変わり続ける技術に、置いていかれたくなかった――4K・8K時代を前に DECKY ARCHIVE 第36話
2018年になっても、僕の日常は相変わらず忙しかった。
消防団があり、地域の活動があり、A-Connectionも動いていた。
でも、その真ん中にずっとあったのは、やっぱり仕事だった。
この頃の会社は、かなり忙しかった。
家電の販売や設置。
エアコン工事。
ケーブルテレビの工事。
光ファイバーの工事。
現場をこなしながら、人の段取りをして、次の仕事のことも考える。
一日が終わっても、頭の中では仕事が終わっていない。
そんな毎日だった。

忙しい時ほど、勉強する時間を作った
2018年2月9日。
僕は名古屋へ向かった。
目的は、CATVの技術講習会だった。
テーマは、
「有線一般放送の4K・8K放送技術基準とその最新動向」
だった。
4K・8K。
今では当たり前のように聞く言葉になったけれど、当時はまだ、
「これからテレビはどう変わっていくんやろ」
と感じていた時代だった。
4Kは、従来よりさらに細かく、きれいな映像を映せる技術。
8Kは、そのさらに先にある超高精細映像だった。
ただテレビがきれいになる、というだけの話ではない。
放送する設備。
信号を送る仕組み。
アンテナ。
ケーブル。
機器。
それまで使っていた設備が、そのままでは対応できなくなる可能性もあった。
僕らのような仕事をしている人間にとっては、
「新しいテレビが出ました」
というだけでは済まない。
その裏側の仕組みまで理解しておかないと、仕事にならなかった。

技術者でいるために
仕事は忙しかった。
正直、講習会へ行かなくても、その日は現場仕事をしていれば一日が終わる。
それでも僕は名古屋まで行った。
理由は単純だった。
技術を学ぶためだった。
昔から、電気や通信の世界は変化が速かった。
僕が若い頃には、共同アンテナや同軸ケーブルの仕事が中心だった。
そこからケーブルテレビが広がり、インターネットが入り、光ファイバーへ変わっていった。
そして今度は、4K・8Kだった。
昨日まで知っていたことだけでは、明日の仕事ができなくなる。
そんな世界だった。
だから、
「もうこの年やからええわ」
とは思わなかった。
分からないなら勉強する。
新しいものが出たら見に行く。
必要なら講習会へ行く。
僕にとっては、それも仕事の一部だった。

4K・8Kに感じた可能性
講習を聞きながら、僕は4K・8Kに可能性を感じていた。
これから映像はもっときれいになる。
放送の仕組みも変わっていく。
家の中の設備も変わるかもしれない。
当然、それに合わせて僕たちの仕事も変わっていく。
新しい技術が出てくると、
「また覚えなあかんのか」
と思う部分もあったと思う。
でも、それ以上に、
「これからどうなるんやろ」
という面白さがあった。
僕は昔から、新しいものが嫌いではなかった。
分からないものを見ると、ちょっと触ってみたくなる。
どういう仕組みなのか知りたくなる。
それが仕事に関係するものなら、なおさらだった。
振り返れば、ずっと同じことをしている
今振り返ると、この頃の自分を少し面白く感じる。
2018年。
50歳を目前にして、僕は名古屋まで行って4K・8Kの勉強をしていた。
そして今は、AIを勉強している。
もちろん、技術はまったく違う。
でも、自分がしていることは、あまり変わっていない。
知らないものが出てくる。
最初はよく分からない。
それでも触ってみる。
使ってみる。
分からなければ調べる。
そして、
「これ、何かに使えやんかな」
と考える。
たぶん僕は、昔からそういう性格だったのだと思う。

技術は待ってくれない
技術の世界は、こちらの都合を待ってくれない。
忙しいから。
年齢を重ねたから。
今の仕事で手いっぱいだから。
そんなこととは関係なく、新しい技術は次々に出てくる。
だから、置いていかれたくなければ、自分から追いかけるしかない。
2018年2月9日。
名古屋で聞いた4K・8Kの話。
カレンダーに残っているのは、たった一日の予定だった。
けれど、その一日を見返してみると、
僕が長い間、技術者としてどう仕事と向き合ってきたのかが、少し見える気がする。
忙しくても、学ぶ。
知らないものから逃げない。
新しいものに可能性を感じる。
それはきっと、あの頃だけではなく、
今の僕にも、そのまま続いている。
今回の一言
忙しくても、分からないままにはしたくなかった。
