映画感想| ラブ・イン・ザ・ビッグシティ
2025年6月28日鑑賞
2025年6月13日公開
イ・オニ監督
他人の目を気にせず自由に見えるジェヒと、ゲイであることを周囲に隠して生きるフンス。 二人が大学で出会い、同居人となり、それぞれに恋のようなものをして、お互いに分かりあっているが故のぶつかり合いを経て、互いにかけがえのない存在となり、自分でしかない人生を生きていくまでを描く。原作は「国際ブッカー賞」や「ダブリン文学賞」に ノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説。 ジェヒをキム・ゴウン、フンスをノ・サンヒョンが演じる。
一見すると好青年に見えて実はロクデモナイ男に恋をして、存在自体を否定されて傷付くジェヒ。フンスに連絡するも、フンスはフンスで一大事に巻き込まれていて連絡がつかず、飲んだくれて夜を明かすジェヒ。
お互いに相手を大事に思っている。それは真実だけれど、自分のことだって同じように大事。それも真実。自分が一番しんどい時には、どんな理由があっても一緒にいて欲しいと願い、応えてくれない相手に苛立つ。他人と出会ってかけがえのない存在になるということは、思いやりとか友情とか愛情という言葉では片付けられない、業や性、自分自身の綺麗事ではない感情を知ることでもあるのかもしれない。大切な存在とは、綺麗事ではない世界でも、お互いに許し合って生きていくことができる存在なのかもしれない。
この映画を観た直後に東京都美術館のミロ展を訪れた。そこで印象に残った解説がある。
ミロの絵に残された手形は、作者の存在と同時に不在を感じさせる。
と綴られていた。
存在を得たからこそ、不在の孤独や渇望や絶望を知り、他者を通じて初めて生きている自分という存在を実感できるのだ。
ジェヒとフンスの二人の繋がりを思った。
孤独を感じたことがある人は、人生で一度は幸福を知った人でもあるのかもしれない。
正直に言うと、この作品のサラサラと流れて、わかりやすくハッピーエンドで締めくくられる作風は、自分好みではない。もっと苦くて乾いた感触の方がよかったなと思った。でも、良い作品だと思うし、主演の二人も脇を固める俳優さんたちも、見た目やふとした仕草が柄にあっていて、生き生きと役を演じている点に引き込まれた。事前に計画するのじゃなく、次の予定までの隙間時間に、映画館の近くにいて、偶然に上映時間が合って鑑賞する、という感じの状況で観たい作品だと思った。
