見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-46

【入来篇】VS殺人代行組織(藍)第8話


鮫島 「 勘は優れてても、運がねぇようだなー 骨が砕けるような感覚! クリーンヒットしたぜ、どうよ!  アッハハ!!! 」

条 「  ………………………。 」

手応えありの感触を引っ提げて、満足そうな表情の鮫島。 鼻唄交じりで、条が倒れている後方車両へとゆっくり歩いて行く。トンネル外では獲物を狙うサメの群れが、条の周りを取り囲んでいた。ガラス製のトンネルをガツガツと鼻で突いている。それらを追い払うような視線で、陸の鮫が近づいて来た。鮫島に気付くとトンネル外のサメの群れは蜘蛛の子を散らすように退散して行った。

鮫島 「 珍しいな、ハイエナザメかー 警戒心と好奇心が強ぇな。さてさて、くたばった面を拝むとしようかねー サクッと納品完了ってか? 」

条 「  ………………………。 」

ピクリとも動かない、条。 鮫島が顔を確認すべく、パーカーに手を掛けた… その瞬間、決死の表情で起き上がった条が、“ブラックパンサー961”を握った方の拳で、渾身の裏拳を繰り出した。 やられたふりをして倒れている時に、ひそかに “スキャナーマガジン”にて特殊弾丸【 気流弾(Jet)】を選択していたようだ。

条 「 ぜぇ ぜぇ ぜぇ バァーック フィスト!→ Jet ぉぉぉお!! 」 < シュゴー!>

Jetの勢いで急激に加速された条のバックブローが、油断した鮫島の顔面にクリーンヒットする。< バギッ ドゴーン!!! >

鮫島 「 グヘェッ! 」

一瞬顔面の形が変形する程の威力で、飛び石のように地面に叩きつけられながら激しく吹っ飛ぶ、鮫島。

条 「 ふぅ 危なかったぜ…  にしても、大して防御力ねぇんだな、これ。 まっ ヒビ入ってたから、しゃーねぇか。 」< バキバキ ガサっ >

かつて闇組織との戦闘で相手幹部が着用していた、超極薄の“着られる“強化ガラスを脱ぎ捨てる、条。 やたらと欲しそうな目で眺めていたが、ちゃっかり持ち帰っていたとは抜け目ない。 鮫島が感じた骨が折れるような感触は、強化ガラスが砕けたモノであった。 うまく攻撃を防げたかのように見えるが、鮫島が繰り出した必殺技の強烈な威力と、元からヒビが入っていたという強化ガラスの不完全さにより、条へのダメージも甚大であった。 膝をつき、吐血している。

条 「 …ゲホッ ゲホッ これ無かったらヤバかったぜ。 あばら何本か逝ったな…  チッ 拳も痛ぇし… 何だか目眩もするぜ… 」

先程とは逆で、今度は吹き飛んだ鮫島の周りにハイエナザメが群れを成して現れた。視力が異常に良いのか、嗅覚が異常に強いのか、瀕死の生物を探知する機能が備わっているようだ。ガラス製のトンネルをガツガツと鼻で突いている。その場に座り込んで休憩している条。

周りの色とりどりの海洋類と、滑らかに疾走するシーエクスプレスの風が、しばしの安らぎを与えてくれる。もう そろそろ終点かと言う所で、ハイエナザメの群れが異常な反応速度で逃げ去って行った。生命の危機を感じたような、本能剝き出しの動物ならではのエマージェンシー反応である。

鮫島 「 ギエェェッ がはぁはぁはぁ… や、やっぱ面白ぇな、お前。 ぐじゅじゅじゅぅううう 」

裏拳をまともにくらって上下の歯がボロボロに折れている、鮫島。口の中は火山の火口のように業火色で、滴り落ちる血液量が半端無い。髪型は激しく乱れ、ブチギレたクリーチャーのような目つきへと変貌している。ハイエナザメが一瞬で怯えて逃げ去るような、猛獣的殺気を放出し、ニヤニヤと笑っている。

条 「 勘弁しろよ… せっかく心地良かったのによぉ、まだやんのか!? あの眼つき… うげぇ 体調不良で早退させてもらおうかね。 」

鮫島 「 今後、報酬が爆上がりしそうな奴だから、今ここでやっちゃうのは勿体ない気もするが… かぁんけぇーねぇー!!!! 」

ボロボロの身体を気にする様子が微塵も無く、ブチギレた眼つきの鮫島が突っ込んで来る。< ダダダダダッ! >疾走するシーエクスプレスの屋根を逆走して来るので、スピードも倍増している。

