雪の降る街で 第八章 「萌芽」 ②(Special Thanks clutch0105様/アホウドリの空MV完成までの奇跡の軌跡)
さて、今回も本編に入る前にご紹介です!🎉 なな、なんと、親愛なるclutch0105様が「アホウドリの空」のMVが完成するまでの奇跡の軌跡を、下記の素晴らしい記事にまとめて下さいました!!(´艸`*)
これまでのMVも全て記事内にリンクされていますよ!^^
いかがですか? 創作への情熱と愛に満ち溢れた、とても素敵な記事ですよね💕 こんなマルチな才能に溢れたクラちゃんにコラボ相手に選んでいただけたことがいまだに信じられず、幸せな気分に浸っております。(๑˃ᴗ˂)ﻭ
この記事はnote大学AI部のAI動画コンテストにも応募されるそうなので、皆さん、ぜひクラちゃんを応援していただけると嬉しいです♪ (人 •͈ᴗ•͈)
改めましてクラちゃん、この度はこのようなとても幸せな機会を与えて下さり、誠にありがとうございました!! 大スキです!!٩(๑>▽<๑)۶
それではここから本編に移ります♪
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※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・出来事とは一切関係ございません。
第八章 「萌芽」 ②
〝ご覧ください! 仲木戸一佐に感化された若者たちが続々と新潟を目指しています!〟
〝仲木戸一佐は、天才参謀と言われた石原莞爾の再来と言われるほどの人物で……〟
〝ああっ! 今、若者たちの集団が警官隊と衝突を始めました! 危ない! 逃げろ!〟
〝先生、NEOJの狙いは一体何なのでしょうか?〟
「一体どうなっとるんだ!! 何なんだNEOJというのは!!」
崩壊した報道管制に、久峨がバンッとテーブルを叩いた。
「新潟の大日本帝国、Niigata's Empire Of Japanの略称です。マスコミによる命名です」
永野が抑揚を抑えた口調で答える。
「元々は仲木戸のNでしたが、奴を助長させるのは拙いとNiigataに変えた様です」
室内に失笑が漏れる。
「そんなことはどうだっていい!! 報道管制を敷き直せ!!」
「無駄です。奴の演説が全国ネットで流れてしまった以上、最早戸板は立てられません」
「だが、こうして奴に感化されたアホ共が湧いとるじゃないか!」
忌々し気に報道映像を眺める久峨。
「お言葉ですが総理。ここで再び管制を敷くと、妄想だけが膨らみ、奴を神格化することになりかねません」
永野の諫言に久峨が押し黙る。マスコミ各社と良好な関係を築いている官房長官だけに、久峨もそれ以上は言えなかった。
仲木戸の演説以降、国内は異様な雰囲気に包まれていた。
報道管制はマスコミ各社の抜け駆け合戦によりあっさりと瓦解し、挙って仲木戸の経歴や三島事件を取り上げ、今後の情勢を好き勝手に憶測し合っている。
勿論、表立って彼を肯定するメディアは皆無だったが、リーマンショック、いや、バブル経済の崩壊以降、長きに渡り日本を覆う閉塞感、そして歴史問題の軋轢により生じる周辺諸国への嫌悪感から、貧困層や若者を中心に仲木戸支持の声が広がり始めていた。
一方、新潟では外国人達こそ我先にと避難を始めていたが、脱出を図る市民は見込みよりも遥かに少なかった。
起こっている事の現実感の無さもあるだろうが、生まれ育った愛する郷土を、今の生活を簡単に捨てられる者など、そうはいないということだろう。
「で、どうなっとるんだ、派遣部隊は。まだ前進できんのか?」
「この先は北陸有数の都市、長岡です。もし、市街戦に突入すれば民間人にも多数の死傷者が出ます。慎重に進めざるを得ません」
「そんなことは分かっとる。何とかならんのかと聞いとるんだ。私はオリバーに何と答えればいいんだ!?」
久峨が頭を掻きむしる。
事態打開について米国のオリバー・トンプソン大統領から再三の厳しいフォローを受けており、憔悴しきっていた。
「長岡の状況ですが、衛星画像からは部隊が展開している様子は見られません」
「地下駐車場とかに車両を隠しているんじゃないのか?」
「無理です。国内の規格だと隠せるのはせいぜい民需から転用した小型トラック位です」
「長岡警察署とも連絡が取れています。市内に特に変わった様子は無いとのこと。脅されている様子も特にありません」
部隊の前進を後押しするかのように、各省庁の担当者達が次々と状況を報告する。
「だが仲木戸は市街地戦闘の専門家なんだろう? ゲリラが潜んでいることは充分に考えられるじゃないか」
久峨の指摘に一同押し黙る。
今後の方針を決められない政治家に官僚達。
山本山の襲撃とMHK放送センターの占拠で誰もが疑心暗鬼に駆られ、失敗を恐れて決断できずにいる。
「粟谷一佐、そちらの状況はどうだ? 行けそうか?」
陸幕長の岩見が苦し紛れに現場の粟谷に確認を入れると、画面が野戦司令部に切り替わった。
「命令さえあればいつでも行きますが。どなたかさっさと決めてくれませんかね? 長引くほど相手に時間を与えることになる」
冷ややかな視線を投げかけてくる派遣部隊のトップ。
対テロ専門家として、前内閣の時から国家安全保障局の兼任メンバーとなっているだけに、上官たちに対しても遠慮が無い。
「どうするつもりだい? 粟谷君」
