23歳、Phase Oneを買う。 #1 世界最高峰の中判デジタルカメラ
はじめに
こんにちは。モチヅキです。
初めてのnoteということで、まずは簡単に自己紹介をさせてください。
2002年生まれ 23歳。
フリーランスのフォトグラファーとして活動中。今年2年目になります。
現在は某エンタメ企業の業務委託として従事しており
撮影ジャンルは主にスタジオでの物撮りがメイン。
まだまだ成長中の身ではありますが、最近では声優さんなど人物撮影をさせていただく機会も多くなりました。
ちなみに、初めて購入したカメラは「SIGMA fp」。
上記の通り
そんな僕は、生粋の“ミラーレス時代”の人間だ。

そんな僕だが、最近とあるカメラを購入した。
Phase One という中判デジタルカメラだ。
聞き馴染みのない人も多いのではないだろうか?
僕のようにミラーレスが主体となった時代からカメラを始めた人は、特にそう感じる人も多いはずだ。
今では“知る人ぞ知る”カメラになってしまったのかもしれない。
しかし、昔からプロでやってきた方、特に広告系のフォトグラファーにとっては憧れの存在。デジタルカメラの頂点として今なお確実な地位を築いているカメラだ。
このnoteでは、そんなPhase Oneの魅力や購入までの経緯など、約半年間に渡って僕が得た知識や経験、情報を元に全4回(15000字以上)に分けて執筆する。

世界最高峰の中判デジタルカメラ。 Phase One
Phase One(フェーズワン)とは、デンマークに本社を置く、主に業務用デジタルカメラ機器を製造するメーカーである。
業務用機という性質上、ヨドバシなどの家電量販店ではまず見かけることはないだろう。
Phase Oneの最新モデルは、2019年に発売された XF IQ4 150MP カメラシステム。
IQ4 150MPの心臓部に搭載されるCMOSセンサーの大きさは、35mmフルサイズの約2.5倍。解像度はなんと、1億5000万画素を誇る。

画像引用元:phaseone.com
実売価格は¥5,599,000。ライカやハッセルブラッドを遥かに上回るほどの、超超超高級なカメラだ。
ちなみにビックカメラでも取り扱いがあったようだが、こちらでは10,230,000円で販売されていたようだ。正気か?
このように、価格からスペックまで、発売から6年が経過した現在も頂点に君臨し続ける
正真正銘、世界最高峰のデジタルカメラである。
PhaseOneとの出会い
カメラを始めてから1年半ほど経った頃、既に僕はPhase Oneの存在を知っていた。
何がきっかけだったのかは曖昧だが、その圧倒的なスペックだけは鮮明に覚えている。
僕は見栄っ張りな性格で、逆張りオタクで、そして新しいものが大好きなので、少しばかりそのカメラに興味があった。
19歳のある日、新宿の北村写真機店でPhase One XF + IQ4の実機タッチ&トライのイベントが開催された。
SNSでその情報を知った僕は、まるでスーパーカーの展示を見に行くかのような気持ちで、新宿へ駆けつけた。

触ってみた感想は……正直、よくわからなかった。
いや、正確には「よくわからないことだけはわかった」のだ。
操作が独特で、北村のスタッフにいろいろと質問してみたものの、スタッフもわからず。
互いに困惑しながら、僕はカタログだけを手にして帰路についたのを覚えている。(気まずい)
そしてさらに時が過ぎ、ついに中判デジタルの実力に心を奪われる日が訪れるのだった。
中判デジタルの魔力
今から1年半ほど前の話である。
ある日、某お菓子メーカーの「ラーメンスナックの写真を撮ってほしい」という仕事を頼まれた。
通常サイズの素材はすでにあったが、“ドデカい”バージョンが存在せず、参考写真を見ながら撮影してほしいとのことだった。
早速もらったTIFF素材を確認する。
ラーメンスナックが画面いっぱいに敷かれているだけの写真だったが、唸るほどとても綺麗な写真だった。
かなり引き伸ばしもでき、画素数もある。
それだけでは無い、何か…その絵には圧倒的な説得力がる。画像から膨大なデータの懐の深さを感じた。
ただ画面いっぱいに広がっただけのラーメンスナックの写真に、感動すら覚えた。
すかさずExifを確認すると、作成者は某大手印刷会社だった。
そしてカメラ名には「Leaf Aptus-II」と記されていた。

正直、Leafというメーカーを聞いたことがなかった。
初めて目にするその名前に興味を引かれた僕は、その場ですぐに調べることにした。
・LeafはPhase Oneと同じく、業務用中判デジタルカメラを製造するメーカー(後にPhase Oneの子会社となる)。
・デジタルバックという形式のカメラシステムを採用している。
・Aptus-IIは35mmフルサイズより大きな中判デジタルバック。
・当時の中判デジタルバックは主にCCDセンサーを搭載。
調べれば調べるほど、その世界の深さと独自性にどんどん引き込まれていった。
今まで見たことのなかった、業務用中判デジタルの世界の片鱗を覗いた僕は
その一枚の写真から心を踊らされていく。
現代における中判デジタルの絶対的な頂点はGFXやX2DIIなのか?
それからまた時が過ぎ、今年のCP+を訪れた。
もちろん、Phase Oneのブースはない。
現在は産業用カメラ分野に注力しているようで、フォトグラファー向けのIQシリーズも日本向けの公式サイトからは姿を消しているようだ。(海外向けのサイトでは、今もなおIQシリーズのページが存在している)
2025年現在、日本の中判カメラ市場は、プロ・アマチュアを問わず富士フイルムとハッセルブラッドの2社が実質的に独占している状況だ。

