休日の夕方
休日の夕方、窓の外は茜色に染まり、部屋の中はぼんやりとした橙の光で包まれていた。テレビの音も消し、スマホも手放し、ただベッドに横たわっていた。目を閉じると、体がふっと沈むような感覚に包まれ、浅い眠りに落ちていく。
どれほど時間が経ったのだろうか。ふと、耳元で小さな音がした気がして目を開けた。部屋は変わらず静まり返っている。しかし、何かが違う。胸の奥にじわじわと広がる不安感。
ベッド脇の棚に置かれた目覚まし時計を見ると、秒針が動いていない。壊れたのかと思い顔を近づけた瞬間、背後からかすかな息遣いが聞こえた。
ゾクリと背筋に冷たいものが走る。振り返る勇気はない。ただ、耳を澄ませる。確かに、誰かがいる。部屋の奥、押し入れのあたりから、誰かがこちらを見ている。
「……わかってるんだよ」
小さな声が耳元でささやく。自分の声じゃない。確かに聞こえた。慌てて起き上がろうとしたが、体が重い。まるで見えない何かに押さえつけられているようだ。
目だけが動く。視線を必死に押し入れの方へ向けると、わずかに開いた扉の隙間に、何かが覗いていた。暗くて見えないが、確かにいる。じっとこちらを見ている。
――――
目が覚めた。気がつけば部屋は真っ暗だ。夕方だったはずが、もう夜になっている。電気をつけようと手を伸ばした時、手の甲に何か冷たいものが触れた。
反射的に飛び起き、電気をつける。誰もいない。もちろん押し入れにも何もない。ただ、ベッド脇の床に、小さな水滴の跡がいくつも残っていた。
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