ブラックメール。
noteを眺めていると、
美女のアイコンで私生活を語る記事が目に入った。
少し読むと「ここから先は有料です」と告げられる。
もちろん、アイコンの美女と書き手が同一人物だと信じるほど素直ではない。
でも、もし中年男性が演じて書いていたとしても軽蔑はしない。
むしろ、よくやるなと感心する。
高校2年で初めて携帯を買ってもらった日、
部室でその話をすると、先輩に同級生の女の子になりすまして友人にメールを送れと言われた。
悪趣味だが、当時はそんなバラエティー番組が流行っていた。
罪悪感はあったけど、友人が騙されるはずもないと思い、軽い気持ちでメールを送った。
数分後、返信が来た。
残念ながら、友人は完全に信じていた。
文面から興奮が伝わるほどに。
先輩の指示でやり取りを続ける。
恋の駆け引きは思いのほか盛り上がり、
普段とは違う友人の一面に部室は笑いに包まれた。
胸は少し痛んだけど。
ただ、本当の地獄は帰宅してからだった。
極上のエンタメは一転してホラーに変わる。
好意のない異性から積極的なアプローチを受ける女性は、こんなにも不気味で不快な気持ちになるのかと身をもって知った。
勝手な話だけど。
無視するわけにもいかず、いまさら真実を明かすこともできない。
先輩には「しばらく続けろ」と言われているし、同級生の女の子にも迷惑がかかる。
それに、友人を傷つけるのも辛い。
核心に触れないように返信を考えるが、
遅れると追い打ちが来る。
「俺なんか不味いこと言った?」
「返信遅くなって、ごめん。さっきまでお風呂に入ってたの。ところで……」
一体、何をやっているんだろう。
そんな自問自答を繰り返しながら頭をひねる。
翌日、先輩はその件を忘れていたので事なきを得た。
友人からのメールは無視を続けることで自然消滅した。
忘れがたい思い出だ。
そして、美女を演じながらnoteを書く人たちは、こんなプレッシャーに耐えているのだと思うと、頭が下がる。