条 「 正面から突っ込んで来るとは… 下等生物っぷりが出ちまってるぜ! 牙(Fang)! < バンバン!> 」

< ダダダッ シュシュッ!! > 天性の勘に完全に身を委ね、躊躇無い左右にはじける軽快なフットワークで、条が放った特殊拳銃を次々とかわす鮫島。

弾丸をかわせばかわす程、テンションのギアがさらに上がっているように見える。笑顔と怒りと快感が入り混じったような不気味な表情で、グングン接近して来る。

条 「 …くっ 目がかすんで焦点が合わねぇ そう来るなら、とびきりのカウンターを食らわせてや… 」

< ガバッ! > 瞬時に条の目の前に飛び込んで来た、鮫島。 山なりの左フックを放つ。野生の勘にてギリギリフックを交わした条、ヨロヨロと体制を崩している。かわしたと思った左フックが弧を描き、条のつま先を銃撃した。< ブダダダダッ!! > 弾丸は靴を突き破り、大きく流血する、条のつま先。

条 「 クッ! ツツツッ 」
霞んだ目つきで苦悶の表情を浮かべ、フラフラしている。

鮫島 「 キァッーハハハ!! おいおい、そいつはフェントだぜぇぇええ!! ごうらっ 死ねやぇ!!!!! 」

渾身の右ストレートが条の顔面を捉えた… かに思われたが、運良く力尽きた条が腰からストンと落ちたため、直撃は免れた。しかし、鮫島が放ったパンチは獲物を捕らえるサメのようにしつこく、条の左耳をえぐるようにヒットした。 < ブシュッ!> 飛び散る血しぶき。 白目を剥き出し、気絶したように倒れる、条。仰向けに倒れたままピクリとも動かない、条。 被弾した足のつま先と、えぐられた左耳からの出血が酷い。 < ドクドクドク… ドクンっ ドクンっ >

鮫島 「 …んだよ、最後は電源が切れた冷蔵庫みてぇに、あっさりとくたばりやがって。 もう10カウント取る必要もねぇか? ハッハハハ 」

条 「(クソ調子悪ぃわ… あ?誰か来たのか? こんなに激しいノック音は人生初めてだ… ドクンドクンドクン! う、うるせぇ…)」

鮫島 「 ん? んんん?? んだよ!このゾワゾワする感覚は… こんなに分かりやすくイヤな予感がするのは初めてだぞ!? 」


< 復讐のケツアゴデス VS プロの殺し屋 / 瞬斗 × ブォーグ サイド >

頭から血を流し、うつ伏せ状態で倒れている小柄な男、瞬斗だ。鼻息荒く突っかかって行ったものの、相手はビジネス殺人を生業としている、殺人代行企業のTOPの人間。当然、一筋縄で行くわけがない。 幼少期から闇界隈で生きて来た、さらに現役のケツアゴデスでもある曲者の瞬斗でさえも、まるで歯が立たない様子だ。見るからに極悪そうな特殊拳銃を携帯しているブォーグ。

蜘蛛型拳銃「バードイーター」 全身を毛に覆われた巨大な毒グモが、わっさりと銃身に纏わり付いている趣味の悪いデザインの拳銃である。 この拳銃を見た上で、生存しているターゲットは、皆無である。

ブォーグ 「 それで、復讐が何だっけ? ボーヤ。 そんなものいちいち気にしていたら、こんな仕事出来んだろうがよ? …くだらん。 」

瞬斗 「 …何なんだよ、こいつの強さは。 奇襲のきの字さえ、やらせてもらえねぇじゃん… クソっ どうすりゃいいんだ?? 」

ブォーグ 「 復讐なんてのは、弱者の象徴だ。敗けなきゃ復讐なんて概念存在しねぇんだよ。つまり、お前の一族は敗者の一族って訳だな。 」

瞬斗 「 …あ? ゴミクソカスにも声帯ってのがあるんだ? ただ、声は発せても、日本語を勉強する必要があるようだねぇ ウンチくん… 」

< ボゴッ! > ダンディ風の冷静な顔をしているが非常に短気な性格のようで、ブォーグに顔面を蹴り上げられて大きく吹き飛ぶ、瞬斗。

ブォーグ 「 挑発“だけ”は中々なレベルじゃねぇか、このクソガキが。 …やけに舐めてるようだが、生きたまま内蔵えぐり出して、“着ぐるみ”にでも転職してみるか? ありゃ面倒くせぇし、中々うまく行かねぇんだけどな。 ご希望とあらば、特別にやってやってもいいぜ。 クックク 」

