日本のアジア
基本的に、いろんな意見があってええと思うの。
たとえそれが、自分の大切にしてるものを否定するような言葉やとしても、
「そういう考え方もあるんやなぁ」って思えるくらいの距離感でいたい。
もし、その“否定する言葉”を強く否定してしまったら、
それはつまり、自分もどこかで誰かに否定されても仕方ないという状況を生む気がするんよね。
せやから、
「そういう考え方をする人もいてるんやなぁ」くらいの受け止め方でいい。
「いろんな人がいてはる」って、それくらいのスタンスでいたいんよ。
先日、駅の待合室でクーラーを全身に浴びて、日本の夏を感じてたの。
俺は常々イヤホンして音楽を聴いてるのよ。
やから外の声や音ってのはあまり聞こえへん。
なんか言ってはるなぁくらいの感覚。
その時も、待合室にガラッと入って来て、どかっと椅子に座ったおじさんが新聞読みながら独り言をぶつぶつと。
たまにいはるやん? 独り言おじさん。
曲の終わりに、シーンとしたイヤホンを貫通して、
「なんでこんなに暑いねん、アホちゃうか。」って。
直感で、この人の独り言もうちょい聞いてみたいと思ったから、イヤホンはそのままに音楽を止めて耳を澄ます。
「あいつらほんま日本のアジアや。」
日本はアジアやし、言いたいことわからんこともないけど、あいつら? 日本のアジア?
ほうれん草の野菜みたいな面白い言い回しやなと感心してた。
でもよくよく聞くと、「日本の恥や」って言うてはるみたいなんよね。
その時初めて気がついた。
このおじさんは何かに不満があるんやと。
日本の恥って言うくらいやから、よっぽどな事があったんやで。
聞き取れたワードは「石」「草履」「日本のアジア」。
どうもその3つを中心に独りごちてるみたい。
石と草履と日本のアジア。
全部一応日本にはあるけど、その3つをつないで怒れるのすごいなと、ちょっと感心してしもた。
たぶん、俺が一生かけてもたどり着けへん発想やもんよ。
イヤホンの音楽を再生し直して、電車が来るまでの数分間だけ、
その人の見てる世界を、ちょっと借りてた気がする。
いろんな人がいてはるよな、ほんま。
でも、それくらいの気持ちでええねんよ。
多分やけど、石破さんの話やろなと電車に揺られてる時に気がついた。
それこそ政治に関してはいろんな意見ありますしね。
そのおじさんはそう思ったんやろな。
いろんな意見があってよろしおすやん。
それにしても今日は暑かったね。
まさに夏の四季やな。
