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オリジナル漫画「scope」原作-22

【寺野篇】VS特殊詐欺組織(蒼)第4話


老婆 「 どっちでもねぇわ! レイディに失礼なヤツめ!! 」 巨大な鎖鎌を振り下ろしてくる。

条 「 うげっ! …なんだよ、ただの気狂い殺人ババアか! この雰囲気なんだから、せめて魔女にしとけよ! 」

老婆  「 うるせぇー! 魔法が使えるなら、とっくにこんなとこ住んでねぇわ! ノヤロー、出てけ!!! 」

巨大な鎖鎌を振り下ろし追い掛け回す。

条 「 …だな。 正論言うじゃねぇか。さては、妖怪正論ババアだな。 」

< ドダダダダダッ > とっさに逃げ回る、条。

この老婆のせいで、これ以上樹海の奥に行くことが出来ない。 さすがに一般人に対して特殊拳銃を発砲する訳にも行かず、一旦退く事を決めた、条。

条 「 はぁ はぁ なんだよ、あのババア。…ここに住んでるのか?もしかして、おっさんが言ってた育ての親? って事はあれが実家か プッ 」

樹海を抜け、餌月訓練場跡地まで引き返して来た、条。半分嫌がらせもあり、瞬斗に3D電話を掛ける。< ボワン >

条 「 おい おい、これ見ろよ! レアだろ? 」

樹海入口付近にて、捕まえていた「ニジイロカブト」を自慢する。

瞬斗 「 …え? ニジイロ!?  …だから、忙しいっつってんだろ!!アホ! 」

条 「 テメっ 特殊詐欺系闇企業(蒼)の最新情報よこせ! 」< ボワン >

< ピピッ > 条の携帯に位置情報が入る。

条 「 ん? 用心棒ねぇ。ほぅ~ やるじゃねぇか、気持ち悪ぃけど。もう一回掛けてみっかね。 ニヤっ 」この件を7度ほどして、飽きた条。

若干満足げな顔をし、車に乗り込む。樹海を後にし、戦闘準備を整える、条。決戦の日は近い。


【 --- 2日後、待ち合わせ場所にて --- 】


条 「 おっさん、ちゃんと来るだろうな? ボケでも天然でも、キッズ用のパーカーコート羽織って来たら、その場で撃ってやる。 」

しばらくして、ちょっとした上り坂を走って来る、寺野の姿が遠くに見えた。

寺野  「 ぜぇ ぜえ ぜぇ  …お、お待たせしました。 お久しぶりです、大噛さん。 」

条 「 おぅ ちゃんとパーカーコート着て来たじゃねぇか。…ってウェストポーチ! で、首から下げてるのは何? ゼビアン? 」

寺野  「 何分、遠出するのも久々でして、色々持参しちゃいました。 」

条 「 んまぁ否定はしねぇけど、闇への殴り込みだぜ? 遠足じゃねぇんだからさ。 …って散髪! 密かに身だしなみ整えんなよ!! 」

寺野 「 あははは、バレましたか? お恥ずかしい。 」

条 「 知るか! …ところで おっさん、ここまでどうやって来たんだ? 車とか見当たらねぇが。 」

寺野 「 在来線と路面バスを乗り継いで来ましたけど。 2時間ほど掛かりました。 」

条 「 …あらっ その恰好で、遠路はるばるお疲れ様です。。じゃ 早速作戦会議と行こうか。 店探しといてくれたか? 」

寺野  「 えぇ、バッチリです。 こちらへどうぞ。」


闇への襲撃前に、寺野参戦のリスクが非常に高いため、作戦会議を要求していた、条。 そのため、近場の適当な店を寺野に探すようにお願いしていた。
事前に寺野がリサーチしていた店へと誘導される、条。

