見出し画像

オリジナル漫画「scope」原作-49

【暗堂篇】VS武器密輸組織(紫)第2話



その小柄なイキり男の背後から、颯爽と現れた謎の男女が近付いて行く。

条 「 おい、そこのクソちびギャング。もう少しマシな格好で来れねぇのかよ… ったく 」

瞬斗 「 んあ? だれがゴキブリギャングだって? 何だよ、条かよ。お前、闇の人間しっくり来すぎだろ…」
瞬斗同様に、スーツにサングラス姿である。

女性 「 ふ~ん、彼が噂のぉ へぇ~ こんな感じなんだ? こんにちわっ 」

瞬斗 「 って、馴れ馴れしいんだよ!!…へっ!? 条! テメー何してくれてんだ!! 自慢か?おっ?自慢かよ、タガメやろーめ。 」

条 「 お前、この準備期間に脳みそでも洗濯したのか? 思考が半渇き状態じゃねぇか。ついでに顔も。で? 何が自慢だ、意味が分からん。 」

瞬斗 「 とぼけてんじゃねー!! こんな大事なミッションに、彼女同伴とはなぁ、チッ! しかも可愛いし… 相変わらず、気にくわねぇヤローだよ! 」

女性 「 …ぷぷぷっ 急にそんなに怒って、どしたの? 」

条 「 あ? 彼女なわけねぇだろ、このキリギリスの関節ヤローが。 助っ人に決まってんだろ。 」

瞬斗 「 えぇーーー 違うのかーーーー!!! 失礼しました。入来瞬斗と申します、好きな卵料理はスクランブルエッグです。お付き合いを… 」

女性 「 ホントに こんな子がケツアゴデスなのぉ? お兄ちゃんも大した事無いねぇ キャッハハハ 」

瞬斗 「 は!? なんでそんなディープな事知ってんだ? お兄ちゃん?? 」

条 「 妹だよ、飛山の。 舞だ。 」

舞 「 飛山舞でぇーす。 はじめましてっ  ヨロシクね、瞬斗くん。 」

瞬斗 「 ギェぇえええーーーーーー あいつの妹だったのか… そ、それはどうも。 てか、ケツアゴデスとか公の場で言わないでもらえる…? 」

舞 「 まぁ 普通に考えて、名乗ったって誰も信じないから大丈夫でしょ? 」

条 「 んな、くだらねぇ雑談は後にして、作戦会議と行こうか? あっちに車止めてるから、行くぞ。 」

施設から少し離れた場所に広大な駐車場が完備されている。気のせいか、黒塗りの高級車が多いようにも見える。いつも条が乗っている車とは違う、角張った旧車のキーを開け、車内へと入って行く3人。運転席に舞、助手席に条、後部座席に瞬斗の配置だ。後部座席から、興奮気味の瞬斗が2人の間を遮るように、前のめりに顔を出している。

瞬斗 「 な、なんだよこりゃ? 最新戦闘機のコックピットみてぇじゃん。 外装で完全に騙されたわ… 」

舞 「 中々イカしてるでしょ? お兄ちゃんの会社から借りて来たんだー 」

条 「 もはや、改造ってレベルのもんじゃねぇな。人力車にF1のエンジン積んでるようなもんだ。 ちなみにGenimaはセット出来たりするのか? 」

舞 「 たぶん出来ると思うよー やってみる? 」

条 「 …いやっ やめとくわ。1発撃っただけで身体がぶっ壊れち… おい、瞬斗やってみろよ、誰も来ねぇ葬式は適当にやっといてやるから。 」

瞬斗 「 やんねぇよ! アホ筋肉のテメェが躊躇するって事は、よっぽどヤベーんだろが!…ってか、葬式やったら美女が7万人来るわ! 」

条 「 大した事ぁねぇよ。 身体が真っ二つに引き裂かれて、双子になれるチャンスなんて滅多にねぇぞ? ぶはははは 」

舞 「 ハハハ そんなにヤバいんだ? …ちょっとやってみてよ、瞬斗くん ぷぷっ 」

瞬斗 「 …お前ら闇の人間だろ?  いやっ それより全然タチ悪ぃな… ふぅ~ ちなみに、これが館内図だよ、ほれっ。 」

周辺で配布されているであろうパンフレットを2人に渡す。パッと見違いが分からないが、どうやら通常配られている冊子とは違い、瞬斗が事前にカスタマイズしたオリジナル仕様のようだ。出展ブース毎に区切られた一般的な展示イベントの館内図だが、“裏”への入口(予想)もマーキングされている。

