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バックオフィスには「選ばれる競争」がない。だから、意識しないと体験は良くならない

先日、「【情シスへの挑戦】未経験からマネージャーへ、どんな志向が求められるかを語ってもらいました」という動画に出演させていただきました。

動画の中でも少し話したのですが、私は「従業員の体験を良くしたい」と思って情シスに社内異動し、ずっと体験を大事にしてきました。

なぜそこまで体験にこだわるかというと、バックオフィスには放っておくと体験が良くならない構造があるからなんですよね。今回はその話を書いてみます。

働き方を決めているのは誰か

出社の方針、出張のルール、経費精算のフロー、勤怠の付け方、PCのスペック、AIツールの利用をどこまで許可するか。従業員の働き方の多くは、人事、労務、経理、情シス、といったバックオフィスが決めています。従業員は自分では選べず、会社が決めたものに沿うしかありません。

決める側のバックオフィスには、従業員から選ばれる競争がありません。だから従業員の体験より、管理する側の都合に寄りがちになる。良い悪いではなく、そういう構造になっています。

たとえば新しい SaaS を選ぶときに管理者側の機能の使い勝手はしっかりチェックするけど、ユーザー側の使い勝手の検証は足りていない、なんてことが多いのではないでしょうか。

SaaS ベンダーも同じです。売り込む相手は毎日使う従業員ではなく、選定して稟議を通すバックオフィス部門。だから機能開発も、従業員の体験強化より管理機能の強化に寄っていきがちです。

そういう構造になっているからこそ

従業員の体験を考えた働き方になっているか?

自分たちの管理のしやすさだけでツール選定をしていないか?

ユーザー目線になって使い勝手などの体験を考慮しているか?

などをバックオフィス部門の人は常に考える必要があると私は思っていますし、そういう気持ちで私は情シスをやっていました。

我慢のツケとシャドーIT・シャドーAI

体験の悪さは「従業員に我慢してもらえば済む話」では終わりません。

情シスの観点では

スペックの低いPCを渡せば私物PCを使うリスクが上がる

使いにくい SaaS を提供すれば、個人やチームの単位で全社ツールではない類似ツールを使い始める

会社がAIツールを用意しなければ、あるいは制限しすぎれば、個人契約のAIツールに業務の文章や社内情報を貼り付けて使い始める。

従業員はシャドーITやシャドーAIに流れていきます。
体験への投資はセキュリティ対策でもあります。

おわりに

働きやすさは生産性や離職率に少なからず影響します。回り回って、体験を良くすることは従業員満足度の向上、はたまたセキュリティの向上にもつながります。

従業員には選択肢がないのだから、提供する側が体験を意識してつくっていくしかない。これは社内ITに限らず、バックオフィス全般に言える話だと思います。

といっても大げさなことをする必要はなくて、ツール選定時に実際に使う現場ユーザーを巻き込む、満足度を定期的に計測してみる、そのくらいの取り組みからで十分だと思っています。

主務としては情シスを離れた今も、一緒に働いている人にいい体験をつくる側でありたいと思っています。

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Tatsuya Nakano / howdy39 🐶のおやつ代