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星降る塔と春告げの猫


​消えかけた魔法と春を待つ猫

​それは、いつからか「夜明け前の冬」に囚われてしまった、とある空中都市の物語。

​第一章:星降るバルコニーの少女

​その都市の最も高い塔にある大書庫のバルコニーで、魔法使いの少女・エルノアは、両手からこぼれ落ちていく光を静かに見つめていました。

​かつてこの世界を満たし、人々を温めていた大いなる魔法。しかし、世界の歪みとともに、その魔力は今や風前の灯火となっていました。エルノアがどれほど古書を紐解き、天球儀を回して星の巡りを調べても、彼女の指先から放たれるのは、夜空へ霧のように霧散していく、消えかけた魔法の残滓だけ。

​「私の代で、この街の光は絶えてしまうのだろうか……」

​彼女が両手を掲げると、最後の魔力が金色の文字となって夜空へ舞い上がり、遠くの城へと流れていきます。それは、世界の調和を取り戻し、失われた「春」を呼ぶための、祈りにも似た最後の呪文でした。



​第二章:春を待つ夜の境界

​エルノアの塔から遥か見下ろす、街の古いテラス。そこには、一匹の美しい長毛の猫・ルナが座っていました。

​ルナはこの街でただ一匹、人間の言葉を理解し、世界の記憶を保持する特別な猫でした。街の街灯やランタンが薄明かりを灯す中、ルナの瞳はじっと、遠くの夜空を旅していく金色の魔法の光を追いかけています。

​テラスの片隅に置かれた黒板には、いつしかルナが残した文字が白く浮かび上がっていました。

「春まで、もう少し。待ってるにゃ」


​ルナには分かっていました。この凍てつく世界を終わらせるには、人間たちの諦めない心と、あの塔の少女が紡ぐ「最後の魔法」が不可欠であることを。そして、その魔法が世界の果てに届くまで、この街の温もりを灯し続けなければならないことを。

​ルナは、足元で優しく揺れるランタンの火にそっと寄り添い、自らの体温と小さな祈りを、夜の空気に溶け込ませていきました。

​終章:ふたつの祈りが重なる時

​少女が放った「消えかけた魔法」の光の粒子は、夜風に乗って桜の梢を揺らし、ルナの待つテラスへと舞い降ります。

​金色の文字がルナの頭上で弾けたその瞬間、冷たかった冬の風に、微かな「花の香」が混ざりました。遠くの空が、ゆっくりと、しかし確実に、夜明けの紫から柔らかな春の桃色へと染まり始めます。

​塔の上の少女と、テラスの猫。

離れた場所にいるふたつの命の祈りが重なった時、世界を縛っていた永い冬の魔法が、静かに解けようとしていたのです。


#3つのお題に空想のひらめきを
#片桐みかんさん企画

みかんさん、宜しくお願いします🙇⤵️

みかんさん、マガジン収録して下さりありがとうございます(^人^)💞

西野光照さん、マガジン収録して下さりありがとうございます(^人^)💞

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