特にハッセルブラッドは、ここ数年の積極的なマーケティングによって知名度を急速に高めている。
ただし、その内容を見ると “1億画素” や “100万円超えの超高級カメラ” といったキャッチーなフレーズが先行している印象も受ける。
インフルエンサーたちのそんな発言を見るたびに、僕は「Phase Oneは1億5千万画素で550万円超えだぞ!」と、持ってもいないのについ知識マウントを取りたくなってしまう。
──冗談はさておき、現代においてPhase OneはGFXやX2D IIといった最新機種に対して、果たして本当にアドバンテージを失ってしまったのだろうか。
そもそもGFXやX2D IIといった機種は「民生機」として設計されており、同じ中判デジタルとはいえ根本的に性質が異なる。
Phase Oneが一般にあまり知られていないのは、業務用機という性質上、アマチュアの目に触れる機会が少ないことに加え、マーケティングの方向性、価格帯、販売体制といった要素の違いも大きいだろう。
とはいえ、同じ「中判デジタルカメラ」というカテゴリの中では、GFXやX2D IIといった民生機の登場がPhase Oneと比較されるのは自然な流れだ。
むしろそれらの存在が、中判という領域をより身近にしたとも言える。
実際、GFXやX2D IIはすでにミラーレス化を果たし、一部機種では動画撮影機能を備え、AF性能や手ぶれ補正などの面でも大きく進化している。
サイズ感や操作性の面では、間違いなく民生機に分がある。
しかし、肝心の画質そのもの、そしてデジタルバックという独自システムが生み出す撮影体験において、業務機でしか到達できない領域がまだ確かに存在していると、僕は思う。
この記事を読んでくださっている方には、GFXやX2D IIが「現代の最強」「中判の頂点」とされる認識から、少し視点をずらして──
Phase Oneというもうひとつの中判デジタルの世界を、ぜひ知ってほしい。
撮影体験を求めて
昨今の中判デジタルについてあれこれ語ってきたが、
CP+のハッセルブラッドのブースを見たとき、僕はCFV 100Cに心を奪われていた。
Phase Oneと同じく“デジタルバック”という形式のカメラで、かつてのハッセルブラッド500シリーズなどフィルム時代のボディに取り付けることで、フィルムカメラをデジタル化できるというものだ。
ハッセルブラッドは昔からボディデザインをほとんど変えないメーカーとして知られている。
その伝統に合わせて設計されたCFVのデザインは、デジタル化してもまったく違和感がなく、むしろクラシックとモダンが融合したような美しさがある。惚れ惚れしてしまうほどだ。

画像引用元: hasselblad.com
そして何よりも魅力的なのは、その撮影体験の贅沢さ。
フィルムカメラと同じ手順で、シャッターチャージをして、ウェストレベルファインダーを覗き、ピントを合わせ、シャッターを切る──。
操作のすべてがアナログそのものなのに、撮れる写真は最新の中判センサーが生み出す一級品の画質なのだ。
当時の僕は、基本的にプライベート用として富士フイルムのX-H2を使っていたが、どうにも撮っていてテンションが上がらなかった。
これはX-H2に限らず、カメラがどんどん便利になっていくことで、逆に“撮影する喜び”が薄れていったように感じていた。
だからこそ、「唯一無二の撮影体験で、一級品の写り」というCFV 100Cのコンセプトは、僕にとってとても魅力的だった。
──やっぱり、男の子はこういう“ガチャガチャできる機械”が大好きなのだ。
ただ、欠点もある。
まず外観があまりにもオシャレすぎる。

まるでカメラ界のロールスロイスと言われるそのデザイン。このカメラを扱うには、まずは”運転手”を用意しないと…
冗談はさておき、もっとも現実的な問題は価格だ。
中身はX2Dと近い仕様ということで、CFV 100C単体で新品で100万円を超える。
高価なのは理解できるが、フォトグラファーとしてせっかく高いカメラを買うなら仕事でも使いたいのが本音だ。
しかし、CFV 100Cで仕事をするのは僕には難しい気がした。
ウェストレベルファインダー、連写不可、AF非対応──これらはボディを907Xに換装すれば一応解決できるものの(見た目や使い勝手は置いておいて)、決定的な欠点がある。
それは、ハッセルブラッド全機種がCapture One(C1)に非対応であることだ。
僕の撮影環境では、C1でのテザー撮影(撮影データをPCに直接転送して管理する方法)が必須。
この時点で、CFV 100Cを含むハッセルブラッド機は仕事用として選択肢から外れてしまった。
余談だが、このCapture OneはPhase Oneが開発した現像・テザー用ソフトである。
そしてPhase Oneとハッセルブラッドは、実はバチバチのライバル関係。
そのためC1はハッセルのRAWデータを一切受け付けないらしい。……かわいそうに。
RZ67+Phase Oneという選択肢。
CFVを見送りながらも、「Capture Oneが使えて、撮影体験も楽しめて、もう少し現実的な価格のカメラはないだろうか……」と考えていた。
──あった。
とある日、とみながさんの記事に偶然出会ったのだ。
そこに登場していたのは、Mamiya RZ67にPhase One IQ260という組み合わせ。
この構成なら、CFV + ハッセル500シリーズとほぼ同じような撮影体験が得られる。
しかもPhase Oneのデジタルバックであれば、Capture One(C1)に完全対応している。
中古市場を調べてみると、価格帯は十数万円から数百万円まで幅広く、モデルによってはCFVより手頃な個体も少なくない。
「これだ!」と心の中で叫んだ。
ここから、僕の中で本格的に中判デジタルの世界への興味が再燃した。
そしてこの記事を拝読したことをきっかけに、改めてデジタルバックについて深く調べ始めることになる。

