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教育の世界にあらわれた新たな帝国?第1期生の内訳で痛感する、ZEN大学の唯一無二の強さと特異性

以前、大学業界のなかで、いま通信制大学が面白いという話題でZEN大学について紹介するnoteを書きました。今回このZEN大学への第1期生の入学が記事になっており、短い記事ながらすごく興味深かったのでご紹介します。良い悪いとかでなく、そもそもの建付けがこれまでの大学と大きく異なることを、あらためて痛感させられました。
※サムネイル画像はZEN大学HPより

3,380名もの第1期生がZEN大学に入学

記事では、2025年4月9日に第1期生の入学式があり、初年度は3,380名の入学があったとあります。当初、ZEN大学は5,000名の定員枠で文科省に申請したのですが、最終的に3,500名の定員枠が認められていました。

定員枠が3,500名で入学者が3,380名なら定員割れなのでは?と思う方もいるかもしれません。でも、通学制大学と通信制大学では定員の意味がぜんぜん違うんです。通学制の場合、キャンパスの広さや教員数などと定員は密接に関係していて、適正人数であるとともに、経営するうえで必要な学生数になります。一方、自宅学習&教材による学習が中心となる通信制では、かなりバッファをもって設定します。大学によって考え方は異なると思いますが、印象としては予想を超えてたくさん来たとしても、いくらなんでもここまでにはならんやろ……という枠で申請している印象です。そういったなかで、ZEN大学は3,380名という、かなり定員に近い枠を確保しているわけです。

人数よりも興味深い、入学者の内訳

注目すべきポイントは入学者数だけではありません。その内訳が、それと同じかそれ以上に興味深いんです。記事では内訳について以下のように書かれています。

 第1期生は3,380人が入学。内訳を見ると、高校3年生(高等専門学校生を含む)からの進学者が59%と半数を超えた。また系属校であるN高等学校・S高等学校からそのまま進学した学生の割合は全体の42%となった。
 新入生の居住地は47都道府県すべてで、年齢は18歳から79歳までと多岐にわたる。なお、新入生のうち10代と20代が占める割合は87%にのぼり、若年層が大半を占めていた(第一期生に関する数値はいずれも2025年4月1日時点)。

ReseMomより

まずインパクトあるのが、進学者のおよそ6割が高校3年生で、87%が10代と20代というところです。通信制大学の場合、学べる分野にもよりますが、リカレント教育や生涯教育として利用する人も多く、進学者の年代が幅広いのが特徴です。それなのにZEN大学の場合、極端に若者に集中しています。

通信制大学のなかには、ZEN大学の誕生によって入学者が減るのではないかと戦々恐々していたところも多そうですが、直撃を免れた印象があります。またこの事実は、通学制大学を選んでもよさそうな年代の人たちが、これだけたくさん通信制大学(ZEN大学)を選んだことを意味します。これって単に志望校選びの話ではなく、価値観の変容が起きているってことだと思うんですね。今後もコンスタントにこのボリュームで若者たちが通信制大学(ZEN大学)を選ぶのであれば、通信制大学のイメージも変わっていくだろうという気がしました。

定員を支えるN高グループからの進学者

そして、もう一つのインパクト、これはZEN大学の進学者に若者が多い理由にも直結するんですが、進学者のうち42%が系属校であるN高・S高からの内部進学なんです。42%というと、およそ1420名。これ、けっこうな人数です。どれくらいすごいのかを感じてもらうために、有名私立大学の付属校の生徒数をいくつか調べてみました。

早稲田大学 高等学院HP慶應義塾高等学校HP明治大学付属明治高等学校・明治中学校HPのデータをもとに作成

1学年の生徒数でいうと、早稲田でおよそ490名、慶應で730名、明治で280名。最も生徒数が多い慶應であっても、N高・S高からZEN大学に進学した人数の半分程度。しかも、これらは名門校なのでほとんどの生徒が内部進学するでしょうが、新設で実績もなく通信制でもあるZEN大学の場合、そうはいきません。そんな状況があったうえで、これだけの人数がZEN大学に内部進学しています。

それはなぜかというと、N高・S高の運営で得た信頼感や期待感などもあるでしょうが、おそらく最も大きな理由は、生徒の多さだと思います。N高グループの全校生徒数は32,460名であり、これは高校として日本一の生徒数になります(2024年12月)。先ほど掲載した図表に、早稲田、慶應、明治の全校生徒数(合計)も記載しましたが、文字通り桁が一つ違います。内部進学率でいうと、これら3校より大きく下がるとは思いますが、人数の多さゆえに、ZEN大学の挑戦的な定員を下支えできるほどの生徒を送り出せているのでしょう。さらに今年4月、N高グループに新たにR高等学校が誕生しました。3年後には、ここからも多くの生徒がZEN大学に進学することになるはずです。

N高等学校・S高等学校・R高等学校HPより

唯一無二の教育界の帝国

ZEN大学のカリキュラムや制度には、N高やS高の運営ノウハウがこれでもかと詰まっているのは以前から感じていたし、N高グループからの内部進学もあるだろうと思ってはいました。しかしいざ開設して数字が出てくると、こんなにも!?と驚きました。運営ノウハウであれば、自大学の実情にあわせて取り入れたり、参考にすることも可能です。しかし、複数の学校をまたいだ大規模な学生供給システム(?)になると、一朝一夕で築き上げることはできません。ある意味でこれは教育という世界における帝国です。

私立大学のなかには、複数の付属校をもつところもあります。でも、これら大学は長い歴史のなかで付属校を増やしていった通学メインの大学です。ZEN大学のように、いまから現在のテクノロジーや社会状況にあわせてゼロから大学を設計し直すことは、おおよそ不可能です。また通信制高校は、通学制の高校より立ち上げる制約が少ないうえ、多くの生徒を受け入れることができます。そういった通信制高校のコスパの良さを大学経営に活かすというのも、他大学がすぐ真似できることではありません。長期的には変わっていくのかもしれませんが、少なくともしばらくはZEN大学は唯一無二の大学なのだろうなと、今回あらためて強く思いました。

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