瞬斗 「 ゴホ ゴホ ゴホッ アゴが…(着ぐるみだって? しかもやった事あんのかよ。。)こ、こんなイケメンが着ぐるみになったら、女子に人気出ちゃうじゃん。 …ただ、転職する気はさらさらねぇよ。まずはお前を討つ事に集中するとしようか。 」

< バギッ! >  躊躇なく、瞬斗のドテっぱらを蹴り上げる、ブォーグ。 殺し屋の一度入ったスイッチは、相手を仕留めるまでOFFにする事が出来ないようだ。

ブォーグ 「 それでカッコつけてるつもりか? ベラベラとうるせぇ奴だ。それにしても、こんなガキが何だってんだ? 依頼主もイカレてんぜ。 」

瞬斗 「 ガハッ! …ペッ 」
腹を押さえ、バタバタと地面にもんどりうって血反吐を吐き捨てる、瞬斗。

ソファに腰かけ高級ワイン越しに瞬斗を見下ろしている、ブォーグ。グラスに映る瞬斗は、まるで血まみれ姿を暗示させるようで、それ実現させるべくジワジワと動く。

瞬斗 「 グホッ はぁ はぁ はぁ …なるほど、お前の強さってのが ちょっとだけ分かったぜ。急所マニアってとこだろ? 」

ブォーグ 「 ほぅ 分析力も中々だな。プロの殺し屋ってのは、人体を破壊するための“効率”を追求して行くうちに、急所以外は攻撃出来ない身体になって行くもんだ。 一般企業で言うところの、無駄な残業は一切しねぇってのと似てるかもな。 」

瞬斗 「 …なるほど。 見た目は何の変哲もない打撃でも、どおりで効くわけだ。…殺しに妥協無しって、不謹慎なマジメ掲げてんじゃねぇよ。チッ クソめんどくせぇヤローだな。( ヤベー 誰か早く助けに来てくれー )

ブォーグ  「 急所以外を攻撃出来ないってのは、打撃に限った事じゃねぇ。毛(hair)! 」< バシュッ バシュッ! >

毒グモの刺激毛を模した弾丸が、何の前触れも無くノーモーションで瞬斗に発砲された。 < ヒぃッ! > 驚いたリアクションで身体を浮かせ、運良く弾丸をかわす瞬斗。 針のように、床に毛弾が突き刺さる。 長年殺し屋を務めて来たブォーグの目には、人の急所がダーツの的が浮いているように映って見える。打撃も銃撃も、常に急所である的の中心を狙って繰り出されているため、ダメージも甚大だ。 さらにブォーグの攻撃は、的がズレる事はほとんど無い。

ブォーグ 「 すばしっこい野郎だ。 咬(bite)! 」

< グガウッ! >子犬を超越する特大サイズの毒グモの咬弾が、瞬斗に襲い掛かる。

瞬斗 「 <!?> ぐわっ!!! 」

その大口を開け、咬みつくように瞬斗に被弾した。< ドガウッ!!>

毒グモの咬弾が直撃し、バタリとその場に倒れ込む、瞬斗。 身体中から煙が立ち上っている。<…ブス ブスッ ブス > 痙攣するように身体が動いている事から、どうやら即死は免れたようである。 尺取り虫のような奇妙な匍匐前進で、必死に距離を取ろうとしている。

瞬斗 「 オゲェ ゴホ ゴホ! …あんにゃろー 何が鉄壁だよ、粉々じゃねぇか。 だが助かったぜ… 」< ヒクッ ヒクッ >

ブォーグ 「 直撃したぞ?? しぶとい野郎だよ、全く。 …何だ? その腰つきは。クックク 」

決死の匍匐前進によって、何とかソファ裏に隠れる事に成功した、瞬斗。 ボロボロの状態ではあるが、ヤマアラシ型拳銃 「ヘッジホッグ」を構え、今一度反撃のチャンスを伺う。 未だ、反撃の意思は消えては無いない。

瞬斗 「 ぜぇぜぇ オレの身体能力じゃ、何やったって敵わねぇ…  けどなぁ、…両親の仇 …ジイちゃんの仇、必ず撃つからな。 」

ブォーグ 「 こそこそと目障りな… 下品な尺取り虫のモノマネをする事が、お前の復讐なのか? 最後ぐらい潔く出て来いよ。 クックク 」

瞬斗 「 …力じゃねぇ、タイミングなんだ。タイミングさえ支配出来れば、必ず勝機はあるはずだ。 …よしっ やったるか 」

“スキャナーマガジン”を親指で操作し、特殊弾丸を選択する 【 痺毒弾(ナンブネス)】  針(Needle)!! < シュタタタッ > ソファ裏から手を伸ばし、ひょこっと拳銃だけを突き出して、ブォーグに向けて発砲した。

