「歩くこと」はほんとうに大事だから。歩こう。
血圧脈波検査のオーダーがきた。検査の目的は、閉塞性動脈硬化症の診断。
とある医療機関にて、長い患者さんで20年、私が直接に下肢動脈検査を続けている。
長期にわたる血液透析(25〜30年というレベル)と、糖尿病。これらは、下肢の動脈が細くなり詰まってしまうリスクが高い。
詳しい説明はまた別の機会に書こうと思う。

患者さんは60代半ばの男性で、今も毎日電車通勤、フルに仕事をしている。透析患者さんでフルに仕事をしている人、もうそれだけで凄いことだと思ってる。
生真面目で悩み多い方。こちらとしても、この方がいたずらに悩まないよう、どんな結果であっても真摯に伝えられるよう、覚悟をもって検査に臨んだ。
「今から検査?いいよ、よろしくね」
彼はわたしの顔を見てちょっと驚いたものの、すぐに笑顔で応じてくれた。上腕と下腿の血圧を同時に測る事で数値を得る検査。
足首の上のところで血圧測定するのって、実はけっこう痛い。高血圧なら更に痛い。測定中に苦悶の表情を浮かべる彼を励まし、手をそっと重ねたりなどして、数分の間我慢してもらった。
「はい、これでもう終わりですよ!お疲れ様でした。」
結果はなんと、前回から改善されており、基準範囲だった。それを伝えると、
「じゃ、問題なし?やったー、よかった!」
さっきまで痛みを堪えていた彼の満面の笑顔。わたしも、この結果は嬉しい。
「でも治すために何もしてないよ?どうして良くなったの?」
彼の問いに、ある確信があったので反対に質問してみた。ひと言、
「歩いてますね?」
「歩いてます!」
前回検査の後、体調良ければたくさん歩いてくださいね、と伝えておいた事。
しっかり守ってくれていた事をわたしは知っている。
「歩くことこそが、いちばんの治療なんですよ」
「そうか…うん、毎日しっかり歩いてるよ。だから良くなったんだね」

歩くこと。これほど人間の寿命に大きく関わる因子はないと思ってる。この病気が進むと足を失い、命を失うことが少なくない。
20年もの間検査で関わらせていただいた患者さん達の、その命からわたしが教わったこと。
歩く機能がどれほど大事かを、これを読んでいるあなたに伝えたかった。
わたしはこの20年、患者さんに負けないように、歩く生活を続けてきた。そして、歩くために体調管理に力を入れてきた。体調が悪ければ歩くこともままならないから。
今日、歩こう。
あなたとわたしの、明日のために。
読んでくれて、ありがとう。
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