条 「 ほぅ お前にしては、随分と準備が出来てるじゃねぇか。 」

瞬斗 「 先日のジイちゃんの件もあったからな… もう闇相手に油断もしねぇし、手も抜かねぇ。…さっ 後は任せたぜっ 」満面の笑みをしている。

条 「 って、テメーも来い!」

舞 「 それで、ずっと3人一緒に行動すればいいんだよね? アタシは特殊拳銃とか撃てないし、そもそも持って無いし。護ってね♥」

瞬斗 「 護衛なら、この入来にお任せあれ! 何なら2人キリで行動してもいいんだぜ? あんなガラの悪い輩は放っておいてさ。 ねねっ 」

条 「 言ってるそばから油断丸出し面じゃねぇか。 …今回戦闘するつもりはねぇが、3人1セットでの行動を徹底するぞ。 」

瞬斗 「 3人で行動するだと? 単独行動が売りのお前にしては、珍しく弱気じゃねぇか。 さては、ビビッてんのかぁ? ニタァ 」

条 「 万が一… 万が一何かあった場合、お前を囮にして逃げるための3人行動だ。 」

舞 「 なるほど、納得したわ。 」

瞬斗 「 納得すな! 」

条 「 よしっ ある程度ルートを決めといて、後は臨機応変と行こう。決してはぐれるなよ、置いてくからな。」

瞬斗 「 後、基本中の基本だけど、お互いの名前を呼ぶのはタブーだぞ。 ベタだけど、アルファベット1文字で呼び合おう。オレは “S” で。 」

舞 「 はーい、分かったわ。んじゃアタシは “M” ね。 」

条 「 んじゃ、ボチボチ行くとしますかー M、瞬斗! 」

瞬斗 「 だーかーらぁー!! 名前呼ぶなって言っただろ!! テメーはよぉ 」

舞 「 ホント仲いいんだねぇ これがパートナーってヤツか。さっ いこいこー “J” 、“S” 」

車から降り、黄泉の市入口へと歩いて行く条たち御一行。大盛況のようで一般客でごった返している。明るく煌びやかな光の裏には、必ず深い闇が落とされる。

巨大な展示場の入口近辺では、様々な屋台が列をなして出店している。表のテーマである「武器の歴史」にちなんだ、刀型フランクフルトや兜型ソフトクリーム、武将饅頭など、バラエティーに富んだフードが販売されている。ソフトクリーム片手に条たち3人組が館内へと入って行く。また、同タイミングにて、フランクフルトを咥え、目が血走りまくった、根暗そうな男が1人館内へと消えて行った。

舞 「 スゴー! めっちゃ 広いんだね。これだけ人が多ければ、紛れるのも簡単ね。 」

条 「 あぁ そうだな。 だが、油断はするなよ。まずは様子見で、適当に1周するぞ。 」

瞬斗 「 自然に振る舞えよー ギコチナクしたらアヤシマレルからな。 」

条 「 …何でロボみてぇなしゃべり方になってんだ? 不自然な演技しろって言われても、中々そんな領域まで達せねぇぜ…。 」

舞 「 アハハハ 緊張マーン。ソフトクリーム鼻に付いちゃってるよ! 」

瞬斗 「 2人とも完全に場慣れしてやがる… やっぱ闇の人間に間違いねぇ。 」

展示ブースは、古くは石器時代の斧や矢じりから、伝説の侍が所有していたとされる刀など、実品の展示と、VRにて蘇った当時の所有者が、武器を使用している模様を鑑賞する事が出来る。また有料で、VRで蘇った戦士たちと疑似戦闘する事も可能だ。