店員 「 いらっしゃいませ! 何名様ですか? 」

寺野  「 2名です。 」

店員 「 承知しました。 こちらへどうぞ! 」

席へと案内される、2人。

条 「 ………………………。 」

<  ウィーン  >

寺野 「 …さて、どうしましょうか? 」

条 「 …って何で回転寿司チェーンなんだよ!! 打合せする気ねぇだろ! ったく。 」

寺野 「 いやっ この近くだと、喫茶店のような頃合いのお店が無くてですね。…私、茶わん蒸し頼んで良いですか? 」

条 「 せめて、寿司を食え!! 」

< ズズズ > 少しでも気を紛らわせようと、温かいお茶を飲む、条。気を取り直し、作戦会議を始める2人。しかし、寺野のトリッキーな注文は続く。

寺野  「 わらび餅を。…2個。 あと、和栗軍艦を… 」

条 「 ワグリ!? ‥もういいよ、好きにして。で、おっさん ケンカを含め格闘経験はあるのか? 」

寺野 「 無いです。当然、拳銃を撃った経験もありませんでした。このBONSAIを撃ったのが初めてです。 でも、身体は丈夫な方だと思います。 」

条 「 だよな。 基本オレがやるから、おっさんは後方でサポートしてくれ。とは言え、憎き相手、興奮して暴走はしないでくれよ。 」

寺野 「 わ、わかりました。しかし、直前になると怖いですね…。 」

条 「 くれぐれも、テニスのダブルスで、サーブを味方の後頭部にぶつける… みたいなバタなヤツは、やめてくれよ。フリじゃねぇぞ! 」

寺野 「 フリって何ですか? …まぁ 難しい事は分かりませんが、大丈夫です。それで相手はどんな人たちなのですか? 」

条 「 特殊詐欺グループを裏で束ねている、姑息な連中さ。 ちょっと厄介なのは、闇の企業には必ず用心棒ってのが雇われてて。 」

寺野 「 用心棒ですか… まるで映画の世界みたいですね。 」

条 「 ちなみに情報は絶対漏れないんだが、今回パートナーの情報屋が極秘で引っ張って来た情報がある。こいつだよ。 」

スマホの画面を見せる。

寺野  「 …うわ。。見るからに怖そうな人ですね。“ドズー”さんですか。で、何人ぐらいですかね? 」

条 「 雇われは、基本1人か2人だと思う。オレが戦ってきたヤツらはそんなもんだった。 少人数だが、強さは半端ねぇぞ。 」

寺野  「 えっ 今まで殺した人数を聞きたかったんですけど。 」

条 「 は? いきなりサイコな質問じゃねぇか… 知るかよ! 数十人なのか数百人なのか、そんなもんなんじゃねぇの? 」

寺野 「 そうですか… でも、悪事を職業にしている輩も許せないですね。 私も社会人経験長いので、お金を稼ぐ大変さは身に染みてます。 」

条 「 あぁ、そうだな。その闇の用心棒企業ってのも、中々闇が深そうでねぇ。いずれ全貌を暴いてやるつもりだ。 」

寺野 「 わ、私に出来る事があれば言ってください。 」

条 「 ニヤっ よしっ、じゃ会計頼むわ。そろそろ行くとしようぜ。 」

寺野 「 は、はい。このアップルジュースは持ち帰りOKのようなので、問題無いです。 行きましょう! 」

< バタン、ボボボボボ > アジト近くまで条の愛車で移動するようだ。 < チュー >助手席に座っている寺野が、紙パックのアップルジュースを飲んでいる。

寺野 「 ぷはっ ジューシー過ぎて、危うく りんごの果汁で溺れそうになりました。 あっ これ食べます?」

ウェストポーチからフーセンガムを取り出す。

条 「 ガブリシャス! 懐かしいな。 ガキの頃、フーセンガムのデカさで、ギネスに挑戦したもんだな。 」< くちゃくちゃ ぷく― パチンっ >

寺野 「 4個ぐらい同時に食べないと大きく膨らまないんですよね。おっ あそこの廃工場ですかね? 」< くちゃくちゃ ぷく― パチンっ>

条 「 おっさんといると、何か気が抜けるな。。あの工場地帯 …どうやらそのようだな。 あの先で車を降りよう。 」

< バタン > 車を降りる、2人。フーセンガムを膨らませながら歩いている。廃工場の裏手に回り、草むらの陰から様子を伺う、2人。建物の外に見張りらしき構成員は見当たらない。 必ず1人や2人はいるはずだが、みんな出払ってて留守なのか?しかし、馴染みの高級車「GENGORO」は駐車されている。

