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hiiro_archive153
盗まれても まさか警察には 娘の心を返せと言えない 花嫁の父
盗まれても まさか警察には 娘の心を返せと言えない 花嫁の父
娘の笑顔は、かつては私の手に収まるほど小さかったんですよ。あの頃は娘は私の膝の上で世界のすべての物語を聞いて、星の空でお父ちゃんずっと一緒にいようねと言ってくれたもんです。その声は今も私の心の中に残っています。今日、娘は白い着物に身を包み、別の誰かの手を持っています。花嫁の父とはこんな悲しいもんですわ。娘の心が誰かに取られても、私は盗まれたと叫ぶことはできません。警察に駆け込んで、私の娘を返してくれと言うこともできません。娘の瞳に映る愛は私の知らない色をしています。それは娘が自分の道を歩み始めた証拠です。それを涙ながら手放さなければならないのが私の勤めなのです。祭壇の前で娘の手を彼に手渡すとき、私の心はかすかに痛みます。喜びと悲しみが入り混じり言葉にならない思いが喉を詰まらせます。もう涙が止まりません。だが、娘の幸せそうな笑顔を見ればそれでいいんやなぁと思います。私の気持ちは娘の心を縛るのではなく、娘を自由に飛ばす翼でなければならないことよくわかっております。娘がどこへ行こうと思う。私は娘の父であります。たとえその心が別の誰かに盗まれてもしても、私はただただ娘の幸せを祈るだけでございます。ありがとうございます。