条 「 ほう~ オモロそうだな。 だが、オレは拳銃にしか興味がねぇな。 」

< キンキンキンッ > 隣のブースで疑似戦闘が行われているようだ。 白熱した戦いが繰り広げられている。 どうやら、忍者ブースのようだ。

参加者 「 はぁ はぁ はぁ さすが、ご先祖様! 手強いな。…では、そろそろ奥義を見せてやろう。 隠れ身の術!! 」

その場にしゃがみ込み、ハンドタオルサイズの布で顔面のみを隠している、参加者の男性。明らかに布が足りていない。しかも柄も全く背景に馴染んでいない。< ズシャッ! > 飽きれた表情を見せたVR忍者が、容赦なく止めを刺した。どこかで見たマヌケな光景を思い出し、ピンと来たような表情を見せる、条。

条 「 あっ… あいつ、何でこんなところにいるんだ!? てか、修行中じゃねぇのかよ。 」

参加者 「 クッソー 奥義が効かんとは、さすがご先祖様だな。 敗けた、敗けたぁ。 」

ハンドタオルが掛かったVRゴーグルを取ったその男… なんと、不侍林 以臓< フジバヤシ イゾウ >であった。 どうやら忍者ブースの出展者のようだ。

不侍林家は、忍者界隈では言わずと知れた名家であり、出展するのも不思議では無い。不侍林家秘蔵の、数々の忍者武具が展示されている。

条 「 おいっ 拳銃が展示されてねぇじゃねえか? 久しぶりだな、以臓。修業はどうしたんだ? 」

以臓 「 ん? お、お前は!? 病谷 妙日郎!<ビヨウタニ ミョウニチロウ> 久しぶりだなぁ! こんなところで何してるんだ? 」

条 「 …大噛 条一狼だ。 いやっ 今は“J”だった。 この不毛な件、またやんのかよ? 」

舞 「 誰?誰? お知り合いなの? 」

瞬斗 「 また変なのが現れたな… 忍者?にしては、随分と大柄じゃねぇか。 」

条 「 あぁ 以前、闇を追ってた時に、たまたま共闘したヤツだよ。オレらの共通項は、お前らとも同様。 そう、闇への復讐だ。 」

舞・瞬斗 「 !? 」

以臓 「 おっ お前に仲間なんていたのか? はじめまして、不侍林 以臓だ。揃って何だ、観光にでも来たのか? 」

条 「 いやっ 単刀直入に言うと、闇への潜入調査が目的だ。研究所に乗り込む前の下準備ってとこだな。お前も来るか? 」

以臓 「 何! 研究所だと!? やっと突き止めたのか? …よし 同行しよう、この前の借りもあるからな。その前にパンケーキでもどうだ? 」

条 「 あぁ 何となく目星は付いて来たな。ここにいるこいつと、もう1人強力な情報屋がたまたま揃ってね。( …パンケーキはスルーしとく )

舞 「 その、もう1人ってのは、アタシのお兄ちゃんの事だよ。はじめまして、“M”です。お兄ちゃん、ケツアゴデスのメンバーなんだ。 」

瞬斗 「 …おいっ その名前もダメだってのー!どもー、天才です。今日は、“S”って呼んでくれ。 」

以臓 「 !?  何だ 何だ、ケツアゴデスだと!? 都市伝説ではなかったんだな。何とも頼もしい! …そうか、やっとたどり着けるのか、仇に。」

条 「 ぼちぼちお前にも声掛けようと思ってたから、手間が省けたぜ。ニヤっ んで、少し話出来る場所あるか? 簡単に説明するぜ。 」

以臓  「 それなら、裏に関係者控室があるぞ。こっちだ。 」

ドアを開け、関係者控室に入って行く4人。その光景を強烈な視線で見つめている男。群衆に紛れ、先程の以臓の戦闘を嬉々として見ていたようだ。すると、次の瞬間、大胆にも堂々と関係者控室へと入って行った。明らかに、条たちの後を追っているようだ。控室にて、今回の潜入調査の概要を以臓に説明する、条。< ピンッ > 説明の途中でふと野生の勘が働き、ただならぬ気配を感じ取った様子の条。