ブォーグ  「 ん? 隠れながら撃って来るとは、根性無しめ。 しかも不発か? ふぅ~ 何がしてぇんだよ、お前は  ……!? 足が痺れ?? 」

瞬斗 「 …ゆ、油断したようだなぁ、透明弾(ステルス)との合わせ技だ。 特殊弾丸ってのは、まだまだ解明されてない要素が多いんだよ!どうよ? 見えない弾丸に撃たれた気分ってのは。 次ぃ! そりゃ!よっと! 」

ここぞとばかりに、床に敷かれている高級ペルシャ絨毯をテーブルクロス引きの要領で、力いっぱい一気に引き抜く、瞬斗。 < ザッ!> 痺毒弾にて足の感覚が麻痺しているところで絨毯を一気に引き抜かれ、完全に足元を取られてしまう、ブォーグ。 熟練された殺し屋にあるまじき姿で、派手にすっ転んだ。

瞬斗 「 …ぜぇぜぇぜぇ 千載一遇のチャンスだ。くらえぇぇ グギギギ < プ~ > …あっ 無駄に力んで屁が出ちまったー ってわざとだよ!おりゃぁぁああああ! 進めぇ! 【 高熱弾(ヒート)】突(Stab)!! 」 < ダザァーンッ!>

高熱を纏い、全身の針を赤々と光らせた怒りのヤマアラシ(本人はハリネズミだと思ってる)が、全速力で突進して行く。 < ドガザザザザザザザッ!!! >

ブォーグ 「 !? しまった! クッ 」
転んで横になりながらも、特殊拳銃を構えるが…

< ドゴォォォォォオオオ ンッ! ジュジュー > 痺れて足が言う事が効かないブォーグに、見事クリーンヒットする。 高熱で床が溶け、焦げた臭いが充満している。被弾した中心に、ブォーグと思わしき、真っ黒に焼け焦げた人型の個体が、力なく床に転げ落ちている。

瞬斗 「 ぜぇぜぇぜぇ 引火しなくて良かったわ~  どうだ? 舐めやがって… 油断した結果がこれだ。 」< …ミシミシ >


< 天性の勘 VS 野生の勘 / 条一狼 × 鮫島 サイド >

地面に横たわっているからなのか? 横向きに見える狭い視界に、女らしき足元が見えたような気がした。しかし、視界もぼやけてるし、夢なのか現実なのか判断すらつかない状況である。サンオイルをたっぷり塗り込んだ熱帯夜が、ダル絡みをして再三おぶさって来るかのような、体中のけだるさが尋常では無い。目は覚めてるようだが、身体が動かない… しばしその場で休息を取る事にした。自身の判断では無く、アラートを受信した身体が、勝手に決定した判断だ。

…水面をプカプカ浮かぶような、宇宙空間をフワフワ遊泳するような、不思議と心地良い感覚が続き、しばらくして再度気が付くと、シーエクスプレスは既に終点に到着しており、停車している状態であった。


慌てて周りを見渡すと… そこには、スプラッター映画を彷彿とさせる、血生臭い光景が広がっていた。

血だらけの鮫島の“ような”男が、息無く静かに横たわっている。捉えた獲物を猛獣が執拗に遊び尽くしたような、見るも無惨な姿で、顔も確認が出来ない程、裂傷が酷い。肉は深くエグれ、骨や関節も 明後日の方向にバキバキに折れ曲がっている、壊れたブリキのおもちゃ状態だ。さらに視野を広げると、強化ガラスのトンネルの内側や、シーエクスプレスの車体に、引っ掻き傷のような大きな亀裂が複数個所に刻まれていた。

条 「 …おいおいおい、どういう事だ? こりゃ。 反抗期の黒鬼でも暴れたんか??  うーん、思い出せん…  あ? んだよ、こりゃ… 」

全身の身体のダルさが邪魔してすぐに気付けなかったが、自分の左腕が必要以上に筋張り、精力を吸い取られたようにやせ細っていた。少し力んだだけで、激痛が走る。さらにもう一つの違和感として、鮫島に殴られた左側の顔面が包帯で治療されているようだった。理解し難い光景の連続で、全身の毛穴がゾクゾクして止まない。

