魔法が遅れて届く日
窓辺に腰かけ、消えゆく残光を眺めている。
ふと、雲の隙間に淡く光る星を見つけた。
それは、誰かが「空にしまい忘れたもの」のように
昼の光に紛れて、ずっとそこにあったのだ。
かつて、がむしゃらに願ったいくつもの祈り。
すぐには叶わず、記憶の隅で埃をかぶっていたそれらが、
長い旅を経て、今ようやく私の元へ舞い降りる。
まるで「魔法が遅れて届く日」が、今日だったみたいに。
冷たい風に身をすくませて、
誰もが自分のことで精一杯だと思っていたけれど。
すれ違う見知らぬ誰かの会釈や、
街灯の下で温かな湯気をあげるコーヒーの匂い。
見上げれば、世界は
私が「思っていたより、やさしい世界」だった。

