「空海の風景」をゆく 6 歩きつなぎ遍路(5番ー10番)
20260322
第ニ日目(5番安楽寺ー10番切幡寺)
民宿は巨大なお風呂に間に合い、相部屋は回避、広い部屋でゆっくり休むことができた。5番と6番の間まで来てしまったので、3km戻るらねばならない。ちょっと待てよ、昨夜歩いているとき路線バスにすれ違った!朝の便を調べると、上板役場前7時22分のバスを発見、徳島駅行き、しかも大日寺口経由。日曜日の朝、時間通り到着、なんと地蔵寺の前まで10分ほどで戻ることができた奇跡!ロスを取り返す。しかも手前の交差点にローソン発見、「ぱりぱりチキン」を食す。夕べカレーパンのみの空腹には効く極上の一品。さあ、足の疲れも癒えたので出発。

第5番札所 地蔵寺
無尽山 荘厳院
六道の能化の地蔵大菩薩
導き給えこの世後の世
朝の巡礼はなんともすがすがしい。朝陽がようやく、お大師さまの向こうに上る。今日も良い天気だ。本堂、大師堂とお参りして御朱印をもらうにも猫しかいない。昨日、ロウソクとお線香を使い切ってしまったので、ここで調達、 広大な敷地だが、手入れが行き届いており、清潔感にあふれていた。 奥の院の四国で唯一の五百羅漢像には心を奪われたが今回は断念。今日は一旦帰るので、何としても10番打って、最低限吉野川を渡り、できれば藤井寺まで行かねばならない。まずは、10番切幡寺に何時に着けるだろうか?

ここから6番へは昨夜の宿を横目に、集落を抜けて5kmほどの距離。途中に遍路小屋があったので、小休止。遍路手帳に勇気づけられる。
みなさんも休みながらふわりといきましょう。
あまり急がないことです。気楽に。
不思議と人に優しくなれるんですよね。
四国の風がこんなに気持ちいいとは...
雪信濃遠く来たりし花遍路...
ママとはじめてのおへんろがんばります(7歳)
第6番札所 安楽寺
温泉山 瑠璃光院
かりの世に知行争うむやくなり
安楽国の守護をのぞめよ
安楽寺の赤い仁王門をくぐると、左側に大きな池があり、弁財天様と遍路の石像が迎えてくれる。御朱印をもらい忘れたのはここ。ここから7番札所までは、1km少ししかなく、お遍路全行程のなかでも近距離5傑に入る。十楽寺も、同じような赤い仁王門をくぐって、少し高台に位置するお寺。本堂の左側、大師堂へ登る石段には「治眼疾目救済地蔵尊」が並んでおり、眼病の方に霊験があるとされている。目では苦しんできた自分としては縋りたい気持ち。今日は歩き遍路は少なく、車で夫婦で参拝している方が多い。3月下旬確かに何かと忙しい時期ですからね。

第7場札所 十楽寺
光明山 蓮華院
人間の八苦を早くは離れなば
至らん方は九品十楽
ここから8番熊谷寺へ4km程の道のり、それほど高低差はない。町なかを抜けて右手に徳島自動車道を見ながら、遍路道と県道を行く。途中の交差点で、道の駅の表示があったが奥へ3kmって歩きでは大きなロスになる。角の温泉施設の売店で、でっかい地トマトを買って、行儀は悪いですがむさぼるように食べた。これが、いわゆる昔の青臭いトマト!滅茶美味かった!この辺は、露地売りもしているお店も多くある。食べられる時に食べておかないとというのが教訓。高速の下をくぐり、子高い丘を降りた右側に熊谷寺の表示が見えてきた。

第8番札所 熊谷寺
普明山 真光院
薪とり水熊谷の寺に来て
難行するも後の世のため
左下に四国八十八ヶ所で最大の山門が見える。右から来たので、道を誤ったかもしれない。参道の脇には蜂須賀桜が並ぶが、もう終盤近いのが残念。広大な敷地を誇る荘厳なお寺。石碑が立ち並ぶ参道を進むと、階段左手に、胎蔵界大日如来様を祀る厳かな多宝党、更に階段を真直ぐ登ると本堂と太子堂がある。かなり年配の夫婦が一生懸命階段も登っていた。ここまでして、お遍路に来るにはわけがあるんだろう。山門をくぐり、金剛力士像に合掌礼拝し、法輪寺へ。そろそろ何か食べたい、法輪寺の近くにうどん屋があるらしい。12時30分を回ってそろそろ着地が気になってきた。

第9番札所 法輪寺
正覚山 菩提院
大乗のひほうもとがもひるがえし
転法輪の縁とこそきけ
熊谷寺から2.2km、坂をくだって、平坦な畑の中をくだっていくが、平坦だけになかなか進んでいる気配が感じられない。畑の向こうにお寺らしきものが見えてきた。まずは、うどんを食べるか、寺の山門前には、お餅を売る茶屋があったが、うどん屋さんはなし。お参りをして国道へ出ても、やはり食べるところはそう簡単にはない。道沿いのドライブウェイはクローズ、少し手前のうどん屋さんが辛うじてまだ空いていた。何気ない天ぷらうどんに感謝、感謝、美味い、少し元気回復。ここで2時30分、よし、4km、10番へ行こう。切幡寺への道は遠い、平坦だが確実に登っている。あの山の中腹に見えるお堂ですかね、、えらく遠く見える。遍路かかしが笑ってる。歩けど歩けど着かん。

第10番札所 切幡寺
得度山 灌頂院
欲心をただ一筋に切幡寺
後の世までのさはりとぞなる
境内に入ってから、更に奥へいくと333段の石段、本堂まで224段、後100段って全然着かない。一日の最後で足がぼろぼろ、頭が朦朧としてきた。ここから落ちたら大変だと思ったら、後で、落ちたお遍路さんに会った。本堂まで上がって手水の水を思わず飲みこんでしまった。切幡寺を打ったのが、4時をまわっていたので、藤井寺は諦め、吉野川を越え、鴨島駅までたどり着けるか。鴨島から高松へ帰るには、6時台の列車に乗る必要がある。ここから9km程。

吉野川沿いまで田園風景のなかを進んでいく。途中に旅館もあるうどん八幡を発見、広告を早く出しすぎ!吉野川を越えるルートは、潜水橋を二つ通るお遍路道が正規のようだが、今回は鴨島駅を目指し、吉野川を右に見ながら下って、国道318号線の阿波中央鉄橋を行くことにした。遠い向こうに見える鉄橋を目指してひたすら道を歩く。草のにおい、夕方の匂い、春のかおり、あんなに天気よかったのに、吉野川は春の雨が降り出した。

はて、この歩きはどこかで経験したことがある。45年前に能登半島を歩いて回ったあの初夏、赤いバッグに詰められるだけの荷物を背負い、ひたすら能登の東海岸を、羽咋から輪島まであるいた。あの時も何かに執着して、見返りを求めてた自分を解放する旅だった。何年たっても、全く進歩していない、貪瞋痴を理解していない煩悩だらけの自分。放浪癖がある、歩くことは自分との会話だという本能はその時から持っていたのかもしれない。
今回もお読みいただきありがとうございました。