条 「 うーむ、 なんだか様子がおかしいなぁ。 罠って事も考えにくいし。 」

寺野 「 拍子抜けですね… てっきり、見張りが5万人ぐらい いると思ったのですけどね。 」

条 「 シャカリキか! 5万て。 …てか、拍子抜けとかって、おっさん やる気マンマンじゃねぇか。 」

< ボゴーーン!!! > 敷地内にある、事務所のようなところから鼓膜が破れるほどの轟音が鳴り響いた。爆発により、煙が立ち上っている。< !? > 音符型のようなキノコ雲が立ち上っている。 < もくもくもく >

条 「 なんだ なんだ、内紛か? それにしても珍しい形の煙だな。 …おしっ 思い立ったが急襲! どさくさに紛れて乗り込むぞ! おっさん。 」

寺野  「 は、はい! いよいよワシの出番が来たようだな。 」
薄目で渋い表情をしている。

条 「 …どうした? さっきから、人が変わったように。変なもんでも食ったか? 」

寺野 「 あっ いやぁ 予習として昨晩マフィアとかアクション系のDVDを色々観て来まして。 」

条 「 ………なるほどね。 後方支援って言葉、理解してんのか? くれぐれも危険だから、おっさんは下がってサポートしてくれって意味だからな。 」

寺野 「 “後方支援”? どこぞの男性アイドルグループですかね? 勉強になります。 」

条 「 ( 置いてくればよかったわ… チッ )まぁ いいや、行くぞ! 」

フードを被り、身をひそめながら廃工場の敷地内を進む、2人。 ふと建物の影に違和感を覚え覗いてみると… 気絶したと見られる構成員たちが、キレイに積み上げられている。周辺を確認してみると、建物の端々に戦闘した形跡も見受けられる。 どうやら、構成員たちと“正体不明の何者”かが戦闘をし、構成員たちが完膚なきまでに敗北したように推測される。

条 「  !?  これはどういう事だ? まさか、他に同士(復讐者)がいるのか、はたまた別の勢力か何かなのか… 」

寺野 「 奴さんも、随分とご機嫌なことしてくれんじゃねぇか、腕が鳴るぜ。 すぐに行ったるから、がっかりさせんなよ。 」

眉間にシワを寄せ渋い顔の寺野。

条 「 もはや、何が混ざってるかも分からねぇぐらいのMIX感だなぁ… なんだ?ヤッコさんって 」

寺野  「 いやぁ それほどでも無いですよ。 」 

条 「 褒めてねぇわ! 」

引き続き、周囲を警戒しながら事務所らしき建物を目指す、2人。 ところどころ地面がボコボコになっている。 何かの衝撃で凹んだような痕跡だ。
しばらくして、事務所の入り口まで辿り着いた。扉の左右に分かれ、身をかがめている2人。寺野に向け、条がアイコンタクトを取る。

条 「 ( いいか?オレが突っ込むから、おっさんは援護してくれ ) 」 ジェスチャーを踏まえ寺野に伝達する。

寺野 「 ( 分かりました、任せてください ) 」

コクリとうなずく、寺野。

3、2、1・・・ 条が指でカウントする。 いざ突入だ。

< ドガーン! >

寺野 「 うぉおおらぁああ!! テメェら覚悟せぇよ!! 」

BONSAIを構えた寺野がドアを蹴破り、高らかに吠える。

条 「 バカヤロっ!! すっこんでろって言っただろうが!! このハゲ!!! 」

間髪入れず、条も突入した。< ザザッ >

事務所に突入すると、まるでガサ入れが入ったかのように部屋中荒れているが誰も見当たらない。何やら奥の応接室から揉めているような物音が聞こえる。そのままの勢いで第2の扉も突破しようとする、寺野。条が必死に取り押さえようとするも間に合わず、2人同時に奥の部屋に雪崩れ込んだ。

< ドダダダ ガッシャン!! > 見上げた先に人影が4つ。

条 「 …痛ぇてて。テメー暴走すんじゃねぇって、あれ程言っただろうが!! 脳みそ、うずらの玉子級か!……ん? 」

寺野  「 す、すいません…。 私、常識が無いものでして。‥あれ? 」

SWATのような、特殊部隊のコスチュームに身を包んだ大柄な女が、先程画像で見た闇の用心棒 “ドズー” の顔面を鷲掴みにして立っている。
ドズーと思しき男は血まみれで瀕死の状態のようだ。 顔面を鷲掴みにしている女の特殊なグローブが、パワーをチャージするかのように光っている。後ろのソファーに座っている男らしき人物が、女に声を掛ける。