条 「 ちょっと待て。 …何だ、この感じ。 殺気では無い?が、異常に気持ち悪ぃな… オラッ! 」 ドアを勢い良く開ける。< ガチャッ! >

ドアを開けると、そこには聞き耳を立てた、暗堂が立っていた。気付かれてもお構いなしで、ニヤニヤしながら以臓へ羨望のまなざしを送っている。

条 「 何だ、お前!? 誰か、知り合いか? 」
他の3人に聞くも、顔を大きく横に振っている。

暗堂 「 まさかさぁ こんなところで本物に会えるとは思わなかったよ…  なぁ、あんた忍者なんだろ? ニタァ 」

以臓 「 何だか変わったスタッフさんだな。ちなみにオレは、忍者では無い、忍者の末裔だ。 」

暗堂 「 …やっぱ本物じゃねぇか! せ、拙者にサインくれよ、サイン! 」

条 「 どう見ても、完全にスタッフじゃねぇなぁ、ただの変質者だ。 オラッ 出てけよ! テメーみてぇなのに構ってる暇はねぇ。 」

< ドンッ >

突き飛ばすようにドアの外へと追いやる、条。騒ぎを聞きつけた警備員が、とっさに暗堂を拘束する。手足をばたつかせながら、裏へと連れて行かれてしまった。

条 「 何なんだ、あいつ。 まぁ いい、続けるぞ。 」

今回の趣旨について、一通りの説明を終える条たち。 闇に対する復讐の思いや、互いの素性も共有したところで、いよいよ本格的に動き出す模様。以臓を加えた4人体勢での潜入捜査が、改めて開始される。


< 場面転換して、ダークサイド >

極太の葉巻を吸い込み、異形の煙を吐き出す、ご機嫌な男。その容姿と立ち振る舞いは、とても仕事に没頭している一般企業のサラリーマンには見えない。館内特別ルームにて、状況を監視している武器売買系闇企業(紫)代表 : バーベットだ。予想を超える来場客の多さに、俄然、笑顔が止まらない。

バーヘッド 「 こりゃスゲーな! 想像以上だぜ。 …おい VIPのアテンドはくれぐれも失礼の無いようにな。 いけ好かねぇ連中だが、大事なお客様だ。」

ゲリーポスター 「 承知してますよ。各所に配備した警備員には、入念にシミュレーションしておきましたから。」

バーヘッド 「 “表”が繁盛してくれればくれるほど、“裏”も盛り上がるってもんだからな。 ダッハハハー!! 売上報告も慎重にな、ピンハネし放題だぜ。」

ゲリーポスター 「 …バレても 知りませんよ。まぁ 多額の売上金さえ渡しておけば、細かい詮索なんてしないので、問題無いんでしょうけどね。 キッヒッヒ 」

警備員 「 < ジッ > お取込みの所スイヤセン。 ただいま、関係者控室でちょっとした騒ぎがあったので、該当者を拘束しておきました。」

ゲリーポスター 「 何だと? どんなヤツだ? 」

警備員 「 必要以上に不気味な目つきの男ですが、完全に素人ですね。 どうしますか? 」

ゲリーポスター 「 素人だと? そんなもんイベントが終わるまで、簡易留置所にでもブチ込んでおけ。ヘタな騒ぎで、VIPに迷惑が掛からないようにな。 」

警備員 「 へい、分かりました。 < ジッ >

バーヘッド 「 さて、頃合いを見て俺たちもフロアに出向こうかね。 それまでは引き続き警備に注力しておけ。 」

ゲリーポスター 「 承知しました。 」


< 場面転換して、条サイド >

まだ様子見の途中だったので、改めて館内を1周する条たち。 人・人・人の人の海、大変混雑している状況だ。各ブースには、歴史的に有名な人物と共に、愛用していたとされる伝説の武器がずらっと展示されている。

ところどころに見受けられる、明らかにゴツく、柄の悪い警備員たち。一般客に紛れ、展示ブースを見ている素振りをして、4人は別の視点にて周回をしていた。

瞬斗から渡された案内図を片手に、マーキングポイントに差し掛かる度にアイコンタクトを取り合う。1周が終わったところで、関係者控室へと戻って来た一行。擦り合わせを行う。


( つづく )


この記事が参加している募集