条 「 こいつは誰にやられたんだ?? あの女の足元… そいつがやったのか??  …なぜオレは助かった?? 」

少しの興奮と困惑で、鼓動のスピードが上がっているかのようだが、記憶が途切れる直前の鼓動の大きさとは比較にならない程、今は落ち着いているようだ。無惨に倒れている鮫島に合掌をすると、携帯を取り出した。 < ピピッ > 瞬斗に連絡を取るも、繋がらない。グループチャットの反応も無い。 …どれだけ時間が経過したのか、時の感覚も無くなっていたが、地上に出た感じでは、さほど時間は経過していないようであった。

条 「 …なるほど、まだみんな戦闘中って事か。 ったく、あのクソガキ、生意気にも無茶してるみてぇだから、茶化しに行ってやるか。 」

パーカーコートの左袖は破れ落ち、枯れ木のような左腕が剥き出しなった状態で、フラフラと歩き出す、条。 心に留めてはいるが、野生の勘でこの女の足元の正体が何となく予想が付いているような、そんな表情をしている。 いくら考えても理解出来無い事は一旦忘れ、無茶をする瞬斗の元へと急ぐ事に集中する、条であった。 …実のところは、ちょっと疲れたため、家に帰るか助けに向かうか、50%の選択であったと言う事は内緒だ。


< 復讐のケツアゴデス VS プロの殺し屋 / 瞬斗 × ブォーグ サイド >

ブォーグの油断を上手くついた奇襲作戦にて、一矢を報いる事に成功した瞬斗。闇との1対1の戦闘にて、開戦当初より張り詰めていた緊張感が少し緩むと、突如現れた想像を大きく超える疲労感に一挙に蹂躙され、ペタりと床へとへたり込んでしまった。 目の前には、真っ黒に焼け焦げた人型の個体が、力無く床に転がっている。 …嵐の前の静けさを彷彿とさせる、不気味なほどの静寂が一時の空間を支配する。

瞬斗 「 ブハッ …予想通り、何一つ情報を聞き出せなかったな。 皮肉にも、依頼主ってのが被ってる可能性あったんだけど… 」


< …ミシミシ >

瞬斗 「 ん?? 何の音だ? 」

周囲をキョロキョロと見渡している。

< …ミシミシ ミシミシ >

床に転がる真っ黒に焼け焦げた人型の個体から、何やら音が聞こえる。 注意して観察していると、音と同時に小刻みに個体が揺れている事が確認出来た。

瞬斗 「 …何だよ! 化けて出て来るとか、さすがに反則だろ!? 」


< …ミシッ ミシシ バリバリバリッ!! >
黒焦げの個体を内側から搔きむしるように、ブォーグがその姿を現した。 自分の全身をグルグル巻きにしている、糸のようなものをブチブチと引きちぎっている。まるで 真っ黒な悪の卵から、エリート殺し屋が孵化したような不気味な光景である。 < パンパンっ > 服に付いた埃を振り払う、ブォーグ。

ブォーグ 「 こんなチンケな攻撃で、まさか終わるとでも思ったのか? クックク 」

瞬斗 「 オエッ 振り出しに戻ったのを想像したら、吐き気が… けど、聞きたい事あったから、ちょうど良かったぜ。(ホントは顔も見たくねぇ)

ブォーグ 「 随分と余裕だなぁ、あ? 聞きたい事だと? お前ごときに教える事なんぞ、1つもねぇが。 」

瞬斗 「 …お前ら殺人代行企業ってのは、どうせ実行部隊に過ぎないんだろ? もっと上のレイヤーの、黒幕気取ってる依頼主が誰なのか、教えて貰おうかね? …母親とオレに対して殺人依頼をした、クソ豚下衆野郎の正体だよ!! 」

ブォーグ 「 んあ? まだ復讐の話なんかしてんのかよ… この負け犬が。依頼者が誰かなんてのはなぁ、ぶっちゃけ知らねぇし、全く興味もねぇ。こっちは、報酬さえキッチリ払ってくれれば、それが悪党だろうが、神父だろうが、猿だろうが… 一向に構わないんでねぇ。 」

瞬斗 「 …闇界隈でも尻尾すら出さねぇってか。 分かってた事だが、根っ子が深そうだぜ。 チッ 」

ブォーグ  「 Q&Aタイム終了~ さぁて、続きを始めようか?糸(silk)! 」 < ブシューッ! >

瞬斗 「 相変わらず会話の途中で発砲しやがって… クソっ! 」


( つづく )



この記事が参加している募集