第七章、隣に来た船は海賊船
突然翔太に訳分からない俺仕事サクラなんだ宣告を受けて、自慢げにあれこれ言ってきている。
一方の私はこの人ベラベラとよく嘘を並べて言ってくるなぁと思いながらそうなんだと言って聞いていた。
もちろん手元の携帯は録画しながらだ。
若い時の私は水商売の世界にいたからある程度の流れは分かる。
昔からサクラなんて職業をしてる人間なんてもちろん聞いたことなんてなかった。
でも翔太の話(嘘)を少しでも記録に残したい一心で、知らないフリをして洗脳されてるフリをして引っ張った。
翔太も私が水商売の仕事をしていたことは知っている。なぜならそこの私が勤めていたお店に翔太がお客としてきて早く言えばそれが出会ったキッカケだったから。
私のことを余程バカだと思ったのか、知らないと思ったのか分からないがよく口から言葉(嘘)が出ると思った。
私も煽てて鼻が伸び始めた翔太は話を続けていた。
「シャンパンとかも一時的に俺が立て替えて後から給料って形でもらってるんだよ。売れてない女の子とか、新人の子とかのサポートがメインでやってるんだよ。その子が売り上げ伸びれば、他のキャストもやる気になるから。ちなみに俺が結婚してること、子供がいることは伏せてやってるよ。俺が結婚してたらショック受けて辞めちゃう子もいるから。俺も頼まれてる以上色恋とかやらないと不自然だし。全て仕事の一環だから。座って笑ってりゃあいいんだから簡単な仕事だよ。キャバ嬢は。」
突っ込みたいところがたくさんあった。
さすがに聞いてて、お前がただ"キャバクラにハマった"それだけだろうと言いたかったが飲み込んだ。
だけど我慢できなくて一つだけ突っ込んだ。
「私が働いてた時代はそんなサクラなんていなかったけどね。お客様に楽しんでもらえるように全各所の新聞読んだり、ニュース見たりして話しの引き出しいっぱい作っておもてなしする気持ちで接客しろって代表が朝礼で毎回言ってた。それぐらい高い時給だからこそ勉強することは山のようにあったよ。笑って座ってるだけだと、先輩にも代表にも怒鳴られてる人いたよ。でも今はそんな裏までサポートしてくれるんだ。それに選ばれたってこと?」
この返答の中で翔太が食いついてくるワードをわざと入れたのだ。
「お前がいた時代は平成。俺が今やってるのは令和の仕事。仕事内容違うから。今は座って客が話したことをニコニコ笑いながらその場にいればいいんだよ。でもまぁ確かに"選ばれた"んだよ。俺は特別だから店側が俺を"選んだ"んだよね。アフターとか同伴もね。色んな子のメンタルケアまで頼まれてさ。俺は断ったんだよ?でも女の子たちが群がってきちゃって私のも聞いてみたいな。大変だよー。」
やはりこいつは単純だからあなたは特別なんだね要素を含めた言葉を言えばすぐ調子に乗ってあれこれ言う性格なのもよーく知ってる。
最近家族カードが頻繁に止まることがあった。
理由を聞いても「磁気がやられてる」、「お前が使いすぎたから止まったんだよ」、「そこのクレジット会社が利用者が多すぎてパンクして使えなくなった」
などの意味不明な理由をこじつけて来られて、買い物の時恥ずかしい思いや苦しい思いをしたりしていた。
お陰でカードが止まった理由がこれで分かった。
決して私はそんなに使っていない。
というのも引き落としがかかって2日ぐらい経つと大体使えなくなることが多くなっていたからだ。
その自称サクラで支払いカードで何本もシャンパン入れすぎのお陰でこっちは買い物できなかったわけね。
なんとなく想定はしていたがまさかのそっくりそのままの話をしてくるとは⋯。
私が疑わないよう、自分なりにうまーく考えながら言ってるんだろうけど⋯全部知ってるよ。
しばらく経った数日後、翔太の後輩の山中が以前よりも増してうちに出入りするようになってきていた。
翔太が山中への対応は下僕のような、パシリのような何とも言えない関係性だった。
私や子供から見ても山中は翔太に例えどんなことを指示されたとしても「NO」と言える性格でもなかった。
この男性も洗脳されてたと表現すべき人だろう。
翔太に頼まれれば全て「YES」で返さなければひたすら説教、ネチネチグチグチいわれる。
だけど、私も経験したが洗脳されてる時は誰がなんと言おうと耳を傾けることはないのだ。
聞いたことを全て翔太に話してしまう。
報告と言う形で全てを話しをしないといけないと思ってしまうのだ。
だから私たちは山中には何度も手を差し伸べたが、結局翔太にチクられて諦めたのだった。
翔太に言われればタバコ一つ買ってこい、マックを買ってこいだの言われれば山中は自分の自宅からうちまで車で40分もかけ届ける。
翔太が行けば一分で終わる話だ。
お金のことで私に聞かれないようコソコソやりとりしていたことも多々あった。
そんな時大きな事件が起こった⋯。
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