思い込みが強い人は、自分が『思い込みが強い人認定』されていると思い込む。
「という訳で、オオハラさんは私の意見を一向に取り入れてくれないのです…」
そう話すのは、部署のメンバーであるキシダ君。彼から『少しお時間いいですか?』と言われた場合、大抵この手の話になる。オオハラさんは最近入社した中途社員だが、そのキャリアを買われての採用だ。社歴は浅いがキシダ君の直属の上司として働いてもらっている。
「そうか…オオハラさんには、何かそうする理由があるのかな?」
本当はわかっているが、敢えて聞いてみる。
「どうやら、私の事を『思い込みが強い』と思っているようなのです…」
ああその通りだ。キシダ君は控えめに言って、思い込みが強い。
*
チームリーダ職を任せるにあたり、私はオオハラさんに部下となる各メンバーの特徴を伝えてある。そして私が伝えたキシダ君の性向は『思い込みが強い』だ。実際キシダ君は、早くもオオハラさんに『思い込みが強い』認定をされてしまったらしい。こういった場合、実際に会った時には『アレ?思ったよりも思い込みが弱いな…』と感じるものだが、キシダ君はやはり本物だ。さて、どうやって彼をを宥めるか…
「う~ん。悪いけど、君の言ってる事自体が『思い込み』じゃないのかな…」
①別に、そこまで思ってないのでは
「どうしてです?オオハラさんは実際、私に対して『それはあなたの思い込みでしょう』と言っているのですよ?確定じゃないですか」
その通りだ。そしてその要因を作ったのは、他ならぬ私だ。
「じゃあ、具体的にそれを何回言われたのかな?」
「え?2~3回ですけれども…」
「それじゃあ~思い込んでるとまでは言えないな~。たまたまその時の、君の発言に対してそう言っただけかも知れないじゃないか…なにも君の性格そのもののに対して言ってるわけじゃないだろう?」
「それはそうですが…」
まあ本当は、性格の事を言っているのだが。
②本当の事を言ってるだけかも…
「いや、それでも実際、私の意見を取りあってくれないのですよ?つまり私の意見など『取るに足らない』と思い込んでいるに違いありません。そして『取るに足らない』と思い込んでいる理由は、私の事を『思い込みが強い』と思い込んでいるからに違いないじゃないですか…」
ややこしいな…
自分で言ってて混乱しないのだろうか?
ここはもう少し踏み込んでみよう。
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違和感から始まる、巡る推察
たいして誰も気に留めない、 気になる言葉や日々の違和感について 考えを巡らせるだけの読み物集です。
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