貝殻だけが知っている/コングラボード
砂浜に ふたつ並んだ貝殻
耳をあててみても
あなたの声は 聞こえない
ただ 冷たい潮騒が
虚しく鳴っているだけ
白く灼けた砂を蹴り
裸足のままあなたを追った
陽炎の向こうで揺れる背中が
いつか消えてしまいそうで
弾けた波飛沫の眩しさに
振り返るあなたの横顔
胸の奥を刺すほど青かった
二度と戻らない空
ぴたりと風が止み
夕闇がふたりの境界(さかい)を
曖昧にしていく
寄せては引く波の音が
終わりを告げるカウントダウンみたいに
黄昏の際(きわ)
そっと触れた肩の熱
潮風の匂いと
今にも解けてしまいそうな指先
重なりあう影が
影のまま消えていくのを
ただ見つめていた
あの夏にのこされた熱が
いまも胸の奥で淡く疼いている



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