何らかの策を持っていそうな口ぶりの粟谷に、統幕長の門真が静かに身を乗り出す。
「それは私の優秀な参謀から説明して貰いましょう。橋本二等陸尉、ここへ」
列席者達からどよめきが起きる。モニターに現れたのが、若い女性幹部だったからだ。
「第一師団第一戦車大隊、二等陸尉・橋本です」
緊張した面持ちで敬礼する彼女。
「君は我々を揶揄っているのかね? こんな若い女の子に重要な作戦立案を任せるなんて」
内局の高級官僚が憮然とした表情で粟谷に喰ってかかる。
「彼女は非常に優秀な自衛官だ。生きるか死ぬかを前にして老若男女の別など関係ない」
不敵な態度で突き放す。相手が誰であろうが、この男には関係ない。それでも何か言いたげな官僚や幕僚達を門真が制した。
「私の義理の娘も実戦部隊の戦闘機乗りで、立派に責務を果たしています。性別は関係ない」
将兵の信望を一身に集める彼に諭されては、内局官僚も、それ以上は言えなかった。
「で、橋本二尉。君の考えを聞かせてもらえないかい?」
「はい。まず初めに、私は長岡および燕三条での大規模な攻撃は無いと考えています」
「ほう、何故だね?」
若輩の初級幹部に対しても分け隔てなく正面から向き合う制服組トップ。
「彼らの戦力は四千名でほぼ地上部隊のみ。一方、こちらの戦力は時間と共に増強され、陸海空の統合作戦も展開できる。そのような中での長岡および燕三条への展開は、悪戯に戦力を分散させるばかりか、兵站も伸びきってしまう。目的にもよりますが、私なら新潟市街の防御に徹します。」
「だが総理のおっしゃる通り、少数のゲリラなら潜ませられるのではないか?」
「効果的なゲリラ戦闘を行うには強靭な精神力を持つレンジャー隊員を充てる必要があります。彼らは既に山本山とMHK放送センターに多数のレンジャー隊員を投入し、その多くを失っている。攪乱により我々の進度を遅らせるという恐らくの当初目標は達成していますので、今後を考えると、これ以上、貴重なレンジャーの損耗は避けたいはずです」
「ではそのまま進むのかい?」
「いえ、確証は無いので保険は掛けます」
「保険?」
門真の問いに藍は大きく頷いた。
「ネズミを炙り出します。地図をここへ」
藍の指示に、若手隊員達がボードに大きく貼り出された市街地図を画面前に運んできた。
「ここ小千谷から長岡へは縦に走る国道17号線、351号線、その間を走る県道498号線と499号線、そして西側から大きく迂回して北側に出る国道8号線、五本の主要幹線が通っています」
一つ一つ指示棒でなぞり丁寧に説明する。
「この主要幹線毎に突入部隊を五隊に分けます。一つの部隊の編成は戦車二両、装甲車二両による二個歩兵分隊、そして対戦車ヘリ二機です。このユニットを二班編成します」
ボードに赤のマーカーで補足を書き加えながら説明を続ける。
「各隊ともまず一班が同時に進撃を開始します。始めに戦車が全速力で市街中心部に向け突入、敵の攻撃を誘いながら侵入限界点を探ります。その後、装甲車二両に分乗した二個分隊が限界点手前で展開。周囲への一斉射撃で敵を威嚇し、戦車の援護の下、全速で撤収。その間、対戦車ヘリは援護に徹し、建物上部への仰角が取れない戦車の弱点を補います。一班が帰投したら次は二班が進撃を開始、これを繰り返しながら限界点を進めていきます」
藍がそこまで説明したところで場の雰囲気が凍り付いた。
「貴重な戦車を単独で突っ込ませるのか? 市街戦は歩兵部隊を随伴させるべきだろう!」
「限界点が分かったらその場に止まるべきじゃないのか!? 何の為にリスクを冒して進撃するんだ!」
「ブロック毎に慎重に潰していくべきだ! こんな時こそセオリーを無視した戦い方はすべきじゃない!」
幕僚達が口々に異を唱える。その口調には明らかに女性である藍への軽視や侮蔑が含まれていた。
「申し訳ないが少し黙ってもらえませんかね? 少なくとも彼女はあんたらの数十年先を行っている。この戦術についても彼女は以前より訓練を重ねている!」
粟谷が不機嫌そうに声を荒げると、その迫力に幕僚達が口を噤んだ。藍は少し間を置くと、臆することなく再び口を開いた。
「チェチェン紛争のグロズヌイ市街戦で、戦車部隊を壊滅させられたロシア軍がその反省から考案した戦術です。実際にシリア内戦で政府軍がこの戦術を導入し、大戦果を上げています。撤退を繰り返すので制圧に時間はかかりますが、味方の損害は最小限に抑えられる。ゲリラとの戦いで市街地に長時間止まるのは危険です。それは米軍がソマリアから撤退するきっかけとなったモガディシュの戦闘でも証明されている。これ以上、私達は大切な仲間を失う訳にはいきませんので」
戦死した仲間達の顔が浮かび、藍は唇を噛んだ。
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雪の降る街で 第一章 「鼓動」 ①|京
あとがき
女性かつ若輩の初級幹部である藍に対する、官僚や幕僚たちの侮蔑と容赦のない責め。守ってくれたのは敏生パパと粟谷。
この二人には私が理想とする「かっこいい男」をたっぷりと詰め込んでいます💦
え? 敏生? んー、彼は夕陽専用王子兼騎士で、別枠です🤣
さて、藍はこの会議をこのまま無事に乗り切れるのでしょうか?
次回は10月22日(水)に掲載予定です。
引き続きお付き合いをいただけますと嬉しいです。よろしくお願い致します🙇♀️
