第七章5
翔太からメールが来た。
「ちょっとこっちで当事者たちと話し合いの段取りしてるところだからまだちょっと外にいてくれ。それか知り合いの子のところにしばらく住ませてもらって。その子に連絡するから。」
私たちは他の人と一緒に住めるようなメンタルではなかったからそれは断った。
翔太は分かったと連絡が来たが、しばらくしてその知り合いの子からメールが来た。
「駐車場どうする?一応借りられそうなんだけど。」
私は「あれ?翔太には断ったんだけどな」と思いながらその知り合いの子に電話したが繋がらなかったからメールで送った。
「せっかく駐車場借りてくれたのにごめんなさい。今は気持ち的に誰かといるって言うのがキツくて⋯。」
その後その知り合いの子から電話のかけ直しが来て話が出来たから少し話をした。どうやら翔太が勝手に私たちが行くと話していた様だった。
私たちはまた違うホテルに予約をして移動することにした。
慌てて出ていったから、必要なものを家に忘れてしまって警察に電話して相談したら昼間なら大丈夫ではないかと言われたからお昼前にこっそりと少し帰ろうと思った。
翔太の車は2台分を使い占めていた。
鍵を開け家の中に入ると静かだった。
必要なものを持っていると、翔太が2階から降りてきた。
「あれ?まだ帰ってこないでって言ったよね?」
「必要なものも持てないまま出てっちゃったから。少しだけ取りに帰ったの。」
「とりあえずしばらくはまだ外にいてくれ。こっちが収まってからの方が安心だろうし。それと引っ越しも考えてさ。どっか見つけてよ。」
「わかった。じゃあ行くね。」
「金はどうにか使えるようにしておくから使ってくれ。じゃあ。」
この会話で私は気付いた。
私たちに帰ってきてほしくない理由が他にあることが。
その理由はどうせくだらない、自分本位の理由なんだろうけど。
毎晩出かけている様子は家の状態を見て分かった。
きっと私たちに外にいるよう、もっと日にちを延ばしてくるはずだ⋯!
でも確実に流れは変わってきている。
海賊船に乗った人たちが、翔太の攻撃を違う方向からしてきている。
本当はビビリで意気地のない翔太は胸の内は怖くて仕方ないだろう。
一人ぼっちで自宅にいるなんて出来る性格ではないだろうから、自分は出かけて山中に自宅で待機させているんでは?とも予想はついていた。
真理奈から連絡が入った。
「翔太飲み歩いてるみたいだよ。どうせ山中自宅に留守番させてるよ!あいつふざけてんな。大丈夫なの?いつ戻る予定?」
「まだ戻ってくるなって言われちゃったからしばらくは外にいる。帰ってくるなっていうのは、こんな状況の中私たちが家にいたら出歩くことを文句言われるのが嫌だから帰ってくるなって言ったんだろうけど。自分が自由に出かけられないとかどうせくだらない理由だと思う。洗濯もご飯も山中がやってくれるだろうし。」
「何かあったらすぐに連絡してね!まだ外にいるなら会いに行くわ!予定わかったら連絡するから!」
「ありがとう。」
真理奈は何かあったらすぐ駆けつけてくれるかっこいい人だ。
留美子さんも心配して何度も電話をくれて励ましてくれた。
「今はとにかく辛くて苦しいだろうけど、美咲さんがいなければあいつは逮捕出来ない。一生野放しだよ。ここまで来たら一緒に頑張ろう。何かあったら吐き出してね。」
電話やご飯を食べたりしてようやく違うホテルに到着した。
チェックインし部屋に入った。
すると翔太から着信が入った。
「あー。美咲?家族カードの充当しておいたから、悪いけどもう1週間ぐらい泊まってきて。なかなか上手く話がまとまらないんさ。」
やはり予想通り延ばしてきた。
「それでさ翔太は家にいるわけ?犬は?」
「俺は話し合い以外は出かけてないよ。犬はペットホテルに置いてきたから。心配しないで。そっちはホテル生活楽しんで。」
今は顔を見ないお陰で腹立つことを言われても気にならなかったが、犬のことは心配だった。
とてつもなくビビりの犬だから、家族以外がご飯をあげても食べないのだ。
翔太絡みのSNSを莉子にチェックしてもらったらとてつもない数のシャンパンを入れて、私たちがそろそろ帰るとなっていた日にちにとある場所のお祭りの後に同伴するなどの記事も上がっていた。
だから延ばしたのね。
都合悪いからね。
山中に自宅にいさせて、自分はキャバクラ三昧。
私や子どもたちはこのホテル生活が缶詰のように思えてストレスが溜まっていた。
こんなに苦しい思いをしてるのにあいつはなんなんだと思ったが、今は泳がせて証拠を撮ることを決意し握り拳を作って耐えた。
何日間かこのホテルに滞在し、一軒家のレンタルを借りることにした。
やはり外食やカップ麺だと胃がやられてしまった為変更した。
そこに真理奈が来てくれたのだ。
久々にご飯を作って一緒に食べながら話をしていた。
「明日あいつプレオープン行くと思う!あいつが入り浸ってるキャバクラ新店舗オープンするから。」
「もうすごくない?毎晩毎晩キャバクラ三昧。シャンパン祭り。でもそのお金どこから流れてきてるんだろうね。気になるよ。見れないからもどかしい。」
ここしばらく情報が全く見れてなかったから分からなかった。
でもこの私たちがいなくなった辺りから羽振りが相当良くなったようにSNSを見てると分かる。
「もう少ししたら帰るんだろうからそこからまた収集入ればいいんだよ!今はとにかく休んでさ。愚痴ならいくらでも聞くから!頑張ろう!」
励ましてくれて息抜きさせてくれて、真理奈は帰っていった。
真理奈の言う通り、あいつは呑気にプレオープンに参加していたようだった。
あいつの行動のほとんどを外でも集められるものは集めながら、ここの一軒家で時を過ごした。
ー私は前と違って味方がいる。絶対に負けてたまるか。必ず私たちで終わりにしてやる。ー
そして自宅へ帰る日を迎えた。
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