爆笑エッセイ「もものかんづめ(著さくらももこ)」から学ぶ魅力的な冒頭の文章【マル秘note術】
魅力的な文章を書けるようになりたい。
そう願う方に、ぜひおすすめしたい方法があります。それは、一流のプロの文章を「写経」することです。
写経といっても仏教の修行ではありません。
魅力ある文章を手で書き写すことで、表現のリズムや語彙の選び方、構成の流れを体に染み込ませるという、文章力向上のための古くて新しいトレーニングです。
とりわけ「面白い内容を、わかりやすく伝える」技術を学びたい人におすすめなのが、さくらももこさんのエッセイです。
早速「もものかんづめ」から少し引用させていただきましょう。
水虫といえばたいがいオッサンの持病であり、それにかかると脂足に甚だしい異臭を放ち、その靴および靴下は、家族の間では汚物とみなされるという恐ろしい病気である。
そんな大変な病気に、私は16歳の夏、冒されてしまった。
こちらは彼女が綴った最初のエッセイで「もものかんづめ」へ最初に収録されている「奇跡の水虫治療」。
どうでしょうか?
もうすでに面白くて、先を読み進めたくなる内容で「さすがは、さくらももこ先生!」と言いたくなるほど、心を鷲掴みされてしまいます。
「もものかんづめ」は単行本・文庫版合わせて累計250万部を販売するベストセラーとなり、こんなに売れたエッセイ本はなく空前絶後の売上となりました。
なぜ老若男女問わず、その魅力を伝えられるのでしょう?
彼女のエッセイの特徴として
・難しい言葉は使わない
・文章が端的でわかりやすい
・冒頭でのツカミが極めて早い
・フリからオチまでが短い
・身近なネタが多いので共感しやすい
・構成力に秀でている
・抜群のバランス感覚(品を失いそうなぎりぎりのテーマが多いが、内角すれすれを狙うだけでデッドボールがない笑)
などが挙げられます。
引用した文章の最初の箇所で「水虫がいかに不快で大変な病気か?」を記し、すぐ様「著者が16歳のときに罹患してしまった」と続きショックを与え「ええっ、水虫JKになってその後、どうなったの!? 気になる!」となります。
こうして解析すると、極めて論理的で意図的に読み手の心を揺れ動かしています。
つまり自在に読み手の心をコントロールできる手練れなのです。
『もものかんづめ』は、日常の出来事や子ども時代のエピソードをユーモアたっぷりに描いた短編エッセイ集です。まるで短編コメディのように膨らんでいきます。
さくらももこさんのように「身近なことを、自分の言葉で、面白く伝える力」をもし身につけられれば、あなたのnoteは今よりもさらに魅力的になるのは間違いありません。
難しい言葉を使っていないのに、ぐいぐいと読ませてしまう文体。誰かに話したくなるような独特の視点。そして、どこか読者の心に残る余韻のある締めくくり。
こうした技術は、写経を通して少しずつ身につけていくことができます。
また、彼女はお笑い芸人なみに自己開示の達人でもあります。
「自分の失敗談を、笑える話に変換する技術」も、『もものかんづめ』では随所に見られます。
普通なら恥ずかしいような出来事でも、彼女の語り口はどこかとぼけていて愛らしく、読者の共感を自然に呼び起こします。これはライターにとって非常に重要なスキルです。
確かどこかで「痔になってしまった話」みたいなエッセイも書かれていましたね。
読み手よりもあえて自分を下げることで、無意識に優越感を覚えさせ気持ちよくなる術を知り尽くしています。
読者は、誰かの成功よりも失敗談の方を本能的に好みます。
さくらももこさんの文章は、読者との「心の距離」を縮める不思議な力を持っています。だからこそ老若男女を問わず、多くの人に長年愛され続けているのです。
もうひとつ「もものかんづめ」から、「メルヘン翁」というエッセイの冒頭を引用させていただきましょう。
祖父が死んだのは私が高二の時である。
祖父は全くろくでもないジジィであった。ズルくてイジワルで怠け者で、嫁イビリはするし、母も姉も散々な目に遭った。
そんな祖父のXデーは、五月の爽やかな土曜の夜に突然訪れた。
夜中十二時頃、祖母が「ちょっと来とくんな、ジィさんが息してないよ」と台所から呼んでいる。私と父と母はビックリして祖父の部屋に行った。なるほど、祖父は息をしておらず、あんぐり口を開けたまま動かなかった。あまりのバカ面に、私も父も母も、力が抜けたままなんとなく笑った。
まもなく医者が来て、祖父の屍をひと目見るなり「これは大往生ですね」と言った。死因は幸福の条件の中でも最も大切な要素のひとつである″老衰”であった。
こちらは毒気のある内容。
実はこちらのエッセイからすぐに学べる点がひとつあります。
それは、、、
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