第六章、潮目が変わる
夕方になり子どもたちが帰ってきた。
「ママ!ただいま!お客さん来てるよ。家の前でウロウロしててよく見たらあれ?って思って。」
莉子が玄関を開けるとそこに一人の男性が立っていた。
「みさちゃんお疲れさま。突然ごめんね。しょうちゃんいるかね?」
翔太の友達だった。
今話しかけてきたこの人は深田くん。
私も以前から知っていてふかやんと呼んでいた。
「ふかやん久しぶりだね。今翔太は出かけてていないんだけど⋯。何かあったの?」
ふかやんの顔つきが変わりとても困っている様子だった。
「実はさみさちゃんには口止めされてて言えなかったんだけど。俺しょうちゃんにお金貸しててさ。最近連絡取れないし約束した日にちになると何か理由つけて破られて。金額も4000万を超えるぐらいの高額を貸してたんだ。山中もこの件は知ってるんだ。何故か中間に入ってきて。みさちゃんには言うなって言われてたんだけどここまで約束破られてるとどうにも出来なくて。」
あいつは友達までもお金の餌食にしていたのか。
「上がって。ゆっくり聞くから。」
「おじゃまします。」
「いつから?そんな大金すぐ渡したわけじゃないんでしょ?」
「2、3年前からかな?しょうちゃん俺が知り合ったときから羽振りがよくてなんでそんな金あるの?って聞いたら"貸金業"やってるって聞いて俺もお金欲しかったから紹介してもらったんだ。」
え。また違うワードが始まった。
トランプを使ったり、未来が見えるだの、お金に菌が付いてると言っていたのは聞いてきたが。
それは女性だけだったのか?
「最初は毎月決まった金額をお給料としてもらってたんだ。投資って形でまとまったお金を渡してた。最初は100万とかそんな感じから始まって、どんどん金額が上がってリターンが大きいからって言われてさ。俺もしょうちゃん信用してたから。だけど、お金の充当をする時はすぐに連絡がつくのに俺がもらう時になると風邪だのインフルだの予定があってとか色々言い訳つけてもらえなくなってきた。そのぐらいからかな?山中がしょうちゃんの代わりに届けに来たりし始めて。今は山中も連絡が取れないんだ。」
「それさ嘘だよ。あいつの。ふかやんと同じ感じの人来たから。ただし私より翔太を信用するなら聞かなくていい。現実を見て誰が正しいか判断してほしい。」
「さすがにここまで無視されて、全然返ってこないとなると信用はないよね。友達だったからってのもあったしすごいショックだったけど。」
「真実が聞きたいと思うなら私ではなくある人を繋げたいと思うから電話で話してもらえる?ただし絶対翔太と山中には言わないと約束してほしい。」
「わかった。絶対に言わないと約束するよ。」
やはり私の言葉なんかよりも昌次さんに話してもらった方が真実味があるだろうし、第三者で同じようにお金の被害を受けているなら耳を傾けてくれるだろうと直感で思った。
ふかやんにまた連絡するねと言って解散した。
すぐに昌次さんに連絡し事情を話した。
「わかった。じゃあ電話してみるよ。警察にも行くように話してみるから。」
すぐに連絡先を昌次さんに教えてお願いした。
今回はちょっと以前とは状況が違う気がしてきた。
翔太のいい加減な行動が目に付く人はこっちに来てくれる可能性があるかもしれない。
ただ信用するかしないかを慎重に選ばないとまた足元すくわれる。
あいつにバレたら絶対に終わる。
だからこそもう普通に接しよう。
あいつの考えよりも先回りする行動が必要だから何パターンか考えておかないと。
「ママ?大丈夫?ボーっとしてるけど。」
莉子が視界にいきなり入ってきた。
「うわ!驚いた。」
「さっきから話してたんだけど聞いてた?」
「ごめん。聞いてなかった。どうしたの?」
「ふかやん来たの今回が初めてじゃないよ。」
「え?そうなの?」
「ママが蓮の通院で留守の時2回ぐらい来たかな?しょうちゃんいる?って。あいつ2階で寝てて起こしに行ったんだけど具合悪いから後で電話するって言ってって言われてそれを伝えたの。でもこのこと言うつもりだったのを忘れてた。ごめんね。」
「そうだったんだ。じゃあ今日だけじゃなかったんだね。」
内容証明の中に男性が一人いて、その人もふかやんと同じような内容が書いてあってもっと桁違いの金額を返してと書いてあった。
男性には違う言い方をして騙すんだ。
恋愛関係には持っていけないからと思っていた。
ただ山中が関与しているということはやはり、山中は洗脳されてるからあれだけ何でも言うこと聞いて私たちが話してたこととか全部翔太にチクるんだとなんか腑に落ちた。
夕食の準備を莉子と一緒にしていたら、珍しく早くに翔太が帰ってきた。
心の中ではこの野郎と思いながらも顔には出さず「おかえり。今日も大変だったんだね。」
と声をかけた。
翔太は機嫌が悪いのか
「経営者は悩みが尽きないんだよ。トップは大変。お前はいいよな。何の悩みもなくぐーたら過ごせて。カードで買い物も出来てさ。俺は汗水流して本気で仕事頑張ってるのに。お前みたいな暇人になりたいよ。お前みたいな害虫がたくさんいるんだよなぁ。」
込み上げる怒りを自分で鎮めた。
こんな人間がいい人だと洗脳されてる人達にこの暴言を聞いてもらいたいものだ。
ネチネチグチグチ言い続けるこんな奴を。
お前こそが根っからの害虫だよ。
散々コケにして、責任負わせて。
どうせ今日もパチンコだろ。
それでもバレないように
「大変だよね〜。何もできなくてごめんね。」
と言って流した。
莉子はそれを聞いて肩をポンポン叩いて慰めてくれた。
その夜ふかやんからメールが届いた。
いいなと思ったら応援しよう!
小説を読んで頂いて良かったと思ったらチップをお願いします🙇♀️
自費出版の費用に使わせて頂きます📖✨️