謎の男 「 はい、ストップ、ストーップ。 そこまでで十分だろ? 」

< チューン > 女の特殊なグローブから光が消えて行く。

謎の女 「 オーケー じゃ、やめときまーす。 」

よく見ると、後ろのソファに座っている男の足元に、別の男が倒れており、それを容赦無く踏みつけている。特殊拳銃を握りながら倒れている様子を見ると、恐らく、特殊詐欺系闇企業(蒼)の代表のようだ。 こちらも瀕死の状態で倒れ込んでおり、ピクリとも動かない。

条 「 !?  何者だ?? お前ら! 」
“ブラックパンサー961”を構え、警戒する。

謎の男 「 …にっひひ。久々だけど全然変わんないねぇ、条。まさか、そのおっさんがお前の相棒なの? ぷっ 」

ソファに座りながら男が話しかける。

条 「 は? なんでオレの名前知ってんだ? …まさかお前っ …ってか、こんな小汚ぇおっさんが相棒な訳ねぇだろ!」

寺野  「 え?? 大噛さん?本音が出ちゃってますよ…  まぁ気にしませんけど。 」

< ぷく― パチンっ >味の無いフーセンガムを膨らませている。

条 「 その笑い方。…お前 ひょっとして ゲンジか? 」

謎の男 「 よっ 久しぶりだな~ 条。 にっひひ。 」

被っていた覆面を取って顔を見せる、謎の男。

条 「 やっぱな! 久しぶりじゃねぇかー 負け犬くん。 」

謎の女 「 ぷぷっ 負け犬くんだってさー  あぁーおなか痛い。 」

ゲンジ 「 …そう言うとこも全然変わって無いねぇ、にっひひ。てか、一度も負けて無いけどね。 」

条 「 で、そっちの大女がお前の相棒か。にしても、デケェーなぁー 190㎝はあるか? 何食ったらそんなデカくなるんだよ。 」

謎の女 「 大女って…。 まぁ言われ慣れてるからいいけどさ。初対面のレディには配慮しなさいよ。 」

< チューン > 女のグローブが光っていく。

ゲンジ 「 まぁ まぁ 落ち着けよ、レミィ。これが条ってヤツだから。こちらの女性は、相棒って言うかメンバーだな。詳しくは言えんが。 」

条 「 あっそ。んで、その踏んづけてるヤツ、特殊詐欺系闇企業(蒼)の代表だな? 」

ゲンジ 「 興味薄っ!もう少しこっちに興味持てよ。…あぁ こいつが代表の“ザロッド”って言ったけな。 忘れた。 」

条 「 やはりそうか。 おっさんがな、そいつの仇を打ちに、はるばる在来線を乗り継いでやって来たんだが。 ったく余計な事しやがって。 」

ゲンジ 「 公共の交通とは… そいつは、スマン。姑息な性格で、最近素行不良だったからさぁ、こいつ。 」

寺野  「 ま、まぁ 私としては誰が打とうと、結果 悪を成敗出来たのなら良いですよ。聞きたい事は少しありましたけども。 」

ゲンジ 「 …答えられることは限られるが、代わりにオレに聞いてくれ。 誰よりも情報通だからさ。今回特別な?内緒だぜ。にっひひ。 」

寺野  「 そうですか? ではお言葉に甘えて。 私の家族の事なんですけど… 」

ゲンジ 「 奥さんと連れ子の娘さんの事だね?あれはねぇ、言いづらいが、闇の組織が手配した役者だよ。 成り切る事で報酬を得るプロの詐欺師だ。 」

寺野 「 まさか…。と言いたいところですが、大噛さんの話を聞いて、薄々そうではないかと思っていました。ですが、いざ本当にそうだと言い切られると、さすがに堪えますねぇ…。全てウソだったのかぁ… 」

数少ない家族との思い出を必死に振り返っている、寺野。

ゲンジ 「 組織に言われるがままの黒い操り人形だよ。 自分で詐欺を引き起こして自分で被害に遭って全ておっさんに背負わせる、マッチポンプだね。 」

条 「 おっさん…… 」

ゲンジ 「 ここからは噂に聞いた程度だから聞き流して欲しいけど、娘役の自殺は完全に偽装。奥さん役が出て行った理由は、おっさんを気の毒に思って、組織に意見したのが原因らしいよ、しかも2人して。ようは娘役も奥さん役も長年一緒にいて、あんたの純粋さに惹かれてたって事さ。 」

