大人の仕事は元気でいることです
人生の先輩が“いきいきと元気でいる”ということは励まされます。
「旦那に、まったくお前は呑気だなって呆れられちゃってるよ」と仰るYさんを担当することになったのは、歯科医師Sから重度の歯周病の管理を頼まれたことでした。
すべての歯ぐきから出血していて磨き残しも多く、膿が出ている部位もありました。口の中はネバネバしています。
歯科医師Sから
「抜かなきゃいけない歯がたくさんあるだけど、血糖値が高いから炎症がある程度落ち着いてから抜歯しよう」と言われていました。
人生の先輩方との人間的な深さは決して埋まることはありませんが、ある特定の知識だけならば深めて提供することができます。
Yさんは、受診する度に「うっそ~!まった良いこと聞いた。友達に教えてあげなくっちゃ」「ホント、いい人に出会えて良かったよ。私ってラッキーだよね~」と喜んで下さいました。
そして、抜歯になるだろうと思っていた状態は安定し、1本も抜かずにコントロールできるまでになったのです。
ある時
「1型糖尿病って知ってる?おばあさんになってからの1型糖尿病は珍しいんだよ。風邪引いてる孫を看病していたら移っちゃって、すい臓にウイルスが入って血糖値が800になってね、ウイルスが入ったのが脳とか心臓だったら死んでたって言われたよ。先生が学会発表するっていうから、私ができることは貢献しなくちゃと思って、どんな時に血糖値が上がるのかチェックして報告してるんだよ」
と、実習生と私に話して下さいました。
専業主婦のYさんですが、孤独なお年寄りの家を訪問するボランティアをしています。
この活動により、血糖をコントロールしにくいこともあるのですが「生き甲斐だから辞めないよ」「もう歳だし、友達から外食に誘われたら必ず行くよ。人生を楽しまなければね」と仰っています。
人間の脳の機能には「嫌なことほど記憶する」という厄介なしくみがあるそうです。
例えば「ライオンという危険な動物がいる」ということをうっかり忘れてしまったら、近寄って死んでしまう。だから「ライオンは危険」と覚えておかなければいけない。
そんな脳のありがた~い(迷惑な)しくみがあることで人類は繁栄してきたのだから、嫌なことを忘れないのは優秀な証拠。
楽しみも嫌なこともある人間が、嫌なことを残すのはしょうがないこと。
だとしたら、若い時のように身体が言うことを聞かなくなるのは当然と思うのですが、Yさんは前向きで楽しそうです。
人間は何でも練習すれば、上手になる能力があることは救いです。私がYさんのように「前向きでいよう」と練習している時間は、すでに“元気”を含んでいます。
「まいちゃんで」と指名してくたさった方との付き合いは、長い方で20年以上になります。
父と同世代の無口な患者さまが、私が産休に入る前に、「めでたいけど、俺は困っちゃうなぁ」と言って下さったことは、10年以上経った今でも思い出す度に嬉しくなります。
宝箱に大事にしまっておくのは、こういった嬉しさの記憶です。嫌なことはスポンとなくならないとしても、嬉しさに目を向けようと努力する大人でありたい。
ステンドグラスを作るように、嬉しさ楽しさの細片を集め光を照らす生き方こそ、私の理想です。
失敗も恥をかくことも、ぜーんぶ楽しみたい
おくちの窓口まいちゃんでした👋😉
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