The Subterranean Sun
地上から光が消え去って、三百年。
人類は凍てつく闇を逃れ、地下深くの暗闇で息を潜めるように暮らしていた。
新米調査員のエルムが、数々の危険を乗り越えてたどり着いたのは、世界の最深部。そこは、息を呑むほどに幻想的な大空洞だった。
天井からは星屑のようなクリスタルが降り注ぎ、足元には冷たい青い光を放つ蓮の花が瑞々しく咲き誇っている。洞窟全体を支配する神秘的な「青」の世界。
だが、その中央にぽっかりと開いた大穴の底に、**「それ」**はあった。
周囲の冷気を拒絶するように激しく燃え盛る、圧倒的な黄金の球体。
表面で炎の渦をうねらせ、コロナの光を放つそれは、本の中でしか見たことのない「太陽」そのものだった。
「本当に……神話は生きていたんだ」
地上の太陽が失われる直前、人類が火種を遺すために神の力を盗んで封印したという心臓――コア・ソレイユ。
生まれて初めて浴びる本物の「命の温かさ」に、エルムの身体の芯まで満たされていく。
誘われるように苔むした古代の階段を下り、太陽の真ん前に立ったその時、エルムの胸のペンダントが共鳴するように青く輝いた。
『――鍵を持つ者よ。我を呼び覚まし、あの冷え切った空へ還すか。それとも、このまま闇の底で眠らせるか――』
頭に響く地鳴りのような声。
この巨大なエネルギーを地上へ連れ戻せば、世界は再び光を取り戻す。しかし、制御を誤ればすべてが灰になるだろう。
エルムは恐怖を振り払い、胸の結晶を強く握りしめた。あの凍える暗闇の世界には、もう戻りたくない。
「一緒に行こう」
エルムは太陽に向かって微笑んだ。
「みんな、三百年もの間、ずっと君を待っていたんだ」
その瞬間、地下に眠る太陽は歓喜したように爆ぜ、世界のすべてを真っ白に染め上げるほどの猛烈な輝きを放ち始めた。

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