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詩篇「夜明け」


 夕陽が沈む波打ち際で

 僕は透明な貝殻を拾ったよ

 足の裏の皮膚には

 まだ癒えることのない過去の声が

 耳の内側で鳴り響くんだ

 そっとまぶたの裏を覗けば

 君の笑顔も

 友のエールも

 水面を震わせるはず

 もう何も宿していない

 目に見えない貝殻でも

 そっと掌の温もりで温めれば

 あなたの生命も熱を取り戻すでしょう

 

 誰もが俯く夜半の隅で

 私は捨てられた贈り物を拾ったの

 月の裏の世界に

 隠れて消えた愛の鼓動が

 心の臓とともに響き始めるんだ

 きっと指を絡めて祈れば

 家族の団欒も

 子どもたちの歌声も

 旋律を描きなおすはず

 もうゴールを見失った

 孤独な愛の抜け殻でさえ

 きっと掌の温もりで温めれば

 孤独な寝息にも熱を宿せるでしょう

 

 朝陽が昇る路地裏で

 僕と君は出会ったのさ

 愛を失くした私には

 ふわりと君の瞳の奥の香りが

 鼻腔をかすめてゆくんだ

 はっと周りを見渡せば

 さっと手を取り合えば

 悲しい過去も

 苦しい今も

 楽しい未来へ跳べるはず

 ずっと会えていない

 永遠の旅人も

 ぐっとこらえられない

 頬伝う涙も

 ぎゅっとほら抱きしめるから

 次の一歩をともに踏み出しましょう



あとがき

 本日で2011年3月11日から、14年という時間が経ちました。この詩篇は拙いものではありますが、まだ帰ってこない人たち、まだ終わらない復興、そういった現実を越えていってほしいとの思いで書きました。東日本大震災だけでなく能登震災を初めとする多くの天災による被害も同じ状況にあります。震災だけではなく日常においてもそうですが、どうしても苦しい瞬間がある、どうしても泣きたいときがある、理由なんてないのに人の温もりを恋しく感じるときがある。それはみんな同じだと思います。そんなときにこの小さな言葉が寄り添ってくれることを願います。未来に幸あれ!


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