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謝ったもん勝ち

「あ、すんません。」

「お前!ちゃんと謝れよ!」



「はい。ごめんなさい。

満足ですか?」

すれ違い様に肩がぶつかった。

相手は男女2人組、肩がぶつかったのは男の方だった。

軽く謝ったものの納得がいかないらしい。

「ちゃんと謝れよ!」



「はい。ごめんなさい。

満足ですか?」

「なんやねん、なめとんのか」

らしき事を小声で彼は言った。

僕は言い返した。

「それで、そっちは謝らんの?」

当たり前だ。

互いに歩いてぶつかって、どっちが悪いとかはないだろう。

「はぁ?ぶつかってきたのそっちやろが!」

「ん?

僕は、やー!ってぶつかりに行ったわけではないけど。

ぶつかってきたのはそっちっていうのはそう言う事?」

「ぶつかってきたのそっちやってゆうてるやろが!」

会話にならない。

「すみませんでした。もう行こ」

なぜか彼女が謝ってきた。

すると2人は歩いて行った。

「彼女大変やなぁ。」

彼から見れば僕が悪かったんだろうけど、

僕から見れば彼が悪い。

彼女と楽しそうに横を見ながらふらふら歩いていたのは彼の方だ。

それでもぶつかったらお互い様。

そうでないと互いに納得いかないだろう。

そんな思いがあって軽く謝った。

「ぶつかってきたのはそっち。」

それがどんな意味かは理解に苦しむが、

「そっちが謝ったんやから非を認めたようなものだ」

とでも言いたかったのだろうか。

彼と僕、どちらに対してなのかはわからないが、

彼女も終始呆れ顔だった。

僕が先に謝ったのには理由がある。

「謝ったもん勝ち」

この考えが頭にあるからだ。

先に謝りさえすれば、100対0でない限り、

謝らない方が悪者に見える法則。

これは持論だ。

つまり謝る事で僕が負けない。

そんなくだらない考え。

一方、彼はどうだろう。

僕が謝った時点で「勝ち」とか思ったのだろう。

すごく強気で突っかかってきた。

謝って「負け」を認めた僕が、

「謝らんの?」

そう言ったことに対し、

謝って、そっちがぶつかってきたこと認めたのに本当は認めてないのか。

そんなふうに思えた。

この場合どちらも、

「俺の勝ち!お前が負け!」

これをなんとか押し付けたかった。

それが見えていたであろう彼女が金メダル。

彼と僕にはメダルすらもらえない。

そんな状況だろう。

「ぶつかって俺だけが悪いわけないやん。なんで謝れんのやろう。」

まだぶつぶつ言って考えてしまう。

「彼女には負けたけど、彼の方には勝ったな」

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