にじみ
にじみ 【琥珀6】
オレンジをスライスしていく。
なれた手つきでナイフを操るところへ、真帆が現れた。
カウンターの向こうから、真帆の姿を確認する。
鳴海はそっとナイフを置いた。
真帆は鳴海の斜め前のあたりにスツールを動かす。
スツールに腰掛け、肘をついた。
スライスされたオレンジをひとつ口に運ぶ。
そばにあったグラスにそっと触れた。
「ウイスキーでなにかお願い」
カウンターの隅のパーラメントの箱を手に取り、指で玩ぶ。
鳴海はグラスの底に角砂糖をひとつ落とし、
ビターズを数回、振り入れた。
いちど手を止め、再び振り入れる。
角砂糖が崩れていく。
大きめの氷とオレンジを入れる。
ウイスキーを注ぐ。
マドラーを添える。
もうひとつのグラスには氷とウイスキーを注いだ。
オールド・ファッションドと呼ばれるそれを鳴海は真帆に手渡した。
天球儀が静かに回る。
なんとなく眺めながら、それぞれのグラスに口をつける。
真帆は真顔になった。
それから、こくりと飲み込む。
「......これ。苦い気がする......」
鳴海は回る天球儀を眺めている。
©極夜
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