違いない。



姉さんへ。
姉さんのおかげかな。
ガルドは、
かなりの世話焼きのお人好しみたいです。
この人の食事で、僕は肌の調子が良くなる気がします。



「それに、オレが一昨日持ってきた食材だ。早めに使った方がいいだろ?」

ガルドはそう言いながら、流し台でフライパンを洗い始めた。
洗剤から1つの泡が宙に浮かび、僕の目の前で弾けて消える。

「あ・・・、そうだね」


その瞬間、ふと思った。
僕が初めてガルドと出会った日。
それは、ガルドにとっては“一昨日”のことだったんだ。

僕にとっての“一昨日”から今日までの時間は、すでに何日も、それこそ半年も経っている感覚だった。

不思議な書庫にいたアーキビストの導きの中で、“人間の記憶”をたくさん見ていたから。


・・・。

あの不思議な書庫も、“人間の記憶”も、トゥウェルブさんも、サーティスリイさんも。
本当に存在していたんだっけ?



僕はチェストを見る。
ラジオの横に置かれたブックカバー。
表側は夜空のような深い青の布。
内側は朝日に照らされるような葉っぱの緑。
あれは、確かにトゥウェルブさんからもらったものだ。

やっぱり、
僕の“記憶”は確かに、現実に触れていた。



ーーーじゃあ、ここは?

手を合わせたあと、僕はフォークを持って食べ始める。
サラダボウルのチキンからレモンのいい匂いがする。
その肉に絡むシーザードレッシング。
この匂いは柑橘類とは違う。
塩味があって魚介類っぽい気がする。アンチョビ?
それに、サクサクとした食感はりんごだ。

・・・美味しい。

ゆっくりと飲み込む喉はイキイキとしている。
頬が緩んだのが分かる。
胸の奥が、だんだんと温かくなる。


そして、
僕の顔を見て満足そうなガルドの笑顔。



間違いない。
ここも、現実だ。


僕はこの世界に戻ってきた。


“魔女”だろうと、
異質だろうと、
それでも、




生きているんだ。

いかがでしょうか?
朝食を食べるシーンを“描写”として入れることで「夢から覚めたような“生”の世界」が深まりました。
最後の一言「生きているんだ」は、まさに“表現”です。


6、AI(ChatGPT)に読んでもらいました

今回は、タイトルを検討するためにAIに読んでもらいました。

ちなみに、第34話の最初の仮タイトルは「未来を変えるために」でした。
このタイトル、なんとなく・・・しっくり来なかったんです。
その「しっくりこない」は、AIが言葉にしてくれました。

さて、タイトル案ですが一
今回の話の本質は「日常の回復」と「再び歩き出す決意」だと感じます。
「未来を変えるために」だと"使命”の印象が強く、少し硬い。
もう少し"余白”を残したタイトルの方が、優月の静かな強さが際立つと思います。

ChatGPTより


そこで、AI が挙げてくれた候補は↓

・朝のはじまり(過去を越え現実へ向かうイメージ)
・光の食卓(優月が「生きること」を取り戻す象徴)
・朝の芽吹き(第33話のタイトル「生命」からの流れで)
・光を食べる朝(食事シーンと前話「生命」への繋がりを詩的に)


AIのイチ押しタイトルは「光を食べる朝」でした。
私の作品は静かな詩情が印象的だったから、とのこと。


・・・。

AIよ、それは違うかな?


過去(記憶)を乗り越えて、生きている今へ進むイメージがある話だから、私は「朝のはじまり」がいいと思う!

ということで、候補のタイトルに少し修正を加えた結果、
「はじまりの朝」を採用しました。

時にはAIと一緒にタイトルを考えるのも面白いですよ!
きっと思いつかないような発見もあります!


7、まとめ

今回の小説のワンシーン「第34話・はじまりの朝」では、
「主人公・優月の感覚を現実へ戻すこと」と「生きているという実感」を表現するために、「朝食」のシーンの描写を考えてから本文を書きました。

今回、自分の書いた小説のシーンを解説することで、自分の今までの体験(実際に食べたもの、食の知識など)も小説に活かせることを改めて確認することができました。

実は、描写も表現も・・・今の「生きている私」を映す鏡のように思えて仕方ありません。
小説創作って、本当に不思議で面白い体験なんだと思います。
だから、こうやって書き続けられるのかもしれませんね。


今後も他のシーンを取り上げ解説することで、小説における文章の技術を磨きたいです。



ここまでご覧くださり、ありがとうございました!

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