My Own McKinsey — 「会社のために個人がいるのではない」ファームを受けるあなたへの実戦マニュアル【戦略ファーム編・MBB】
プロローグ
これまで解剖してきた会社は、どこも「会社の成長」を語っていました。統合、拡大、変身、100倍。組織が主語でした。
マッキンゼーに、そういう言葉はありません。社内で最も頻繁に口にされるのは、"My Own McKinsey"——「私だけのマッキンゼー」。組織目標のために個人があるのではなく、個人のキャリアゴールを叶えるために、会社が"場"を提供する。世界最高峰の戦略ファームが自らをそう定義していることを、まず知ってください。
裏を返せば、ここは会社が敷いたレールがない会社です。DEKAPAIの各社が「うちに来れば何を経験できるか」を語るのに対し、マッキンゼーは「お前は何を成し遂げたいのか」を問い返してくる。この非対称を理解しないまま選考に臨むと、面接の一問目で崩れます。
これは戦略ファーム編(MBB=マッキンゼー・BCG・ベイン)の開幕号です。就活市場の頂点に立つこのファームを、投資家(にあたる視点)・経営者・社員・内定者の4つの目で解剖し、悪名高いケース面接と、独自の人物評価「PEI」の攻略までを配ります。
この記事の使い方: ES提出前→武器庫と実戦①だけ/Solve・ケース前→実戦②だけ/面接前→実戦③④だけ/内定後→最終章だけ。

武器庫:他の就活生が知らない5つのファクト

① "My Own McKinsey"——レールがないという設計思想
マッキンゼーの人材哲学は「組織のために個人がいるのではなく、個人のゴールのために場がある」。Up or Outを最も純度高く体現するファームであり、2年前後でアソシエイトに昇進、多くが数年でPE・事業会社・起業・スタートアップ経営へ「卒業」します。この会社の価値は在籍年数ではなく、去った後のキャリアの飛距離で測られます。
→ 使い方:「御社を通過点と考えています」と正直に言ってよい、むしろ言うべき唯一のファームです(NRIやIBMでこれを言うと事故りますが、ここでは逆)。
② もう「提言だけ」のファームではない——QuantumBlack
マッキンゼーは戦略提言型から実行伴走型へ進化しました。中核がQuantumBlack(AI by McKinsey)——2015年に買収したデータ分析部隊で、いまやマッキンゼーのAI変革の心臓部です。2025年11月には世界2,000人の経営層調査「The State of AI」を公表し、**「AIを全社展開して利益に結びつけた企業はわずか6%」**という数字で議論を主導しました。「戦略の会社」というイメージだけで志望すると、この実装力の側面を見落とします。
③ 日本代表は岩谷直幸——15年ぶりの日本人トップ
2021年、岩谷直幸氏が15年ぶりの日本人日本代表に就任。1971年開設の東京オフィスは50年以上の歴史を持ち、日本企業の長期取引慣行やオペレーション改革に踏み込んできました。「グローバルの知見を日本の産業構造に翻訳する」立ち位置は、外資でありながら日本市場に深くコミットしている証拠です。
④ 新卒はBA(ビジネスアナリスト)——1年目から経営層と対峙
大卒新卒はビジネスアナリスト(BA)として入社。初任給は月50〜55万円程度+業績賞与で、年収の目安は約650〜900万円。ただし報酬は"責任の対価"で、1年目から大企業の経営層と直接議論するのが常態です。学歴フィルターの噂が絶えませんが、実際に見られるのは学歴そのものより、後述するケースとPEIで示す思考の質です。
⑤ 選考の関門は「Solve」と「PEI」——他社と別物の二枚看板
選考フローはES→McKinsey Solve(旧Problem Solving Game)→複数回の面接(ケース+PEI)→パートナー面接。Solveは生態系構築・図表読み取り・微生物などをテーマにしたオンラインのゲーム型思考テストで、数年ごとに形式が変わり対策本が効きにくい。そして面接ではPEI(Personal Experience Interview)——Connection / Drive / Leadership / Growthの4軸で過去の実体験を深掘りする独自の人物評価が、ケースと並行して行われます。ケース対策だけしてPEIを軽視した学生が、最も多く落ちます。
実戦①ES・PEI準備編
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