寺野  「 …まさか、そんな。。 ぐすっ うぅぅ 」

大粒の涙をボロボロと流す、寺野。

ゲンジ 「 その後は、ある研究施設に人体実験用に売り飛ばされたって感じかな。お気の毒だけどさ… 」

寺野  「 う、嘘でも嬉しかったです…。何があろうとも、私にとっては大切な家族でしたから。で、その研究施設とはどのようなところなんでしょうか? 」

ゲンジ 「 おっとと、オレが答えられるのは、ここまでだ。 あくまで噂って事にしといてくれよ! 」

寺野 「 そうですか。…万に一つでも、まだ家族が生きている可能性があるのなら… わ、私は、助けに行きたいです! 」

条 「 奇遇だな、おっさん。 オレもその研究施設ってのに用事があってな。その前に、オレからも質問だ。 …ダイアナって知ってるよな? 」

ゲンジ 「 知らん。 」 食い気味に即答する。

条 「 テメっ 絶対知ってんだろがぁ! 待てや、コラ! 逃げんなーー!!! 」

ゲンジ 「 ちょいと、しゃべり過ぎたな。 …もう会う事は無いと思うけど、またどっかで会ったら、串カツ屋で安酒でも飲もうぜ。メガハイボールな。 」

足早にその場を離れる、ゲンジとレミィ。 闇の組織をいとも簡単に壊滅に追いやったその力や、どこに組織に属しているかなど、多くの謎を残して去って行った。
条が追っている闇に、もしくはその先に彼らとの共通項はあるのだろうか?一点を見つめ、体育座りの恰好で膝を抱えながら俯いている、寺野。

今までに経験した事の無い複雑な感情が混在し、くるみサイズの脳みそが小パニックを引き起こしている。仮死状態になったトカゲのように、しばらく茫然としていたが、やっと落ち着きを取り戻したようだ。

条 「 ………………………。」

掛ける声が見当たらず、終始沈黙している、条。

寺野 「 …で、知り合いだったのですか? あの人たちと。 」

条 「 ん? そうだなぁ、大女の方は知らんが、男の方は同期生だ。 」

寺野 「 はい? 同期生?? 」

条 「 あぁ 警察学校時代の同期生だ。創設以来の天才とか呼ばれてチャラついてたが、その実力は本物だよ。 まぁ 所詮負け犬だけどな。 」

寺野 「 …そうだったのですね。 そう言えば、樹海の近くに警察の訓練場か何かありましたよね? 騒がしかった記憶があります。 」

条 「 詳しいな、さすが元住人だぜ。 …ところで、おっさんはこの先どうするつもりだ? 」

寺野 「 …わ、私は、先程の研究施設について調べてみます。私にとっての復讐は、まだ始まったばかりですから。 」

条 「 そうか。オレも研究施設には用事があるし、またどっかで会うかもな。ただ1つ忠告しておくが… もしこれ以上先に本気で進む気があるなら、せめてその拳銃を使いこなせるように鍛錬しておけ。それが最低条件だと思うんだな。( …それだけ深い闇を相手にするって事だからな。)

寺野 「 わ、分かりました… たくさん練習しておきます。また、いつでも家に遊びに来てくださいね。 イカしたラインナップ、取り揃えておきますから。 」

条 「 たくさん練習って、エレクトーンか!…んまぁ、イカしたラインアップはちょっと興味あるぜ。ニヤっ 」


想定外のゲンジたちの参戦により、いとも簡単に壊滅されてしまった、特殊詐欺系闇企業(蒼)。寺野の復讐どころか、これと言った情報も収集する事は出来なかったが、その代わりに口を滑らしたゲンジから、濃い情報を得る事が出来た。度々出て来る研究施設とは果たして?

手を振り、笑顔で条を見送る寺野。これから路面バスと在来線を乗り継いで帰る寺野を、容赦なく放置して愛車を走らせる、条。思いの他、夕陽が綺麗だ。 

捨て子として「病の樹海」から始まった寺野の壮絶な人生が、年齢と共に哀愁をまとい、第2の人生に向けて能動的に動き出す。


第1部 寺野篇 -完-


( つづく )



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