DECKYの日常 #000 この物語を書こうと思った理由
はじめまして。
僕は三重県大紀町という、小さな自然豊かな町で暮らしています。
本業は、両親から受け継いだ電気屋です。
電気通信工事や電気設備工事、家電販売や設置など、地域の暮らしを支える仕事を続けています。
その一方で、キャンプ場「ASOBINO」、ソフトクリームショップ「Capriccio」、そして二席だけの小さなコーヒー研究室「CAPRI LAB.」も運営しています。
「どうしてそんなにいろいろやっているんですか?」
そう聞かれることがよくあります。
その答えは、とてもシンプルです。
僕は、この町が好きだから。
子どもの頃の阿曽は、本当に賑やかな町でした。
電気屋さん、魚屋さん、本屋さん、旅館、喫茶店…。
歩けば誰かに会い、自然と立ち話が始まる。
子どもたちの笑い声が聞こえ、町には人の温もりがありました。
でも時代は変わりました。
少子高齢化の波が押し寄せ、若い人たちは町を離れ、高齢の方が増えていきました。
便利な時代になった一方で、お店は少しずつ姿を消し、人が集まる場所も減っていきました。
「このままでええんやろか。」
そんな思いが、ずっと心の中にありました。
最初に始めたのが、ASOBINOです。
この町の自然を楽しんでもらい、一人でも多くの人に阿曽へ来てもらいたい。
そんな思いから始めたキャンプ場です。
実は、ASOBINOを始めた理由は、それだけではありません。
僕の中には、もうひとつ大切な思いがあります。
その話は、また別の機会にゆっくり書こうと思います。
次に始めたのが、Capriccioです。
阿曽温泉には、たくさんの人が来てくれます。
でも、温泉を楽しんだあとに立ち寄れる場所がほとんどありませんでした。
「せっかく来てもらったのに、このまま帰ってしまうのはもったいない。」
そう思ったのが始まりです。
そして、ソフトクリームにしたのにも理由があります。
この地域には、全国的にも知られている大内山酪農があります。
地元で育まれた、おいしい牛乳があります。
その魅力を、訪れた人にも味わってもらいたい。
地元の素材を、地元で届けたい。
そんな思いから、大内山酪農のソフトクリームを選びました。
Capriccioは、ソフトクリームを売ることが目的ではありません。
阿曽温泉へ来てくださった方に、この町の魅力をもう一つ持ち帰っていただきたい。
そんな場所になればいいと思っています。
ところが、人生は思いもよらない方向へ進みました。
2025年6月15日。
僕は突然、脳出血で倒れました。
生死をさまよい、一命は取り留めたものの、右半身には麻痺が残りました。
それまで当たり前だったことが、当たり前ではなくなりました。
現場へ出ること。
重たいものを持つこと。
ソフトクリームを作ること。
以前と同じようにはできません。
退院してから、何度も自分に問いかけました。
「今の自分にできることは何だろう。」
その答えが、**CAPRI LAB.**でした。
コーヒーなら、一杯ずつ時間をかければ淹れられる。
半身が思うように動かなくても、自分のペースなら続けられる。
だから大きなお店ではなく、二席だけにしました。
一人ひとりとゆっくり話をしながら、自分が淹れたコーヒーを味わってもらう。
そんな小さな場所なら、今の自分にもできる。
そう思って生まれたのが、CAPRI LAB.です。
だから僕にとって、
ASOBINOは、この町へ人を呼ぶ場所。
Capriccioは、この町へ来てくださった人に、地元の魅力を感じてもらう場所。
**CAPRI LAB.**は、脳出血になった今の自分でも、人とつながり続けられる場所。
一つひとつ役割は違います。
でも、その根っこにある思いは、どれも同じです。
「この町を、少しでも元気にしたい。」
以前の僕なら、毎日の出来事を書き残そうなんて思わなかったかもしれません。
でも今は違います。
朝、散歩ができること。
自分でコーヒーを淹れられること。
りえと一緒に朝ごはんを食べられること。
仲間と笑いながら話ができること。
どれも、決して当たり前ではありません。
だから、このシリーズでは特別な出来事を書くつもりはありません。
季節の風景。
コーヒーの香り。
仲間との会話。
リハビリの日々。
そして、この町で暮らす何気ない毎日。
そんな日常を、そのまま残していこうと思います。
毎日更新するわけではありません。
「今日は書いておきたい。」
そう思った日に、気ままに綴っていきます。
何年か先、このページを読み返したとき、
「あの頃は大変やったけど、毎日が本当に楽しかったな。」
そう思えたら、それだけで十分です。
そして、この町を知ってもらい、この町を好きになってくれる人が一人でも増えたら、こんなに嬉しいことはありません。
どうぞ、コーヒーでも飲みながら、ゆっくりお付き合いください。
これが、**「DECKYの日常」**の始まりです。
