余談 ~雑学~
今日は少し趣を変えて、あちこちで拾った雑学をいくつか共有したいと思います。
雑学王になりたいわけではないのですが、個人的に食指をそそられる内容ばかりなので、ゆるり読んでいただければ幸いです。
1.無重力
宇宙空間に行くと、重力から解放されて身体がふわりと浮かぶ──
そんな「無重力」のイメージを持つ方は多いと思います。
もちろん、私もそうでした。
けれど、実はこれ少し誤解があります。
重力とは、重力の中心=重心に向かって引っ張られるという物理現象であり、宇宙に出たからといって重力そのものが消えるわけではありません。
たとえば、国際宇宙ステーション(ISS)は地表からおよそ 400 km 上空を周回しています。
この高さでも、実際には地表の約 90% の重力が働いています。
では、なぜ重力が働いているのに、あのようにふわふわと浮いて見えるのでしょうか。
実はこれ、少し背筋がぞくっとする話なのですが──
ISSは、地球の周りを時速にすると約 28,000 km(秒速だと約 7.66 km)という途方もない速さで“進みながら落ち続けて”います。
進んでいるように見えて、実際には重力に引かれて自由落下している──ここがポイントです。
では、なぜ地表にぶつからないのか。
それは、地球が丸いからです。
落ちる方向と、進む方向、そして地球の丸み。
この三つが絶妙に釣り合うことで、ISSは同じ高度を保ちながら、
地球の周りを回り続けているのです。
話を戻すと、なぜ無重力のように見えるのか。
それは、ISSも中にいる人も、重力に引かれて“同じ加速度で落ち続けている”からです。
その結果、
・体に“床からの押し返し”がない
・何にも支えられていない感覚になる
・ふわふわと浮いて見える
これが「無重力に見える」正体です。
まあ、身体が押されたりするわけでもないので、落下感はまったくないのだそうです。
そもそも私たちが地上で「落ちてる!」と感じるのは、重力そのもののせいではありません。
落下感の正体は、
・地面からの“押し返し”が急に消える
・空気抵抗で身体が揺さぶられる
・景色が高速で流れる
こうした“変化”が一気に起きるからだといわれています。
宇宙空間では空気抵抗もなく、景色の変化もゆっくりで、身体への押し返しもありません。
だからこそ、あの静かな「無重力」に見えるのです。
2.広田人
「広田人」という言葉を聞いたことはありますか。
北海道人とか広島人といった地域名ではなく、少し違う意味を持つ呼び名です。
広田人とは、弥生時代末期から古墳時代、3世紀から7世紀ごろまでの約400年間、鹿児島県・種子島に暮らしていた人々のことを指します。
特に大きな古墳が残っているわけではなく、種子島南部の海岸に集団墓地が見つかっている程度だそうです。
弥生時代にも古墳時代にも人々は当然暮らしていたわけで、「では広田人とは何なのか」と思われるかもしれません。
実はこの広田人、少し変わった風習を持っていたとされています。
それは──幼児の頭蓋骨を意図的に変形させる、というものです。
九州大学やアメリカ・モンタナ大学の研究によれば、同時期の弥生人と比べても後頭部の変形が顕著で、いわゆる“絶壁”のように平らになっていたことが指摘されています。
しかも、この変形は男女を問わず行われていたことも分かっています。
なぜわざわざ子どもの頭の形を変えたのかは、まだはっきりしていません。
ただ、広田人には交易の痕跡があることから、種族としてのアイデンティティを示すための風習だったのではないかと考えられています。
頭蓋変形の風習自体は、実は世界各地で見られます。
中世ヨーロッパの女性、ユーラシアのフン族、マヤ文明、アメリカ先住民、ペルーのパラカス文化など、多くの集団が行っていたことが知られています。
ただ、東アジアでは非常に珍しいため、広田人がどのような経緯でこの風習を持つようになったのか──その背景には、まだ多くの謎が残されています。
3.血液
少しスプラッタ風のタイトルですが、皆さんの身体にも流れている血液。
実はこれ、少し不思議な性質を持った液体だというのをご存じでしょうか。
私たちの身の回りにある水や空気、アルコールなどは「ニュートン流体」と呼ばれます。
加えられる力の大きさに比例して流れる速さが変わり、粘度(粘り気)は一定に保たれる流体です。
温度さえ一定なら、かき混ぜる速さによってサラサラ感やドロドロ感が変わることはありません。
ところが血液は、赤血球などの有形成分が血漿に浮かぶ「懸濁液」であり、
ずり速度(流速)によって粘度が変化する「非ニュートン流体」として振る舞います。
低流速ではドロドロ(高粘度)、高流速ではサラサラ(低粘度)になるのです。
非ニュートン流体の例としては、マヨネーズ、ケチャップ、ペンキなどが挙げられます。
いずれも高分子溶液や混合物といった、人工的に作られたものが多いのが特徴です。
その中で、血液だけは生物の身体の中で自然に生み出され、
しかも非ニュートン流体としての性質を持っている。
この点が、なんとも不思議で興味深いところだと思います。
では、なぜ血液は非ニュートン流体なのか。
1.血液は「液体+細胞」の混ざりものだから
水やアルコールは分子が均一に散らばった“純粋な液体”です。
そのため、力を加えても粘度は変わらず、ニュートン流体として振る舞います。
一方、血液は
・赤血球
・白血球
・血小板
・血漿(液体部分)
が混ざった懸濁液。
つまり、液体の中に柔らかい粒(細胞)が大量に浮いている状態です。
これがまず大前提になります。
2.赤血球が「変形する」ことで粘度が変わる
赤血球は硬い粒ではなく、押されるとぺしゃんとつぶれ、細い血管では細長く伸びます。
この“変形のしやすさ”が粘度に大きく影響します。
・流れが遅い → 赤血球同士がくっつきやすい → ドロッとする
・流れが速い → 赤血球がばらけて整列する → サラサラになる
つまり、流速によって赤血球の並び方が変わり、それが粘度の変化につながる。
これが非ニュートン流体としての振る舞いの正体です。
3.血管の太さでも粘度が変わる
血液は太い動脈では高速で流れ、毛細血管ではゆっくり流れます。
そのため、
・動脈 → サラサラ
・毛細血管 → ドロッ
という“自動調整”が起きます。
これは生物にとってとても都合がよく、
・太い血管では流れやすく
・細い血管ではゆっくり栄養を渡せる
という仕組みになっています。
4.生物が自然に作った非ニュートン流体という不思議
マヨネーズやケチャップは人工的に混ぜて作る非ニュートン流体ですが、
血液は進化の過程で自然にこの性質を獲得しました。
理由はシンプルで、
・細い血管でも詰まらずに流れる
・必要な場所で流速を調整できる
・酸素や栄養を効率よく届けられる
という、生存に直結するメリットがあったからです。
あらためて、進化の力に驚かされるばかりです。
以上、雑学3選でした。
また、何か面白い雑学があれば共有したいと思います。
